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精神病院より脱出せよ

作者: とばり

日本には患者の人権を半ば無視して病院に入院させる強制入院って制度がある、精神病院の話だけど。

そこから始まったエピーソード。

17歳の時に、高校生である主人公女(悠里)は精神病院に強制入院させられたって言っても、厳密には単なる診療所の精神科医。もちろん、メンタルクリニックの精神科医師に「強制入院、医療保護入院」権限がない。

しかし、私は「強制入院」させられたのだ。精神的な不調を感じ、親に連れて行ってもらったがその医師は初診の時に症状や家族関係や今後の悩み等を聞かれた、

精神科医は冗談で「じゃあ、念のために医療保護入院ね」って初診で言ってきた。

私「医療保護入院って何ですか?」精神科医「あなたの症状が凄く重かったりしたら、精神病院に強制入院させるって制度が日本にあるんだ、覚えていて損はないかも、メンタルクリニックの医師はそんな権限ないけれど、殆ど精神科医がそれを病院勤務時代に経験している。」

私「あっそうなのですか、症状が重くならないように気を付けます、強制入院って言うからには脱出しようとする患者も一定数居るのですか?」

精神科医「私が病院勤務時代にチラホラ居たね。」

そこら辺で初診は終わったが、私は初診の会話が頭の片隅に残るようになっていた。

軽いうつ病、不眠症。そこで高校時代に薬を貰うようになっていた、やや友人関係のストレスや学校でのストレスのために若干、精神的不調を発してしまっていたのだ。

しかし、私の症状はなかなか改善されなかった。初診の言葉を思い出した、「じゃあ、念のために医保護入院ね」

私は医療保護入院同様に何か脱出しようとしている事に自分が居る事に気づいた。

次の診察では「私も医療保護入院されている、なぜなら私は何かから脱出しようとしているため。」って述べた。

精神科医「ワハハ、そんな側面あるかもね」

家に帰ってきて、うつ病、不眠症のyoutube解説やわかりやすく紹介しているHPを読んで「脱出」を頑張ろうって考えた。薬を飲んで、登校する時にいつもと違う自分が居る事に気づいた、プラセボ効果なのかもしれないけれど。学校の先生や友人関係のために自分がややストレスを感じて、精神科に通った事があったが、それを断ち切ったり、周辺環境のせいにする事は不思議とあまりなかった。

通っていて症状も緩和するうちに、私は「医療保護入院」より脱出したと自分でも感じていたが、大学時代に成って、日本経済が衰退していて日本からまた脱出したいと感じていた。私は日本そのものが巨大な精神病院であり、日本人の一部は衰退し続ける日本から脱出を図ろうとする患者と何も変わらないって感じるようになっていた。

とりあえず、英語の勉強や資格の勉強などして日本脱出を図ろうとしていた。しかし、取り立てて凄い大学でも大資格を取得できる学部でもなく普通の大学、普通の学部、大学入学して四年間で出来る事なんて限られている、それでも私は日本という巨大な精神病院からの脱出を考えていた。

大学を卒業して、海外企業に就職する事を考えた、大学時代にとりあえず英検一級などを取る事を考えて、講義の合間に勉強した。しかし、それも大学四年に近づくと難しい事が判明した。そこでまず、日本で就職し海外に転勤する事を目指そうと考えた。そのために海外に支社があったりする日本の会社を就職活動しまくる戦術を取った。

色々やっていて、そんな会社に就職できた。最初の方は海外転勤なんて話はなかなかなかった。「海外に転勤したいのですが」「新人にはまだ早すぎるかな」「そうですか」それでも、この会社は海外支社を沢山持っているせいか入社7年後ぐらいにそんな話が出てきた。

海外に転勤し、日本という精神病院より遂に脱出した!私は合衆国に着いたときにワクワク気分が止まらなかった。なるべく長く滞在したい云々、現地に着いたら、上司などと話し合った。「あーそうなの?うちの会社はロサンゼルス、ニューヨーク、ダラス等いくつか海外支社があるから、そこらへんと連絡取っておくわ」

・・・・ありっ、なんか上司も別に普通な態度。それもそのはず、私だけが日本という巨大な精神病院から脱出できた!って考えていただけだし。

現地でまず海外用社宅を利用し、勤務する事になった。あまりなれないけれど、ワクワクが止まらなかった。海外支社は日本人が多いし、ツイッターもあるし、大学時代に英語を片手間にやっていたおかげでアメリカのテレビを見たり、新聞も理解し、最高の生活のように思われた。

ある日、同じ州で銃撃事件が発生した、アメリカってそんな事ある国だって知っていた側面があるけれど、ちょっと怖くなってきた。そんな事があるのは承知だったが、まず物価も高い、医療費も高い。最初の方は社宅がどうとか?言っていたが社宅以外の理想の部屋を見つけるのも大変だった。食べ物も日本とは違いそんなに旨くない。アメリカは移民国家であり、考えが合う友達を見つけるのも大変だった。

海外転勤した時に出会った上司の普通な態度を思い出す日々になった。

精神病院の定義の中断、意外に海外の生活も楽ではないと感じてしまっていたため。

いつの日か、海外転勤も終わりの時期に近づいた。

私は日本に帰る前夜、ホテルや空港で「精神病院」の定義の事を考えていた、なぜ?あれだけ日本から脱出したいと思っていたのになぜ戻ろうとしている・・・。日本は巨大な精神病院ではなかったのか?大学時代に抱いた自分の考えに疑問が生じた。

特に日本の空港に着いた時に大学時代の考え、日本は巨大な精神病院であり、一部の日本人は衰退し続ける日本から脱出を図ろうとしているって凄く間違えているように思われた。

久々の日本に帰ってきて感動したし、両親や親戚にまた会えて、これこそ私の故郷であると心底、感じた。

・・・、しかしそれも束の間の幸せに感じた。

日本に帰ってきて、日本社会の生きづらさや衰退は変わってないし、政治にも不満がある。しかし、日本は巨大な精神病院ではなかった。しかしその何かから脱出しようとまだ頑張っている自分がいる、本屋や図書館に行き、人生の悩み等に関する本を借りた。仏教「一切皆苦」、キリスト教「現生では苦しみがあるけれど、来世では幸せになれる。」。

「一切皆苦」、仏教の考えにも共感したがキリスト教の考えの方がしっくり来ると感じた。なぜなら、あの時の「脱出」の事を頭の片隅で考えている自分が居たからだ。

そう次は私は人生そのものが「強制入院」であると感じたのだ。キリスト教に興味を持ち、教会にもやや通うようになった。

そんな事などを考えつつ、会社に通う日々になった。いつの日か知ったが、高校時代のもう亡くなった精神科医はどっかの教会に所属していた事をネット検索で知った。それから日本は震災などに会い、会社を通して復興に貢献したりやりがいもあった、しかし、震災そのものによる日本社会の生きにくさはますます助長されるばかり、だが日本が巨大な精神病院であるという大学生前後の考えはもうない、日本から脱出する気はない。いつの日か、大学生前後に感じていた事が最近、円安って形で日本に社会現象として遂に登場してきた。しかし、日本は巨大な精神病院ではないのだ、それから生じる悩みなどを経験する事が「強制入院」なのだ。円安だから日本人が資産逃避にドルに換えたらまた円安、円安だし政府が補助金を出したらまた財政悪化等の悪循環により、日本はいつの日か通貨危機に遂に陥った。

会社の業績も凄く悪化し、私もリストラに会った。そこから何とかまた職を見つけたが、物価はうなぎ上りに上がり、病院も機能不全に近くなってきて、日本の失業率が凄く高くなった。又、日本は燃料が通貨危機のために輸入コストが著しく増大し、停電が相次ぐ街になった。

転職に何とか成功したが、手取りは前よりか凄く低いし、節約、食品高すぎるでやや不健康な生活に陥ってしまった。通貨危機も6年前後に私は病気になってしまったが、病院も機能不全に近くなっていて、最後は自分の家でゆっくり死のうと考えた。

病院が機能不全に近いために、何とか薬をもらうぐらいでたまに自宅療養しながら、仕事をしていた。

いつの日か、それもついに限界が来て、私は自宅で死んでしまったらしい。

現世からの脱出。

私は天に到達した、精神科医「退院おめでとう、もう悩みも束縛もありません。あなたは精神病院より脱出しました」。

私の物語がここでお終いになってしまう、日本が通貨危機に陥った後どうやってそれを克服するか?又は克服できずに国際問題が生じるのか?それは私もわからない。しかし、日本や地球に生まれた事は「強制入院」だったと私は天で痛感している。


end.


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