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第九話 新世紀神話とは

新世紀神話について、宗教人類学の第一人者である新免ヒロモト氏は、雑誌の異色対談企画で、以下のように語った。


※対談の相手は、女優の伊志原聡美(いしはらさとみ)氏。


「私は、新世紀神話については、あまり知らないのですが、この神話の特徴的なことを教えて下さい」


「はい。まず、この神話の特徴的なところは『神』や『悪魔』は、人間が創造したものであると、ハッキリと記されているところですね」


「では、人間は、どうやって誕生したと語られているのですか?」


「まず最初に薄暗い時空が存在するのです。これは『老子』の第一章に似ていますね。また、その時空から万物の(もと)が飛び出して世界を形成するのは、ビッグバンを示唆しているようでもあります。そして、世界に動植物が繁栄して、人間が誕生する流れです」


「ビッグバンですか。ずいぶんと科学的な神話なんですね」


「そうなんですよ。この新世紀神話は科学的であり、もちろん、哲学的でもあるのです」


「それで、この神話は、何年前に記されたものなのですか?」


「約9500年前です」

「凄く古いですね」


「はい。この神話は、人類最古の石板に記されていました。Q州の遺跡から発見されましが、縄文文化とも弥生文化とも違うようですね。研究者も驚いているようです。私も驚きました」


「いろいろな、新発見がありそうですね」


「そうなんですよ。この新世紀神話には、アダムとイブ、その息子のカインとアベルに、似たエピソードも登場します。旧約聖書の元ネタといえる神話ですね」


「それがQ州の遺跡から発掘されたのですか。興味深いですね」


「さらに、この神話では、古事記と類似する記述も見られるのですよ。これから研究が進めば、もっと興味深い発見も出てきそうです」


「それは楽しみです。話は戻りますが、神と悪魔については、どのように記述されているのですか?」


「この神話に登場する『神』は、人が『叡知』により『創造』したと、記述されています。だから神とは、人がより良く生きるために『想像』した架空の存在であると言いたいのでしょう。ですが、話が進むと、この神は擬人化され、東の島で『イザナミ』という女性と結婚して、息子をもうけます。さっき話した古事記と類似する部分ですね」


「悪魔は、どう語られているのですか?」


「この神話では『悪魔』は『神』と同時に生み出されます。つまり『神』と『悪魔』は表裏一体の存在であると」


「それで、神と悪魔と人間の関係性は?」


「悪魔の役割は、人間を『堕落』させることです。そして『神』は堕落した人間を滅ぼそうとする。この点は旧約聖書と同じですが、人間を救うのは、悪魔の役目になっているのです」


「そうなのですか(驚)」


「まあ、悪魔に救われるのは『利己的な人間』ばかりですから。だから、人間の社会は良くならないのだと、皮肉混じりに、新世紀神話は語っているのです」


「なんだか奥が深すぎる。でも、それを聞くと、9500年前の社会も、現代と、そう変わらないと思えてきました」


「結局は人は、9500年前から『進歩していない』という事でしょう(笑)」

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