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世界の崩壊をボクの眼鏡が救うだと?(旧題:壊れかけの異世界とクソ眼鏡)  作者: バイオヌートリア
第二章 テンプル騎士団
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第8話 行政区サキセルへの道中

 アーティファクト……レリックだっけ?の鎖が解かれ自由になったので、眼鏡のズレを直しながら問いかける。

「今のもアーティファクトですか?」

「あぁ、レリックの方さ。これも既に二〇〇年近く前に作られた骨董品だが、割りと役に立つだろ?」

 俺の協力を取り付けたセシュは肩の力が抜けたかのように少し微笑む。

「かわいい……」

「お世辞を言っても何も出んよ。情報くらいならやれるがね」

 しまった……口に出ていたか。

「我々が神器を求めるのには理由がある。レリックはエルフとドワーフの技術の粋を集めて作られており、非常に堅牢な作りではあるのだが耐用年数が三〇〇年程度。その年月が経過する前後でいずれ壊れる運命なのだ。今の『チェーン』ですら後一〇〇年以内に確実に壊れる計算だ」

「それで神器を解析して、新しいアーティファクトを作る気なのですか?」

「そういうことだ。この大陸の西半分の共和国と、東半分の魔王領のいずれの国民であれ、神器がもたらされた場合は行政に申告し、研究への協力が義務となっている。無論、それを遂行しないで売るものもいるし、ラガーン達ならず者にもたらされる場合もあるがな」

 要するに、それほどまでに火急に神器を作る必要があり、必死に集めているということだな。

「各地にある研究機関で調査し、定期的に学会などで研究発表をしている。……が、あまり研究は進んでいない。」

 神器事情についてのさわりはなんとなくわかったかな、あと聞いておくべきことは……。

「ラガーンについて教えてもらえますか。襲ってくる目的などが不明なので」

「彼らの目的は主に資材と人間の確保だ。魔法が使えなくなってから、火などを使うアーティファクトの負荷を減らすため、炭鉱から出てくる石炭が重要な資材となった」

「アーティファクトを壊さないようにですね」

 石炭があるのか。異世界のわりに結構元の世界に近い資材があるな。

 と言うか、落盤事故も俺がいた世界とそのあたりは同じなんだな。

「石炭を掘る作業は落盤の危険が多く、死者が出ることも多いし、掘った石炭が全てが使えるわけではない。水分の多い泥炭はなかなか燃えず火力が出ないので、選別が必要となる。復活の日になるまで石炭を掘り、それから総出で選別・搬出をする。復活した男たちが搬出を行うというわけだ。だから、搬出前後で盗賊が活動を始めるのだ」

「仕分けられた純度の高い石炭だけを手に入れるために……。石炭がたまったタイミングでラガーンが強奪に来ると」

「腹立たしいことに、その通りだ。元々、魔石を掘るために作られていた講堂がそのまま使えることがわかったのだ。魔力を持つ色とりどりの宝石の価値は暴落し、その周りにあった黒いゴミが金脈となった」

 大体の説明を終えたアイビーさんは、手元のレポートらしきものを書きこみながら胸中を語ってくれた。

「狙われていることが分かってから、石炭・鉱石を算出する地域に警備部隊は派遣している。だが、炭鉱は各地に有るため毎月どこに来るか分からん。必然的に戦力を分割することとなるし、発見してもその場で追い返すまでには至らない人数しか割けない。盗まれてから後手に回るしかないのだ」

 採掘できる拠点が複数あるというのは、安定生産ができる以外に襲われやすいという欠点も内包しているんだな。

「まぁ、もうそろそろサキセルに着く。残りの話はあとからにしよう」

 集落からここまで半日くらいで行政区の門に到着した門の上から滝のように水が流れており、そのシャワーで砂埃を落としたあと門を抜けた。

 僕たちは、そこから一五分程度の騎士団の詰め所に着いた。

 騎士団の詰め所では、ノインさんらとは別の部屋に通されて、それぞれ事情聴取が始まるのだった。まずは、昨夜の状況を事細かに聞かれた。


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