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顔の向き
「たまに家の中に変な人が来るんだよ」
学食のスプーンをくるりと振り回してアヤシちゃんが言った。
「背中を向けて窓際に立ってたの。困っちゃう」
この場合、警察を呼ぶとか言ってはいけない。
アヤシちゃんの場合は、見えない人の話だから。
「昨日なんて帰ったら、窓のほうを向いて立ってたの。でも夕飯を食べて部屋に戻ったら横向いてたの」
じわじわこっちを向くんだ…。
「そのあとテレビを見て、窓際を見たらのこっちを見てたの」
幽霊が立ってる部屋でテレビ見てるとか、凄いと思う。
「ん~。なんか悪い感じしなかったし」
「で、その男の人、どうなったの?」
「翌朝消えてた」
そして、アヤシちゃんが私を見た。
「ねえ。私、『変な人』としか言わなかったのに、どうして男の人ってわかったの?」




