5.レインとアリア様(レイン視点)
2020:4/4…前話を読み返していたら矛盾を見つけたので修正します
4/10…やはりしっくりこなくてアリア様の愛称を【リア】に変更
……ボクが部屋に戻ってくると、アリア様がエリィに抱きついて泣きじゃくっていた………
扉から見て正面にエリィの顔が向いているので彼女の困り顔がよく見える………けど、え、何事?
ボクはそんな内心をおくびにも出さずにエリィへ話し掛ける。
「エリィ、アリア様と何かありましたか?」
「レイン……
ボクが話し掛けると困り顔が一変、安堵の表情になるエリィ。
いやぁ、ボクに全幅の信頼を寄せてくれてる婚約者が今日も可愛い。
「…可愛い過ぎる…結婚しようか。」
「えっ、れれれレインっ!?いきなりなんですのっ!?」
「あぁ、すみません。エリィが可愛過ぎてうっかり本音が………
「ほんっ…!?こんな時まで私に甘すぎませんこと!?」
「ツッコミ入れる時にお嬢様言葉になってしまうのも可愛らしいですね。」
「もうやめてくださいましぃぃっ…!アーちゃんも見ていますわっ!!」
「おや?親友をえらく可愛らしい呼び方をしているようですね?
そんな貴女がとても可愛いですよエリィ……
「私ごととは言えアーちゃんを抱きしめるのはおやめになって!?」
「あぁ、これは失礼しましたエリィ。
アリア様もすみません。」
「……あ。き、気にしないで………レインくん………
(わぁ…今回のレインくんって本当にエリちゃんに甘々だぁ…………)
ん?アリア様何気に今、愛称がより親しげになったね。
既に、『私ももっと仲良くなりたいので〜愛称で呼んでくださいねぇ〜?』と言われた時にボクとエリィも愛称呼びの許可は出しているから、元々愛称呼びではあったけれど、"様"も取れたようだ。
なら、ボクももっと親しげな愛称呼びに切り替えようかな?
「…はぁ………あの、レイン…?
時と場合を考えて……るわねいつも……。
…ありがとう…レイン…。」
(レインが、わざと私を甘やかす事で場の雰囲気を柔らかくしてくれるのには、いつも助けられてるわ………)
「いえ、こちらこそついつい…婚約者相手とは言え…少々はしたなかったですね。」
うん、何故かエリィから感謝と尊敬の眼差しと愛おしさが伝わってきたよ?
今回は愛おしさが溢れてエリィにイチャついてしまったから流石に怒るかと思ったけどなんかファインプレーしたみたいになってない??
…そのエリィは、冷静さを取り戻してかいつまんで状況を教えてくれた。
「ーなるほど。
取り返しのつかない事に、ですか………
うん。
本来なら、エリィはそうゆう運命だったのかもね。
【レインハルト】は…エリィの事が嫌いだったから…
ただ、今はボクがレインハルトだから、絶対的な味方で居られるんだけど。
でもそうなると…アリア様って予知能力持ちだったっけ……?
おかしいなぁ……ボクが知る限りでは、アリア様が持っている能力は【かくれんぼ】って言う【隠密】【気配察知】【瞬足】【疲労軽減】の複合スキルだったはずなんだけど。
ただ、今はー
「ーそんな事にはさせませんよ、アリア様…いえ、リア様。」
ボクは愛しい婚約者、エリィの頭を撫でながら、未だにエリィに縋り付くアリア様…リア様へ告げる。
「何故なら、私が彼女の婚約者なのですから。
私がエリィを守ります。なのでリア様はどうかご安心下さい。」
「……レインくん…。」
「ほら、綺麗なお顔が台無しですよ。…クラウス、彼女を頼みます。」
「ええ、後はお任せを。
さぁ、アリアお嬢様。」
「…クラウス…ごめんなさい。」
「アーちゃん。
さっきも言ったけれど、私にはレインがついてるの、だからどうか、安心して。」
ボクがリアの執事…のふりをしているクラウス皇太子殿下にアリア様を任せると、
エリィがアリア様に微笑みながらそう告げた…
「エリちゃん……うん……そうだよね……
(この、レインくんなら信じてみてもいいかもしれない……
どの世界でも、レインくんは、エリちゃんの才能に嫉妬していた、だけど、この世界のレインくんはエリちゃんが本当に大好きなんだ……)
「リア様。
これからも、私とエリィが貴女を助けますよ。
私は欲張りなのでね、婚約者も、婚約者の親友も、両方とも助けてみせましょう。」
その為の下準備は、既に、済んでいる。
元々、今日もその為に動いていた。
…今日は父に頼んでいた国王陛下への謁見の日だったんだ。
既に、ボクはハーレスト家の当主様に話を通し、"クラウスの正体"をボクも知っている事を、本人込で教えてある。
そして、もしアリア様が婚約破棄されたらその時は、クラウス皇太子殿下の名のもとに帝国の姫となってもらうつもりだ、と伝えて来た。
ハーレスト家の当主様は、
『うん、何となくそうなるんじゃないかな、と覚悟はしていたよ、義兄の策略で帝国を追われたクラウス皇太子殿下が、我がハーレスト家へ執事として潜り込んできた時からね。』
と仰っていた。
今日はそれを、宰相見習いとして国王陛下にも伝えてきた。
『もしも、ライトリーク王太子殿下がアリア様と婚約破棄をなさるなら、その時はフェンリル帝国のクラウス皇太子殿下がアリア様を貰い受けるそうです。』と。
すると、国王陛下はこう仰った。
『…あぁ、分かっていた。クラウス皇太子殿下が義兄を倒し、皇帝となる為の準備で幼き頃からアリア嬢と行動を共にしていれば、な。
あのバカ息子が(見た目だけで)アリア嬢を欲しがったり、勝手に婚約をしなければそのまま帝国の姫となって貰うつもりだったのだ。
全く……あのバカ息子め……ハーレスト家とアリア嬢をどれだけ振り回すつもりなのだ………
あい分かった!クラウス皇太子殿下がそのおつもりならば、こちらからも喜んで手続きをしよう‼』
と。
なるほど、知ってはいたけどボクが動かなくても【アリア・ハーレスト】が皇后になっていたのはこうゆうカラクリだった訳だ。
まぁ、今回はこの状況もエリィを守る為に利用させてもらおうか。
未来の皇帝陛下と親友であるボク、
未来の皇后陛下と親友であるエリィ。
この布陣ならば、あの王太子もヒロイン迂闊には手を出せまい。
仮にそれでもボクやエリィを害そうものなら………
フェンリル帝国が敵になる。
ちなみに、ボクにしても、クラウス…クゥにしても国王陛下にしても、
クゥが帝国を取り戻すのが成功前提なのは、"強力な助っ人"と共闘するからだ。
……その人はーー
まぁ、別の機会に語ろう。
とにかく、それで安心してくれたのかリアはやっと笑顔になってくれた。
「うん…うん………ありがとう…レインくん……わたしね、エリちゃんとレインくんが、大好きだよ……!」
「ふふっ♪私もよアーちゃん。」
「私も、リア様の事が1貴族として好きですよ。」
(LIKEである、と伝えなければ周りから誤解されかねないからね。
言い方にも気を付けなければ……)
「…そろそろ参りましょう、アリアお嬢様。」
「うん…いつまでもお邪魔していたらダメだよね…じゃあ、また学園でね、2人とも。」
「ええ。」
「はい。」
…クラウスにつれられて、リアは部屋を後にした。
そして、部屋にボクとエリィだけになると、直ぐにエリィがボクに抱きついてきた!?
えっ、待って、今覚悟できてないから!!不意打ちやめて!?
「レイン…お願い、今はこうさせて……
(まだ、不安なのよ…この、焦燥感が消えないのよ…なんで…こんなにも不安なのかしら……)
「エリィ…
いつも、自信に溢れていて、気丈に振舞っているエリィ。
そんな彼女が、不安そうに震えている。
多分、リアの話を聞いて、怖くなってしまったのかもしれない。
それはそうだろうね、彼女だってまだ16歳の女の子なんだ……
でも、大丈夫さ…君にはボクがついてる。
ボクはエリィの頬に手を添え、そっとその唇へキスをする。
「んっ…レイン……
「……大丈夫だよエリィ、ボクはキミだけのボクで居る。
世界の全てが敵になろうと、ボクは、最後までキミの味方だよ。」
「ええ…私は、レインを信じているわ……
(今までも、貴方が居るから頑張って来れたのだから…これからも…貴方の為に頑張るから………)
「エリィ………
うん、やっぱりボクは、エリィが好きだ。
"元々の【エリカ】"だったなら、甘え下手で婚約者にさえ相談出来ずに溜め込んでいたのだろうけれど、ボクならそうはさせない。
幼少期から、着実に、少なくともボクにだけは、甘えられる様にしてきたんだ。
"少なくとも1人は頼れる人が居る"、
"絶対的な味方が1人だけでも居る"、
それだけでもエリィの負担は減る事だろう。
それが婚約者となれば尚更さ。
………正直、【レインハルト】と言う立場になっておいてそれは狡いとは思うけれど、ね。
だけど構わないさ、誰がなんと言おうと、今はボクが【レインハルト】だ。
自分から婚約者になっておいて、
コンプレックスから婚約者を嫌っていたレインハルトじゃない。
婚約者を愛してやまないレインが、ボクなんだ。
あぁ……そうとも………
正しき者が裁かれるなんて間違ってる。
ボクは大好きなエリィを処刑になんてさせない
あのヒロインを、ボクは始末する。
……レインくん、ちょっとヤンデレっぽくなぁい?
エリィに対する執ちゃ…ゲフンゲフン‼
愛情は人一倍な頼れる婚約者くんです‼
ハッピーエンドはお約束します!
(既に、ハッピーエンドしてますけど‼)




