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ひとりぼっちの強がり

作者: いつき

スマホのアラームを止めてから僕の憂鬱な1日は始まる。

毎朝アラームを止めると同時に通知欄をチェックするが、もちろん受信メッセージは0件。なぜなら僕には友達がいないからだ。

家を出てから学校に着いて授業が始まるまで僕は延々と音楽を聴いている。人の会話や町並みから聞こえてくる雑音を遮断するために音楽を聴いている節もある。会話や雑音だけではなく、人の視界に入らないように道の端を下を向いて歩くという癖まで身に付いてしまった。

最寄り駅から学校に着いてからも話しかけられる事もなく自分から話しかける事もない。


「はい」

朝のホームルームの出席確認で僕の口が初めて開く。

それ以降、時間だけが刻々と過ぎていくが僕の口が開く事はない。

「早く休み時間にならないかなぁ」

こんな言葉をよく耳にするが僕にとっては休み時間こそが過酷だと感じている。生徒達は各グループでまとまり現代のスクールカーストを象徴するような光景が教室に広がっている。僕以外にも1人でいる生徒もいるが、そういった生徒同士の友情などはない。よく映画や漫画の世界で友達のいない生徒同士が仲良くなるシーンがあるが、あんなものはフィクションに過ぎない。実際は実に淡白な世界だ。

それなら図書室に行けば1人でも楽しめると親に言われているのだが実際はそうにもいかない。学校の図書室と聞いたら人が少ない場所というイメージが思い浮かぶと思う。

しかしそれは世間一般のイメージでしかない。図書室こそ先生の見回りも少なく生徒が自由に楽しめる場所だからだ。そんな場所に僕が行こうものなら、なおさら孤独感を感じてしまうはずだと思っていて結局、自分の席でじっとしてる毎日だ。

学校が終わってからというのも帰宅部でアルバイトもしていない僕は家に帰る事しか目的がない。こうして誰とも会話をする事なく僕の1日は終わる。

帰宅してから就寝するまではやるべき事をやり無難に事を済ませる。就寝前にもメッセージの通知欄をチェックするがもちろん0件だ。

そのルーティーンを365日毎日しているが僕のスマホの通知欄にメッセージが届いている日が来るのだろうか。アラームをセットしながら考え眠りにつく。

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