面接試験その2・・・脱走計画
「ほら、着いたでぼん・・・なに目ぇ閉じてんねんな?」
扉に引き込まれた拍子に思わず目をつぶってしまっていたみたいだ、僕はおそるおそる目を開ける。
「へっ?」
目を開けるとそこにはさっきまで居た殺風景な公園ではなくなにやら華やかな部屋の中だった。
「なんで!?さっきまで公園に居たはずじゃあ・・・」
「なんでやろね~?っとアレどこやったかな・・・?」
唖然とする僕を尻目に女性は戸棚を漁り始める、っていうかこの状況ってもしかしなくても・・・
「僕・・・誘拐された?」
「んー?あー、そうなるかもなー?」
頭の中のイエローアラートがレッドに変わったのがわかった、コレ絶対早く逃げないとヤバイパターンだ、というかもう既にかなりヤバイ状況なんだけれども。
ここがどこかは分からないがとりあえず今はこの女性から逃げなければいけない。
「あれぇ?確かかなーり前にここらへんにしまったような気がするんやけどなぁ・・・?どこいったー?」
まだ女性は戸棚を漁っている、逃げ道を探すなら今の内だろう。
(見た感じドアは1つ、窓は・・・)
窓の外を見ると結構な高さがあった、この部屋はかなり高い位置にあるみたいだ。
(くっそ・・・これじゃドアから出るしかないか?)
今女性はドアとは反対の場所にある戸棚の前に居る、結構距離があるので全力で走ればドアまではなんとか行けるだろう、ただ―――
(問題は相手が化け物レベルで足が速いって事だな)
いくら集中しているとは言っても流石にドアの開閉音に気付かない訳は無いだろう、気付かれたらその瞬間例の俊足で捕まえられてしまう。
少しでも足を止められれば何とか外には出られるのだが・・・
(何か無いか・・・?・・・ん?)
部屋の真ん中にある机を見るとそこには大量の紙が箱の中に入っていた。
(紙・・・いけるか?)
頭の中で算段を整えながら準備を始める、音を立てないように注意しないと・・・
「あったー!やっと出てきおったなこいつめ!」
(やばっ!)
そんな事をしている内に女性は目的の物を見つけたみたいだ。
・・・もうこうなったら覚悟を決めなきゃならない!
「待たせたなぁぼん、ほらこれに―――なっ!?」
「っ!」
女性がこっちを振り向いた瞬間に箱を投げつける、それと同時に僕はドアに向かって走り出した。
「こしゃくな・・・真似を!」
バァン!と大きな音がして箱が吹き飛ばされる、気のせいじゃなきゃ箱が粉々になってたんだけど・・・
「ウチから逃げられると―――はっ?」
次の瞬間、女性はその異常な脚力で走りだそうとして―――思いっきり転んだ。
ゴンッと鈍い音が部屋に鳴り響く、綺麗に半回転して頭からダイブだ、絶対痛いぞアレ。
「っつー・・・なんやコレ!?紙ぃ・・・!?」
そう、紙だ。
さっきぶん投げた箱は言わば囮、僕の本命はこっちの床に敷いた紙だったのだ。
公園に小クレーターを作るような脚力と勢いで思いっきり紙の上に踏み出したらそりゃあすっ転ぶ、たかが紙、されど紙って事だな。
頭をさすりながら立ち上がろうとする女性を確認した僕はすぐさまドアを開けて逃げ出した。
「あっ待てっ!・・・ったあ!」
再び部屋から鈍い音が聞こえる、ラッキーな事にまた転んでくれたようだ。
・・・とりあえず相手がドジで助かった、早くここから逃げないと・・・!
1話から半年振り投稿ってバッカじゃねぇの?(自虐)
・・・こんな感じに更新がクッソ遅くなってしまう事が多々あると思います、すいません!許してください!お願いします!なんでもしますから!
それでものんびり見ていただければ最高です!よろしくオナシャス!