8.一応は戻るつかの間の平和な時間
不定期更新申し訳ないです
………さて、アーちゃんの執事だったクラウスさんが実は皇太子であり、愚殿下に婚約破棄されたアーちゃんを保護して連れ去り、魔王殿下フェンネル様や勇者アルカ様と共に帝国を取り戻しに行った事件から数日後。
帰ってきたフェンネル様とアルカ様から、クラウスさんが無事に帝国を取り戻して皇帝となり、クラウスさんと結婚したアーちゃんが皇后になった事を聞いたし、
私とレインは親友のアーちゃんやクラウスさん、アルカ様やフェンネル様が無事だったのもあり、特に変わり無く学園生活を送っているわ。
「ははっ!
まさか不意討ち強襲作戦がここまで簡単に行くとは思わなかったさ♪」
「本当に簡単だったねぇ。
あのクラウスさんの義兄と名乗ってたこーてー(笑)の背後に転移するまでは手伝ったんだけどさ、あれはものすごく弱くてフェイが手を出すまでもなくクラウスさんが倒しちゃったんだよ!」
((そりゃあ、魔王殿下や魔王様、勇者様なんかでなければいきなり転移されたら防御も間に合わないだろうに…………))
今は、私とレインの部屋でフェンネル様とアルカ様を交えた4人だけで話しているので、アルカ様はかなり砕けた口調になっているわ。
それにしても短期解決は不意討ちのおかげ…なんて、ねぇ………
まぁ、劇じゃないのだから決闘より確実且つ迅速な方法が……暗殺が望ましいわよね。
…と、レインと私は2人で苦笑いを浮かべると、魔王殿下がなんでもない様な口調で爆弾を落としてきたわ………!
「そうそう、次期魔王として、フェンリル帝国新皇后陛下となったアリア様の使い魔さんにも挨拶してきたよ!」
「えっ…!?」
よくアーちゃんのそばに居た私でも分からなかったのにどうやって?
とか、色々思い浮かんだけれど、フェンネル様は軽い調子で続ける。
「彼女は完璧に隠れていたし、こっそりクゥと協力しながら皇帝(笑)にとどめを刺してたなぁ……リビングドールは元々暗殺系の種族だけれど、彼女はその能力がずば抜けてるね!魔王でなければ見落としていたよ♪」
「フェイはそれが言いたいだけじゃないの?」
「いや、そうだけれどそれは言っちゃダメだぞアルカ♪」
「……フェンネル様、その使い魔さんとはどの様なお話を……?」
私がそれを訊くと、フェンネル様は直ぐに真面目な顔になった。
「んー…魔王として、帝国の監視を命じたよ。
クラウスとアリア、2人の心根は善人だと判断出来る。
が、ただの善人じゃあ周りのせいで道を間違えかねない。
だから、我々コキュートスは、『管理者』として口を出させてもらうのさ。
それに近々、補佐としてウチの魔族を送り込むつもりだ。」
「…なるほど。我が国で言う所の【ノームスフィア家】や【セルシウス家】、【ヴォルテクス家】の様なものだね。」
「正解だよレイン。
尤も、あの3つの家は奥方が当主様に惚れて嫁入りしたと言う事情もあるから成り行きだけれどね。」
「ノームスフィア家……
ノームスフィア家の子とは私は仲がいいわね………
ふと、そのノームスフィア家のもふもふ令嬢に思いを馳せるものの、今はそれよりも本筋だわ。
「フェンネル様。
その使い魔さんは…スパイになるのでしょうか?」
「ん…?ああ…親友の使い魔だから心配しているのかい?
安心したまえ、あくまで主はアリアさんだよ。
勿論、アリアさんを交えて話をしたとも。」
「そう……
なら、良かったわ………
まぁ、フェンネル様やアルカ様だから、アーちゃんを無下には扱わないと信じてはいるけれど。
「ははは、言っただろう?
クゥやアリアさんの為に使い魔に頼んだんだから、当然敵対させるような指示はしないよ。」
(そもそも、あのリビングドールは心の底からアリアさんに忠誠を誓っているからね。
命令を弾き返すほど強い忠誠心を持ってる。
まだ、本当に魔王になった訳でも無いとは言え、僕の命令を弾く程に忠誠心がある魔族だなんて、中々に面白い。
きっとあの子は、万が一僕が暴走した時に躊躇なく殺してくれるだろう…………)
………?
フェンネル様はどうしたのかしら……
何だかしんみりしているような……?
だけれど、次の瞬間には何時もの温和な笑みを浮かべた顔になっていた………
「さて、後はもうお話は無いかな?
ならば、お暇させてもらうよ。」
「お疲れさま、フェイ様、アルカ様。」
「お疲れ様でしたフェンネル様、アルカ様。」
「うん♪でもエリーは堅苦しいかなぁ?
アルって呼んでよ♪」
「もっと気楽に、ねっ?
ほらほら、フェイって呼んでみなよ♪」
「……そうね。
ありがとう、……フェイさん、アルさん。」
「「おやおやおや?」」
「エリーちゃんったら随分柔らかくなっちゃって♪」
「これはレインやアリアさんの影響かな?♪」
「……っ!いいからっ!また明日っ!!」
「「はいは〜い♪」」
はぁ………あの二人の明るい雰囲気に流されたのもあるけれど、勇気をだして気軽に話しかけてみたら物凄く嬉しそうな反応をされたわねぇ………
ただ、かなり緊張もしていたから、2人が転移して直ぐに私は深呼吸をして心臓を落ち着かせる………
と、レインが私の肩に手を置いて話しかけてきた……
「ビックリしたよ、あのエリィが魔王殿下相手に、頼まれたとは言えあんな砕けた態度をするなんて……
そう言ったレインは、喜んでいいのか、砕けた態度は自分だけの特権だったのにと嫉妬すればいいのか、よく分からない複雑そうな笑顔だったわ……
だから、私はなるべく優しい顔になる様に意識しながら笑顔を浮かべ、レインに正面から抱きついて見上げる様にして返したわ。
「…私があの方達…あの二人に素直に砕けた態度をとれたのは、きっと貴方のおかげよ、レイン。」
「ーっ!?」
(え。何その笑顔!?破壊力ありすぎでしょ!!!
うわぁぁぁ……今日も婚約者が可愛くて幸せだ……!)
………あら?
レインの方が顔を真っ赤にして固まるなんて珍しいわね…?
私が微笑みを向けただけでこうなるのは意外だったし、心配になった私はレインの頬に手を当てて軽く撫でてみる。
「レイン、あの、大丈夫…?」
「〜っ!?」
(それはただの追撃だぁぁぁっ!!)
「……レイン?」
「…それは誘ってるのかな?エリィ。」
「えっ…?」
「まったく…婚約者が可愛過ぎるのも考え物だね……
「んんっ!?」
レインは、頬へ伸ばしていた私の手を掴んで引き寄せると、そのまま私の口を彼の口で塞いできた……という…より……キスをしてきた………
そのまま、私の口の中に舌を滑り込ませ、私の舌を絡めとる様に動かしてくる………
「ん…ふぇ……ひぃん………
「れる…ちゅっ……んっ……はぁ………本当に…エリィは可愛過ぎる………!」
そして、口を離してそう言ったレインは、今度はきつく抱きしめてきた………!
あの……強過ぎるわ……よ…?
「んっ……苦しいわよ……レイン……
「…あっ、ご、ごめん……!?」
「はぁ………こうゆうのも、貴方に愛されているって実感出来るから嫌いでは無いけれど、気を付けてよね?」
「ぜ、善処する……
「ふふっ…♪でも、ありがとう。
こんな私を、沢山愛してくれて。」
「……エリィ?」
(なんで……いきなり……?でも、本人も分かっていなさそうだ……)
……あれ……?なんで私は今、そう思ったのかしら………
私は少し、そう思ったけれど、今はこの幸せな気持ちにひたっていたかったから流す事にしたわ…………
これは一応繋ぎですね。
これにて、一先ず『友人達編』、メインヒーローの王子様の話は完結です。
次からはサブヒーローの1人、騎士様(駄犬)の話の予定です!
……いや、その騎士様の婚約者的な人である、この話で少し触れた『もふもふ令嬢』もエリカの友人の1人ではあるのですが………




