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1.ラミエス嬢VSバカップル(?)

あのラミエス嬢との遭遇から数日が経った。

その日も私はレインと一緒に行動…と言うより、レインが私にベッタリなので(凄く嬉しいし彼を喜ばせたい)私も婚約者としてレインの腕に自身の腕を絡めて歩いていた。

…予想通り、レインも嬉しそうに私へ微笑みかけてくれて、そんな彼の笑顔に私も嬉しくなる。

そんな風に彼との学園生活を満喫していた時の事。

またもやラミエス嬢と遭遇した。



「あっ!レインくんだぁ~!レインくぅん♪」


「は?」



あ、彼女には許可もしていないのにいきなりの愛称呼びに今回は流石にレインもちょっとカチンと来たみたいね?

思わず怒気のこもった、『は?』が口から出てしまった様で、

恥ずかしげに私を見て、誤魔化すように抱き寄せてきたから、

私は"気にしないで"と伝える為に微笑みながらレインの頬をつついたわ。



「…エリィ。」


「…ええ。」


「ねぇねぇっ!レインくんっ♪」


「お待ちなさいラミエス嬢。」



それだけで私は、常識的に考えて知り合いですらない異性と話せないレインに、ラミエス嬢の対応を任されたと理解して彼女の前に割り込んだわ。

すると、ラミエス嬢はわざとらしく頬を膨らませて怒りを露わにする。



「むぅ…!

なんなのあなた?わたしは今レインくんに声掛けたのっ!

あなたはお呼びじゃないよーだ!」



はぁ?

なんなのよその話し方は!?

貴女は一体、今何歳ですの!!?

前も思ったけれど、16歳の話し方としてはあまりにも幼稚すぎる………!

庶民だったことを差し引いても精神年齢が低過ぎではないかしら!?

頭が痛くなってきましたわ…………

思わず眉間にシワがより、それを解すように親指と人差し指で揉みながら私は続ける。



「…私には用がありますの。

貴女はいつ、()()()()()()()のですか?

貴女と彼は知り合いですらない、なのにいきなり名前どころか愛称呼びは失礼ですわ。」


「え〜?あなたこそ何言ってるの?

レインくんとわたしはもう何度も会ってるし話してるよ!

ほら!わたしとレインくんはお友達♪お友達なら愛称呼びもおかしくないでしょ?」


「…彼が、何時、貴女に名乗ったのでしょうか?」



もし本当に"お友達"になったのなら、レインが私に言わないはずがないわ。

私はそれ位レインを信用してるんだから。

だけど、ラミエス嬢はちょこんと首を傾げ、右手の人差し指を頬に添え、わざとらしいほど"可愛らしいポーズ"をとって返す。



「え〜っ?いつだって良いでしょ!あなたには関係ないもの!

それに!わたしはレインくんのフルネームを知ってるよ?

【レインハルト・バンバルディア】でしょ?」


「……。」



私はそれを肯定しない。

迂闊な発言は、レインを追い詰めるだけ。

私は、深くため息をついてから、改めて口を開いた。



「言い方を変えるわ。

貴族社会のルール、『名乗り合い』を貴女と彼はしたのかしら?」


「え〜?何それぇ〜?わたしにはわかんないなぁ~??

ねぇ!それよりレインくんっ♪そんな怖い人ほっといてわたしとお話ー


「いい加減になさい、ラミエス嬢。」


「ほぇ?」



私が何を言っても聞く様子は無く、あまつさえ話の途中なのに私を無視してレインの手を取ろうとしたラミエス嬢に、

私は遂に、怒気を込め、低い声を出してしまう。


ちょっとした騒ぎになりつつあったので周りに集まり始めていた生徒達がビクリとする。

ラミエス嬢も、流石に怒気に気付いたのか、動きが止まる。

そんな彼女に対し、私は怒りを込めて、眼光を鋭くして彼女に迫った……

迫って…しまった…………



「私は、貴女に。

知り合いでもない未婚の男性、しかも、婚約者の居る彼に、軽々しく話し掛けないでくださいまし。

と、前も似た様な事を注意しましたわよね?」


「そ…そうだったかなぁ…?」


「なのに、貴女は、なんですの…?

懲りずに、こんな、人通りの多い場所で、格上の、公爵家の令息に、礼も尽くさず、いきなりなれなれしく話し、あまつさえ、私の話を、無視?」


「えぇ………


「人の話を聞かないだなんて、そんな無礼は、例え、我が国の父母、全ての貴族の頂点である、王族の方々でさえ、許されませんわ。」


「それは…勝手にあなたが喋っていただけじゃない……なのに…なんでわたしが怒られてるのぉ………?」



あぁ、やってしまった。


怒気に当てられたラミエス嬢が涙目になる、この、庇護欲を誘おうとする様な顔をされたら、私が、虐めたみたいじゃないのよ………

私は…間違った事なんて言ってないのに…………

間違ってるのは彼女なのに…………



「…エリィ、エリィ、落ち着いて?」


「きゃうっ!?」



…つい感情的になってしまったことを悔い、気持ちが沈み始めた直後に、レインに脇腹をつつかれ、つい変な声を上げてしまう。



「ほらほら、可愛い顔が台無しだよ?」


「ちょっ、れれれレインっ!?わ、私は、可愛くなんか…………



更にレインは私の頬へ手を添えて甘い言葉を囁いてくる……

あ、よく見たら、レインも怒ってるわ…!?

私の頬を撫でつつ微笑みながら、口の端がヒクヒクしてますわ!!?

だからこそなのか、私に癒しを求めてなのか、私の髪を梳くように指を刺し入れて撫で上げてくる………!



「いいや、誰がなんと言おうと私のエリィは世界一可愛いよ。

それに、君は正しい事を言っただけ、何も気にしなくても良いんだ。

男性である私が、 知 り 合 い で も 無 い 女性とは話せないから代わりに君へ注意してもらうしかないのが申し訳ない。

ありがとう、私の可愛いエリィ……。」


「〜っ!」



やめてくださいましぃぃぃぃっ!?

あぁ!もぅ!

もぅもぅもぅっ!!

レインはなんなのですの!?

本当に私と同い年ですの!?

怒りが含まれてるとはいえ、何時もより甘さも色気も増してますわぁぁぁ!!?

私の顔が今、真っ赤になってるのが自分でも分かりますもの!!

間違いなく周りの生徒にも私のこのだらしない顔が見られていますわ!?



「ほら、真っ赤になったエリィは凄く可愛い……2人きりなら今すぐ君に口付けをしたいよ。」


「も、もぅ………もぅ……やめて…くださいましぃ………


「フフっ…分かった。」



息もたえだえに私が懇願すると、満足したのかレインはあっさり了承し、私の腰へ腕を回して支えながらその場を後にした………

あら………?

そう言えば、恥ずかしさで忘れていたけれど、ラミエス嬢が放ったらかしね。





はい、今回も安定のイチャラブです。


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