【プロットタイプ】価値を見誤る
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
ダ・ヴィンチの絵画の栞。
好きな純喫茶の珈琲一杯。
そしてそれら全てを内包する様な、一冊の美術書。
迷った時、何時も価値を見誤るのは人間だと思うんですよ。
窓硝子に雫が当たる音がする。些細な雨ではこんな事はない。立ち上がって、窓際に寄り添うと、想像していた以上の雨が大地に降り注いでいた。
雨を見ると、外に出たい気持ちと出たくない気持ちが混在する。
外に出て、雨音に包まれると、何かしらのインスピレーションが沸き起こる。結果、自分でも予想してない物語が書ける。何も無い部屋ではなせない感触だった。
けれども足裏が濡れそぼる感触は、苛立ちを助長させる。もう二度と外に出るのは御免だと思わせる程。早く帰りたいと思わせる程。
結果、玄関から長靴を引っ張り出し、そのまま外へ出る事にした。これで本屋に行こうが美術館に行こうが、純喫茶に行こうが、下手に汚す真似はしないだろう。
そうして駅を跨いで本屋に訪れた。クラシックが流れる店内で壁一面を覆うのは、マニアック美術書。普通の本屋では中々お目に書かれない蔵書が肩を並べている。
そこで一冊の本に出会った。シュリンクが掛けられた厚本。表紙にイラストは描かれておらず、無地の黄色。タイトル一文だけが簡潔に書かれている。かなり有名な本な様で、世界中でベストセラーとなっているらしい。
気になって、まずは値段を確認する。フルカラーで、この厚さとは思えない破格の値段が書かれていた。思わずレジへ運び掛けた事は言うまでもない。
雨の日に関わらず、家での生活を楽しむ為に、栞集めに没頭する様になった。けれどもまぁ、これ一冊あれば、やたら滅多に栞を買うことも、美術館の図録に目を奪われる事も無いのかも知れない。
この土砂降りの雨の中、長靴を履くという選択をしなければ、本屋に寄るという選択をしなければ、この本が破格の値段でなければ、こうも移ろい狂う事も無かったのに。
全く、誘惑というのは、総じて何処にでも転がっている物である。
結果、何時もの躊躇いが生じて買う事は無かった。ただ何の神経の腹いせが、行き付けの純喫茶に訪れて、静かに珈琲を嗜む。
何が幸せなんだろうなぁ。どれだけの対価を払ったら、其れが満足と定義出来るのだろうなぁ。自分にとっての価値を見誤っている気がするんだ。
雨の中濡れながら街を歩いて執筆するのも、破格とは言えど自分には少し辛い買い物をするのも、腹いせにやや高価な珈琲を嗜むのも。
全く、今日という日は本当に。
目先の欲ばかりに目が行って、視野が狭くなってる。
という話がしたいんですよ。
ペニー・〇〇〇。〇〇〇・ワイズ。
物を買う時に意識しなくてはならないのが、イニシャルコストとランニングコスト。
意味ってご存知ですかね?
イニシャルコストって言うのは、所謂『初期投資』。
一度だけ払えば、あとのお値段考えなくて良いって事。
逆にランニングコストというのは、『維持費』。
月々〇〇円掛かります。とかそういうの。
どっちが安いかと言われたら、物に寄りますけど、イニシャルコストじゃないですかね?
対比させたいが為に、あえてこの単語使ってます。
んでもって、今の鏡花、イニシャルコストを躊躇って、ランニングコストに投資をしているんですよ。
つまり、最初だけ負担をかければずっと楽しめるのに、最初の負担を軽くして、後にも負担を継続させてる。
美術書ってそれ一冊買えば、ありとあらゆる世界の絵画が見れます。
栞を買い集めなくても、それ一冊で似たような光景が見れる。
それでも買う事なく、腹癒せに喫茶店の珈琲を飲んでます。
単価は美術書よりも安いですよ。
でも悦に浸れるのは、頑張っても一時間ぐらい。
浸る為にはまた投資をしなくてはいけない。
つまり、破格だと分かってる、そっちの方が安いと分かってる。
でも初期投資の高さに尻込みして、一時の休息にお金掛けてる。
これが『価値を見誤ってる』という事。
人によっては意味が違うかも知れません。でも今の鏡花にとっては、
美術書を買った方が安いんです。
それを分かってもいるんです。
でも高い方を取っている。
だから頭を抱えている。
何時もそうなんですよ。別に買って後悔はしないけどさぁ、価値を天秤に掛けたら、そっちの方が『安かったな』って思っちゃう。