灰と廃材の山
細く長く、温かく力強い風が吹き込んだ。
風は無遠慮に灰の山を舞い上げ撒き散らす。
それは過去の残骸だった。
それは逃げた私の痕跡だった。
懐かしさと不快感に目を細めると、渦の中で何かが小さく輝いた。
煌々と火花を散らす勢いはない。
だけど燃え尽きたと思った私の中に、こんな熱が残っていたことに驚かされる。
廃材を砕いて焼べると燃え移り小さな熱が生まれた。
熱は全身に巡り、錆び付いた脳が軋み悲鳴を上げる。
今はまだゆっくりと。
無理をせず絶やさぬように。
だけどいつか、この小さな火が炎となり焱となり風を巻き起こしてくれたなら。
そしてその風で、誰かの燻ぶった心に空気を送ることができればいいな。
そう思って私は再び歩き出す。