7.ライトリーク王太子の婚約破棄~クラウス皇帝陛下の計画実行~
出来た………のであげます。
今回は長いです。
後、予告と違い
イ チ ャ ラ ブ あ ん ま し あ り ま せ ん 。
ゴメンナサイ。
2020:4/10…アリア様の愛称変更
…………さて、今回は、忌まわしくも喜ばしい、アーちゃんが【アリア皇后陛下】となった時の話をしようかしら。
このお話を詳しく話すと、長くなってしまうのだけれど……
前にもアーちゃんが話していた様に、ライトリーク王太子殿下は本当に婚約破棄の準備を進めていた様で………
それとは別に、ラミエス嬢関連でアーちゃん自体も、次第に追い詰められていた……
そして、事件は放課後に起こったわ。
{まさか、あのアリア様がー}
{でも実際にラミエス嬢に嫌がらせをしていたのを見たって人がー}
{エリカ様がやらせたって話もー}
{そんな…淑女の鑑と言われるアリア様やエリカ様が…?}
「…………。」
「気にしちゃダメですわアリア様。
所詮、噂は噂。
それに、アリア様なら出処も分かっていらっしゃるでしょう?」
「……分かってはいますよ。全て、ラミエス嬢の自作自演だと言うことは。」
(光魔法の魅了や、反転(好意と嫌悪を入れ替える魔法)を無意識レベルで使っていることもね。)
「ならばそれを…
「…エリカ様なら、その様な単純な話ではないと、理解していますよね?」
「…ええ…そうですわ。
ですけれど、何も言わないのは違うと思いませんこと?」
「…分かっています、私も頑張りました。
エリカ様や、レイン様が、噂は事実無根である事を証明しようと頑張ってくれた事も、クラウスが色々と手を尽くしてくれたことも分かっています。
でも………それでも…………ぐすっ………
「っ…!」
《アーちゃん……》
「ふぇぇ…ん………
もう、ぐしゅ………もぅ……嫌だよぉ………なんで………?
私は、ひっく……今まで、 殿下の為に頑張 ったんだ よ……?
…エリ ゃん………な で、なんで、 頑張ってき…ふっ…私が…こん……目に っ て、この が くひゅっ…がく園で………ふざけた事をし ている ラミエス嬢が 悲劇のヒ……ンになっ ているの…………?」
(ごめん……ごめんねエリちゃん………エリちゃんまで巻き込むなんて……わたし、本当に最低だよね……………)
「……解せないですわね。」
そう、何故か、私やアーちゃんが、ラミエス嬢に嫌がらせをした事になっていた。
私もアーちゃんも、あの子とは"知り合い"ですらないのに。
更に、レインも次期宰相の立場から色々と手を回してくれたにも関わらず。
クラウス皇太子殿下(当時)が真の次期皇帝としてフェンリル帝国から働きかけていたにも関わらず。
私も、アーちゃんの無実を言い続けた。
ラミエス嬢の自作自演だと言い返した。
すると、私までもがラミエス嬢への嫌がらせに加担した事にされた。
それに怒りを顕にしたのは勿論レイン。
今のレインは………
《…いくらなんでも状況がおかしすぎる……
リア様も、エリィも、最高位の公爵家令嬢だ…それを抜きにしても、2人は信頼も、実績もある。
なのに何故、信頼も実績も無い男爵程度の人間が風潮しただけで2人が追い詰められていくんだ………
一体、この学園に何が起こっているんだ………?》
《レイン、あまり根を詰めすぎないでね。》
《ーあぁ、勿論だともエリィ。》
ー静かに怒りを燃やしていた。
「……くらうしゅぅ………
「アリアお嬢様……
「もうやだぁ………早く……早くわたしを………ここから…………
(わたしを帝国に連れてって………早く、エリちゃんを悪い噂から解放して……)
「………もう少し、もう少しの辛抱です、アリアお嬢様………
(早く、早く婚約破棄をしてくれ、バカ王子………!
俺のアリアを、俺の姫を……!早く解放してくれ…………!)
「…エリィ。」
(いっそ、"あの人"に頼んでラミエス嬢をこの世から強制退場させようか…)
「貴方が何考えているか分かっていましてよ?
暴力は、ダメですわ。落ち着きなさいなレイン。」
それに、あの魔王殿下のお力を……【管理者】としてのお力を借りるにしてもそれは…私刑はダメよ、フェンネル様なら喜んで執行してくれるでしょうけど。
「エリィ、私は冷静ですよ。
えぇ、冷静で居なくては。
次期宰相として。」
「レイン…。」
私が、レインを宥めるように背中を撫でさすると、レインは辛そうな、苦しそうな顔で私を見つめる。
「…今、追い詰められているのはエリィなのに…私を慰めてくれるのですか…?
本当に…エリィは……あぁ………大好きですよエリィ。
例え、この学園全てが敵になっても、エリィは私が守りますから。」
「ええ、私はレインを信じていますもの。
貴方が味方でいる、それだけで私は大丈夫ですわ。」
実際、私は精神的には大分余裕があるわ。
やっぱり、1番信じて欲しい人が全力で信用してくれているから、かしら。
私はレインの体温を確かめる様に、彼を抱きしめる。
「大丈夫、大丈夫ですわレイン……私はここに居ますわ。
貴方もそばに居ますわ、なら、何も心配要らないのですわ。
何故なら、私達は婚約者で、恋人で、未来の宰相様と、魔導具技師なのですから。
ねぇ、レインハルト宰相見習い様?」
「………そうですね、エリカ魔導具技師。」
レインの耳には私が作った闇属性と地属性の防御魔法が付加されたイヤリングが着いている。
私の耳にも同じ物が着いている。
アーちゃんやクラウスさん、レインの侍従であるリヒターさんや私の侍女であるメリアにも。
これがあれば闇属性が精神攻撃を、地属性が身体への攻撃を守ってくれる。
ラミエス嬢が何かしてきている事は分かっているから、用意した物なのよ。
「……アリアお嬢様……いや、アリア。」
「…くらうす…?」
「…俺が、帝国へ連れてってあげるから。
もう少しの辛抱だよ………」
「…うん。」
……?
レインは、アーちゃんを慰める様に抱きしめたクラウスさん………
って、え?執事が、主を抱きしめ…た…………?
「クラー
「エリィ。」
「ぷはっ…レイン?」
こんな状況でそれは不味い。
そう思ってクラウスさんに注意をしようと声を出しかけた私の口を、
手で塞いできたレインは、真剣な顔で2人を見ていた。
「アレは、大丈夫ですよ。」
「えっ…?」
「それにもうすぐ、アリア様は彼に救われますから。」
(もうすぐ………婚約破棄イベントが起こる。)
「……分かる…の…?」
「ええ、そんな予感がしました、クラウスの様子をを見て、ね。」
「えっ…?クラウス………?」
私がその真意をレインに聞こうとしたその時……!
急に、教室のドアが開け放たれ、兵士が入ってきた!?
違うわ…!あれは、我が国の近衛騎士………!
という事は、王太子殿下絡み………!?
「っ…!アリア様っ‼」
この状況での近衛騎士登場に、嫌な予感、いいえ、嫌な確信があった私はアーちゃんを守る様に彼女の前に立ったわ。
レインも、クラウスさんもアーちゃんを守る様に、囲う様に立った。
そして、警戒していると、予想通り、王太子殿下が立ち上がった。
「ーさて、急に我が近衛騎士が現れて諸君は困惑しているだろう。」
立ち上がった王太子殿下は、
教室に居る生徒達を見回しながらそう言った。
「……これは何事かな?」
「フェイ、静かにね。」
《念話で説明するから。》
《了解。》
……丁度、フェンネル様も現れたわね。
そのフェンネル様とアルカ様も、小声で短く会話した後、アリア様の後ろに回ってアリア様の守護包囲陣が出来上がったわ。
フェンネル様が現れるのはいつもの事だったのもあり、王太子殿下は直ぐに話を再開する。
ー今回は反逆者を粛清する為に私が呼んだのだ。
その反逆者の名は……【アリア・ハーレスト】‼貴様だ‼」
「っ‼」
「直ぐにその悪辣な鬼女を捕まえろ‼」
「「ハッ‼」」
「させないっ!」
「やらせません!」
「アリア様に何をするつもりですの‼」
アーちゃんを捕まえる!?
ふざけるんじゃないわよ‼
私もレインもクラウスさんもアーちゃんを守る為に近衛騎士の前に立ち塞がったわ。
「ライトリーク王太子殿下!
これは何のつもりでしょうか!」
そして、レインが代表して殿下に聞く、
それに対して殿下は、バカにした様な顔をして、嘲笑する様に声を上げた。
「『なんのつもり』、だって?
ハッ、そんなのはそこの鬼女がよく分かっているだろう‼」
「………な、なんの事ですか……?ライトリーク王太子殿下……。」
既に、泣いていたアーちゃんは、震える声で殿下へ聞き返した、
それに対しても殿下は、バカにした顔をして声を上げる。
「しらを切るつもりか?貴様がした行いを‼
貴様は!我が婚約者でありながら男爵令嬢であるアリスに対して度重なる嫌がらせをしただろう‼」
「そ、そんなっ……!私は何もしていませんっ……!
私は、ラミエス嬢とは知り合いですらー
「黙れ罪人ッ‼貴様には心底呆れた!
全く、見下げ果てた女だな!?
淑女の仮面を被り、裏ではこんな下賎なる行いをしていたのだからな!!」
そして、何とか言い返したアーちゃんに、
怒りの形相で怒鳴り返す殿下。
はぁ……?
貴方頭大丈夫なのかしら!?
アーちゃんがそんな事する訳ないでしょう!?
第一、最近は私と一緒に居たからそんな事をしていないのは私やレインが1番よく知っているわ!!
「違う……!違います………!わたしはそんな事をしていませんっ‼」
「ええ、心根の優しいアリア様がそんな事をするはずがありませんわ殿下ッ‼」
※この時点でエリカとライトリークは既にレインハルト経由でお互いに知り合い認定にはなっているので口はきける
「そうですよ、ライトリーク王太子殿下。
彼女は、ラミエス嬢と接点など無いではありませんか。」
「…嘘だッ!!」
「「「っ……!?」」」
私とレインがアーちゃんを援護する為に反論した所で、ラミエス嬢が泣きながら声を上げた………
「ハーレスト様は…!
人の目が無いところではいつもわたしをバカにして‼
いじめてきました……!
ううっ……酷いですんですよ、ハーレスト様……
公爵家なのがそんなに偉いんですか…?
王子様の婚約者なのがそんなに偉いんですか………!?」
「何を言っているんですの、ラミエス男爵令嬢…!
アリア様がいつ貴女を虐めたと言うのですか!?
アリア様はいつも、私と行動していましたわ!
その私が証言します!
アリア様は決して貴女に対して虐めも嫌がらせもしていませんわっ‼」
「王太子殿下。
アリア様は品行方正な淑女ですよ。
"ノブレス・オブリージュ"を実行し、下の者にも分け隔てなく優しくしています。
そんなアリア様が、ラミエス嬢を虐めた?
全く、妄言甚だしい‼」
ラミエス嬢に対する私の反論に、レインが殿下に対して言葉を重ねた。
それに対してラミエス嬢が反論する……
「レインくんはその人の裏の顔を知らないんだよっ‼
その人は、男子には媚びて私みたいな下級の女子には嫌がらせをしてきたんですから‼」
「なら、証拠はありますの?
それに、前にも言いましたわよね!?
これで何度目ですの!?
知り合いでも無い男性に、直接声を掛けるのははしたないと何度も言いましたわよ!!」
「それは今、かんけーないですよね!!
そうやってまた、あなたはわたしをいじめるんだぁぁっ!!
ライトぉ……この人も捕まえちゃってよぉぉ………
「アリスの頼みとあらば…と言いたいが、今は無理だ。
エリカ嬢に対する罪状はまだ無いからね。」
「そんなぁ………
「でも、必ずあの悪女も捕まえて見せよう。
王太子の名にかけてね。」
「絶対だよライト!」
『……………。』
なんですのあの女‼
なんなんだあのクソビッチは‼
なんなのあの子………
なんなんだよアレは。
えー…何アレ………
は?アレは何を言ってるのかな??
と、私、レイン、アーちゃん、クラウスさん、アルカ様、フェンネル様の心の声が重なった気がするわ。
そして、レインが提案をする。
「ならばここは、【真実の珠】に聞きましょうか?」
しかし、愚かなる王太子殿下はその提案を突っぱねたわ。
「宝具を使うまでもないッ!
その女とは婚約破棄とし!国外追放を言い渡す‼
即刻我が国から出て行け!最低最悪の悪女めッ‼」
「あ。」
「言ったね?」
「言いましたね?」
「言ったな?」
「……?」
殿下がそう言い放った瞬間、
アルカ様が気の抜けた声を上げ、
それを皮切りに待ってましたとばかりに声を上げるフェンネル様、レイン、クラウスさん。
そして、真っ先に動いたのはクラウスさんだ。
「言質は取ったぞライトリーク王太子殿下殿!」
「はぁ?貴様はその鬼女の執事か。
執事風情が何故しゃしゃり出てくるのかね?」
「……俺は執事では無いよ、王太子殿。」
そして、雰囲気の変わったクラウスさんはー
いいえ、【クラウス皇太子殿下】は、
アーちゃんを横抱き……所謂"お姫様抱っこ"すると、言い放ったわ。
「我が名は【クラウス・フォン・アインツベルン・フェンリル】。
フェンリル帝国の皇太子だ。」
「えっ…?クーくんが悪逆非道な帝国の皇子様だってぇ……?
うっそだぁ~!
あの優しいクーくんがぁ?」
「はぁ?皇太子だぁ??冗談ならもっと上手く言ってくれたまえ執事。
オイ、いい加減コイツらをつまみだせ近衛騎士‼」
「…名乗り上げたというのに、この国の王太子殿はそこまで愚かだったのか…
それに、そこの女性は俺に対して馴れ馴れしすぎるぞ。」
王族である事を騙るのは、この国、ウィンドル王国でも、クラウス皇太子殿下の故郷、フェンリル帝国でも重罰よ。
こんなに人が多い場所で、それでも堂々と名乗った時点でほぼ本物だと言うのに、それが分からない程にバカだったのかしら………?
それに、ラミエス嬢は全くぶれないわね……
バカバカしすぎて怒る気も失せるわ………
私が辟易としていると、クラウス皇太子殿下は何時も腰にさしていた細剣をホルスターから鞘ごと引き抜き、掲げたわ。
アーちゃんを片手で抱えながらなのによく出来るわね……?
※後で聞いた話、クラウスさん達皇帝の直系にはフェンリルの血も流れているから身体能力が高いらしいわ。
つまり、そのパフォーマンスも皇太子である証拠だった訳ね。
「これが証拠だ、我が帝国に代々伝わる宝剣、これを以て俺が本物の皇太子である事を証明しよう。」
「んー?おおかみ?」
「……フン、この際貴様が何であろうが構わん。」
……あれは、国の名前にもなっている守護獣、【フェンリル狼】のレイピアね。
あの宝剣、【フェンリル】を使えるのは守護獣フェンリル狼が認めた皇帝か、皇太子のみ。
この上なく、クラウスさんが皇太子殿下である証拠だわ。
そして、クラウスさんはホルスターへ宝剣を戻し、アーちゃんを抱え直すと颯爽と教室を出て行く。
そして、出入口で一度振り返り、王太子に向かって言い放ったわ。
「では、我が姫アリアは返して頂こう。
婚約破棄を宣言したのならば、国外追放を宣告したのならば、我が帝国へ連れ帰ってもなんの問題も無いだろう?」
「構わん。我が国からその鬼女を連れ出してくれるなら願ったり叶ったりだ。
連れて行くがいい!精々可愛がってやるんだな‼」
「なにも、クーくんまであんな国に行くことないのに…苦しむのは悪役令嬢のアリアだけでいいのになぁ……?
こんなシナリオだったっけ………
シナリオ…?
何を言っているのかしら、ラミエス嬢は。
それに、ライトリーク王太子殿下ともあろうものが帝国の実情を知らないのかしら。
帝国は、元々は良い国よ。
ただ、今は皇太子殿下の義理の兄が皇太子殿下の両親を殺害し、皇太子殿下を追い出して(実際は命からがらハーレスト家へ転がり込んで逃亡したので)皇帝となり、悪政を敷いているだけ。
つまり……そのハーレスト家へ転がり込んだ皇太子殿下こそがクラウス皇太子殿下、これから帝国を正しに行くのでしょうね。
「………では、帝国へ帰り次第直ぐにアリアと結婚する故、失礼する。」
「えっ!?ちょっ、ちょっと、クラウス!?」
「待たせたね、リア。
………ん。
さぁ、帰ろう。」
「……うん。」
あらぁ………?
クラウスさんがアーちゃんの額にキスを落とすと、顔を真っ赤にしたアーちゃんは大人しくなり、
満足そうな横顔を残して、アーちゃんを抱えたクラウスさんは去っていった………
「……えっ。どうゆうことですの……?」
※この時点でのエリカはクラウスの正体を知ったばかりなので理解が追い付いていない
「まぁ、後で説明するけれど、逆転ハッピーエンド、という事ですよ。エリィ。」
「…分かりましたわ…しっかり説明して下さるかしら、レイン。」
「ええ、では部屋へ帰りましょう、エリィ。」
レインが私をエスコートする為に腕を差し出した所で、フェンネル様が声を掛けてきたわ。
「…レイン。」
「フェイ様、後は頼みましたよ。」
「了解、こちらは任せてくれたまえ。
魔王として対応させて頂こう。」
「えっ…?フェイ………?」
それに対してレインが短く返すと、ニヤリと嗤ったフェンネル様が、困惑するアルカ様を連れて転移したわ………
「…レイン?」
「ええ、この事についても説明しましょう。」
レインに連れられて部屋に戻ってきた私(あ、また王太子殿下達を放置してたわ………)はリヒターさんやメリアがいれてくれたお茶で一息ついてから、
改めてレインから話を聞いたわ。
「さてと、今回の件について、エリィに相談や連絡をしなかった事は詫びるよ。ごめんね………
とは言え、事情が事情だったからね………
君にはリア様に集中して欲しかったんだ。」
「ええ…私はレインを信じてるから、
レインは私を信じてアーちゃんを任せてくれたのよね?」
「うん。でも、本当にごめんねエリィ。」
「いいえ、結果的にアーちゃんが幸せになれるのなら、私からは文句は無いわ。」
「君はこの世に顕現した女神様かな?」
「!?」
「あぁ……ごめんごめん、あまりにも君が寛容すぎて後光が……
んっ、んぅ!話を戻すね。」
「え、えぇ………
不意打ちで真っ赤になった顔を誤魔化すように私は相づちをうち、話の続きを促したわ。
「そもそも、リア様とあのバカの婚約は、調べてみたら陛下による後付けで公式の物ではあっても、あのバカの独断だったんだ。」
「……そう。」
ちなみに、この部屋には私の闇属性魔法で防音が施されているので外には聞こえないわ。
だからレインも、あの愚か者を最早王太子とは認めていないのでバカと呼ぶのよ。
とは言え陛下とも相談して、公式に許可は貰っているから部屋の中では最早バカ呼ばわりなのよね。
実際、あの愚殿下の行動は目に余るし。
軌道修正しようと私もレインも頑張ったけれど、来る所まで来てしまった(ハーレスト公爵家への不義理、帝国の皇太子殿下への不敬等)のでもう、陛下とのお約束通り明日から放置する事にしたわ。
「何せ、リア様は………クー……クラウス皇太子殿下がハーレスト家へ避難した時点で未来の皇后陛下となるべく教育されてきたのだからね。」
「なのに、あの愚殿下が横取りをしたのかしら。」
「そうさ、リア様は、容姿が素晴らしいだろう?
まぁ、エリィには及ばないけど。」
「………レイン?」
「ははっ。」
流れる様に私への口撃(本人に対しての惚気)はやめてくれるかしら!?
しかし、レインは軽く笑い飛ばして話を続ける。
……ええ、ええ、気にしたらだめなのでしょうね!納得は出来ないけれど‼
「だからあのバカは欲に任せて勝手に婚約者申請を受理した。
王族とは言え、やってる事は犯罪なんだけどね。」
「……何故、その時点で王位継承権を剥奪されなかったのかしら……。」
「いや、それがね、当のリア様が許しちゃったからなんだよこれが。
何しろ、あのリア様、つい最近までクーの正体を知らなかった上に、クーからの恋慕にも気づいてなかったんだからさぁ………
純粋に臣下として殿下を支える為ならこの身を捧げよう!
なんて、実に軍人の家であるハーレスト家公爵令嬢らしい考えで受諾しちゃってさぁ…………
「あー………あの、アーちゃんなら……ねぇ…………
アーちゃん、微妙にズレてるのよね、何かが。
いくらなんでもそこは怒るところよアーちゃん…………
「まぁ、そこからは地獄だよね。
あのバカ、色々とクズ過ぎるし。」
「そうね。」
否定する要素が一切ないわ!あのバカ殿下‼
「でも、クーは諦めなかった。
ボクはそれを知ってからはリア様とバカを別れさせる為に動いたさ。
丁度、あのラミエス嬢…いや、アホも目障りだったからね。
どうせなら後で処理しやすい様に2人をくっつけつつ婚約破棄させようと思ってさ。」
……辛辣ね、レイン。
宰相らしく(?)随分腹黒くなったものね。
「え、じゃあなんでアーちゃんには教えなかったのかしら。」
「…単純に、リア様は隠し事に向かないからだよ。
確かに、彼女は潜入調査のプロ、諜報員ではある。
だけれど……彼女自身の心根は…諜報員にはなりきれてない。」
「……確かに、アーちゃんは妙にスレてないわね?」
(まぁ、ボクやフェイ、クーはその秘密を知ってるんだけどね。)
……?
もしかしたら、レインはその理由を知っているのかしら??
「レイン?もしかして、理由を知っているの?」
「…まぁ、エリィになら話していいかな。
リア様には、どうやら"使い魔"が居るらしいね。
諜報員として潜入捜査をしている時は、自身は【かくれんぼ】スキルで隠れて、使い魔に情報を集めさせるスタイルだと、ボクは推測しているよ。
それに、未来の王妃…いや、皇后となるべく教育された彼女は、人を害する事が出来ないからね。
実際の諜報員としての仕事は使い魔にやらせていると思うよ。
……尤も、彼女はそれを是とはしないだろうから、不殺・不発見に拘っているようだけど。」
「……知らなかったわ。」
「だろうね。
リア様はエリィとは諜報員としての話はしたがらなかったし。
………エリィとは純粋に友でありたかったのかもね。
因みに、その使い魔は魔族だよ。」
「魔族……!?」
魔族が使い魔になるなんて、そうそうないじゃない!
確かに、魔王様をはじめとする魔族達は人類の友だし、今までだって肩を並べて戦ってきたわ。
だけれど、使い魔となると別。
誇り高き魔族が人間の下に付くなんて、余程の事だわ。
それこそ、何かしらの恩義があるだとかー
「リア様は、魔族を従えている自分を、エリィには知られたくなかったのかもしれない………
まぁ、逆にリア様だからなぁ………単純に聞かれなかったから答えなかっただけかも、だけれど。」
「あー………
アーちゃんだものね………
ありうるわ………
「その魔族の種族は【リビングドール】、とだけ言っておくよ。
さて、話が逸れたね、本筋へ戻そう。」
(さらに詳細を言えば、【"メリーさんの電話の怪異"が具現化した魔族】、なんだけれど、エリィには分からないだろうしね。)
「……分かったわ。ありがとうねレイン。」
私がそう答えると、レインはひとつ頷き、話を戻す。
「結果的には婚約破棄させることに成功し、クーはリア様を連れて帝国へ帰る事に成功した。
後は、帝国を取り戻すだけだ。
まぁ、そっちの方が簡単だけどね。」
「…あー……フェンネル様とアルカ様…ね?」
「ご名答。あの2人が【管理者】、【調停者】として、帝国をあるべき姿へ戻しに行ったのさ。
だから、今頃クーはフェイ様と協力して帝国を取り戻している最中だと思う。
直に皇帝陛下となる事だろうね。」
「……。」
そう………なら、アーちゃんは………
「なら、アーちゃんは皇后陛下になる訳……ね………?」
「…うん。」
そっかぁ…………アーちゃんが皇后陛下……ねぇ………
…………。
…………………。
………………………??
「……………凄く心配なのだわ!?」
「だよねぇぇぇー……………………
レインも同様なのか、ため息をついて遠い目をしたわ………
「いや、まぁ、実際仕切るのはクーだけどさ。
それにリア様は………ま、まぁ、あれで帝王学も学んでるし………
使い魔である【メリーさん】も優秀だから大丈夫だよ。」
「そう…………
とりあえず、それでアーちゃんが幸せになれるのなら、いいわよね?
すみませんなんかイチャラブ成分薄めになりました!!;
チ───(´-ω-`)───ン
ちなみに、これにて回想編は一旦終了となります。




