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たとえ瞳が失われても  作者: しっつう
1章 出会いとこれから
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1

その日、僕は夢を見た。

夢の中では僕のお父さんとお母さんが殺されていた。

殺したのが一体誰なのかもわからない。

わかるのは、夢の中で僕が「お父さん!お母さん!」と泣き叫び、僕の目の前で焼けただれたお父さんとお母さんが床に倒れているということだけだった...。



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時刻は18時00分

終業のチャイムが学校に鳴り渡る。

それと同時に、白金聖(しろがねせい)は目を覚ました。

あぁ、もうこんな時間かと聖は頭をかく。

こんな大事な日に学校で爆睡してチャイムで目を覚ますなんて、俺ってまじで危機感ねぇなぁと聖は自分自身に呆れてしまう。 

そう、今日は聖が《守護人(しゅごにん)》として初めて、自分の守護対象の《(アイズ)》を持つ人間、すなわち《瞳憑き(アイジスト)》と会う日だった。


「たしか、19時に生徒会室に集合だったよな」


そんなことを呟きながら聖は教室を出る準備をする。

すると聖の後ろの席の鈴木が声をかけてくる。


「ようやくお目覚めか?」


「あぁ、昨日寝るの遅くてさ」


「いつものことだからもう何も思わないけどさー。聖は今日もジム行くのか?」


「いやー、今日からしばらくジムは行かねぇな。」


「珍しいな、何かあんの?」


「これから大事なことがあんのよ」


「お前がボクシングより優先することか...。さては彼女でもできたな!」


「馬鹿言うな、んじゃ行くから」


「おう!何かわかんねーけど頑張ってな」


そんなくだらない会話をして聖は教室を出た。

だが、こんなくだらない話だっていつまでできるかわからない。

これから《瞳憑き》と出会い、その後自分がどんな生活を送るのか聖には想像もできなかった。

しかし、どんなことが起きようと自分の身を守るために、聖は7歳からの9年間全てをボクシングに捧げてきたのだ。

ボクシングという人間の格闘技で、人間の力を遥かに超える奴らから自分の身を守れるか、《守護人》の役割が務まるのかという不安はあったが、それでも何かをやらなくては恐怖に心が耐えられなくなると聖は考えていた。

そして少しの時間歩いていると、聖の目の前に生徒会室の扉が見えてきた。

聖は少し早いかと思ったが、扉に手をかけ一息吸った後、勢いよく扉を開いた。


生徒会室では、窓から差し込む夕日に照らされた一人の少年が椅子に腰かけていた。


まるで常闇のような漆黒の髪に、それとは対照的な透き通るように白い肌、そして息をのむほど綺麗なオッドアイ。

右目は髪と同じ漆黒で、左目は澄んだ青色の瞳をしていた。

彼は、その綺麗な瞳からは想像できないほど冷ややかな目つきをしていた。

そして、椅子の傍らにはどこにでもあるような木刀。


その普通ではない男の姿を見て聖は、この男が何者であるか即座にわかった。

この学園の生徒会長、黒羽月華(くろばねげっか)だ。

月華は聖にちらりと目を向けた。

聖はその瞳を見て確信を得たが、念のために聞いておくことにした。


「お前、《瞳憑き》か?」


目を少し細め、月華は答える。


「ああ、そうだ」


その返事を月華から聞いたと同時に聖は口元に小さな笑みを浮かべ、《白虎(びゃっこ)》の能力(ちから)を全身に巡らせた。

そして能力が全身に巡った刹那、聖は月華に殴りかかっていた。

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