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0.入学の日~アリス・ラミエス嬢との遭遇~

2020/3/14

加筆修正しました


3/18

加筆修正しました


4/10

矛盾に気づき加筆修正しました

ーさて、このお話を改めて高等部へ進学した辺りから始めようかしら。


16歳になった私達が高等部へ進学し、高等部寮へ入寮して数日が経ち、寮生活に慣れてきた頃。

寮の庭でいつもの様に私が焼いたクッキーでレインとお茶をしていると、

桃色の髪をした少女が茂みから飛び出してきた……



「ひゃぁぁ〜!虫いやぁぁぁ!!」


「「…。」」



私とレインはそんな少女に胡乱気(うろんげ)な視線を向ける。

だってそうでしょう?

仮にもここは貴族の子女が通う王立学園。

そんな所の庭で、貴族子女としてはありえない登場の仕方をすれば視線も胡乱気になると言うものよ。



「…リヒター、彼女に付いてる虫を取ってあげなさい。」


「承知した。」



ちなみに、最近になってレインは人前での一人称を『私』にして丁寧な話し方をする様になったわ。

私達だけの時は今まで通りのフランクな話し方で一人称も『ボク』だけれど。

…とりあえず、1貴族として対応する事にしたレインが従者のリヒターさんに指示して虫を取らせると、

一息ついた少女が頬を染めて恥ずかしげにはにかんだ……



「ふぇぇ…ありがとうございましたぁ……



ん?何か、少女から変な気配がした様な………?

と、同時にレインとリヒターさんが眼光を鋭くして私を守る様に移動した……?

そして、知り合いでもない女性に声をかけれないレインに代わり、従者のリヒターさんが声を掛けた。



「…お前は今、主様達に何をした。」


「えっ?」


「何をしたのか、と訊いたんだ。」


「お礼を言っただけだよ…?

助けてもらったんだし当然だよね……?」


「…そうか。では、もう行け。」



リヒターさんは、要領の得ない会話に益々警戒心を強め、追い払うように話を終わらせたわね。


すると、納得いかなかったのか他の理由があるのか、少女は引き下がらなかった………

面倒ね。顔には出さないけど。



「あのっ!何かお礼をさせてっ!!」


「いや、そこまでする必要は無い。

主様は当然のことをしたまでだ。」


「でもでもっ!私が納得いかないよ!

あ、そうだ♪今度一緒にお茶ようよ?

私、お菓子作りが得意なんだよ♪」


「…菓子なら、主様の婚約者の物で間に合っている。」



……何なのかしらね、この少女。

いえ、最近ラミエス男爵家に引き取られた、【アリス・ラミエス】嬢は。

お互い自己紹介すらしていないのにベラベラと………

流石に淑女として見過ごせないわね。




「…コホン、レイン?口を挟んでも宜しくて?」


「ん?良いよエリィ。」

《悪いけど後は頼むよ》


《ええ、分かったわ。》

「ありがとうございます。

…それで貴女、家名を名乗りなさいな?」


「…人に名前を尋ねる時は自分から名乗ったらどうなのかな?

まぁいっか!私はアリス!アリス・ラミエスだよ!!最近男爵?ってのになって、この学校に入ったの♪よろしくね☆」


「「…。」」



ええ、今、『はぁ?』なんて怒りに満ちた言葉が口から出なかった私を褒めていただきたいわねぇ!?

貴女のソレはどこの常識よ!!

先に名乗れ?貴族社会では格下から名乗るものだし、名前まで名乗ったら知り合い判定になってしまう……

つまり、自らフルネームを名乗らなければ"一方的に知ってるだけ"になる。

そもそも、私もレインも貴族の嗜みとして全員の名を知っているから貴女のフルネームは知ってるのよ!!

だからこれは形式的なもの、本当に知らないなんてのはただの馬鹿よ!?

と言うか、私は(知り合いになりたくないから)()()()()()()と言ったはずよねぇぇっ!?


って…あ…レイン?さりげなく私の頭に手を置かないで下さる!?

頭をぽふぽふとあやす様に撫でないで下さる!!?



「それでそれでっ?あなた達はだぁれ?」


「…。」



……本当に知り合いになりたくない………

と言うか、もう関わりあいになりたくない。

こうゆう時は『知り合いにはなりません』の意、つまり『名乗らないではぐらかす』、ね。

貴族の端くれなら、家名だけは知っているでしょうし。



「それより、貴女は何なのですか。

知り合いでも、ましてや婚約者や親族でも無いのに長々と話さないで下さいな。はしたないですわ。

そもそも、人前での話し方がなっていません。

会話術の授業はちゃんとお受けになったのですか。」



ちなみに、リヒターさんの話し方に関しては『従者兼護衛』としての話し方なので問題ないわ。



「ふぇぇっ!?なんで私、いきなり怒られなきゃいけないの!?

怖いよぉぉ…………


「…。」


「リヒター、彼女を女子寮まで送り届けてあげなさい。」


「承知した。」



…確かに私は、キツイ顔立ちをしている自覚はあるけど、実際に初対面の相手に泣かれると…………

と、そんな私の雰囲気を察したのか、レインがリヒターさんに指示を出し、ラミエス嬢を寮へと帰させた………



「…エリィ。」


「分かっていますわよ……ですが…私は、そんなに怖いのでしょうか………


「あぁもうエリィは可愛いなぁぁっ……


「きゃっ!?れ、れいんっ!?やめて下さいまし!あ、頭を!頭を撫で回さないで!?」


「大丈夫だよエリィ、エリィの可愛さは僕が知っているからね?」


「うぅ…恥ずかしいですわ…ですが、ありがとうございます……




……まぁ、あの子との出会いは概ねこんな感じだったわね。

え?私達がイチャついてただけですって?

…………………そうとも言うわね。










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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが気になります!! イチャイチャがたくさん見たいです笑 レインは転生者でしょうか…
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