0.プロローグ
初投稿になります。
よろしくお願いします。
耳障りな目覚ましの音に不快感を抱く。
「ふわぁぁっ」
2度目のスヌーズで惰眠を諦め、シャワーに向かう。半分停止していた思考が、熱湯を浴びて次第にクリアになる。登校前の朝シャンは中学からの日課で、禿げると言われていても中々辞めることが出来ない。
無事に覚醒したら、お腹も喚きだし、炊飯器からお米をよそい卵と醤油をぶっかける。
学生にとって朝の時間はとても貴重であり、少しでも睡眠時間を増やすため、朝食の献立はすっかり簡略化されている。制服に着替え、玄関から部屋に向かって声をかける。
”どうせ返してくれる相手など誰もいないのにな、、、”
と少し落ち込むもドアに鍵をかけて、学校に向けて歩き出す。
アパートを抜けた所で、、、井戸端会議中のおば様方にエンカウントしてしまう。
「あらぁ、おはようございます。」
「、、、おはようございます。」
その中のリーダー格だけが挨拶してきたので返す。他のおばさんは沈黙のままだ。そそくさと通りすぎると、
「~息子さんも可哀そうに~」
と俺を見ながらコソコソと話し合っている。
”本人が去る前に噂話は辞めてくれよ、、、”
と思いつつも、こらえて学校に進む。
俺の住む町は田舎だけあって、ご近所ネットワークが充実している。
そう。例えば罪を犯せば、家族全員村八分にされてしまうのだ。
俺が教室に入ると一瞬クラスが静寂に包まれる。そして5秒位沈黙が続いた後、俺をおいて喧騒が蘇る。
”もう慣れたけどな、、、”
俺の日常はいつもこんな感じだ。
一人で学校に行き、一人で学校で勉強し、一人でアパートで暮らしている。日によっては誰とも会話をせず1日が過ぎることも更だ。
別に今の生活に不満はない。孤独であろうとも、特に不自由なく生活している。
その日も本当だったら何事もないまま過ぎるはずだった、、、
”大分遅くなってしまったな、、、”
図書館から帰る途中で一人思う。
田舎なので街灯の数が足りなく、夕方を過ぎると一気に暗くなってしまう。
いつもだったらこの時間には家に帰宅しているのだが、小説に熱中し過ぎて、気が付いたら閉館時間だった。
”まだ道が認識出来るうちに帰らなくちゃな、、、”
これ以上暗くなると、誤って用水路に落ちてしまうかもしれない。
そう気持ち早歩きで家を目指していると、日常からかけ離れた場面に遭遇してしまった。アスファルトには黒い水たまりが出来ていて塀に少女がもたれていた。
「おいっ、大丈夫か!」
流石に放ってはおけず体を揺さぶった。
「う、んんっ」
まだ息はある!早く救急車を呼ばなくては。そう考えていた瞬間、首に激痛が走った。
「がっ!」
痛い痛い痛い痛い!
よく見たら人のようなモノが首に噛みついていた。人のようなモノという表現をしたのは明らかに人ではないからだ。灰色の皮膚に赤色の瞳、物語に出てくるグールの様なバケモノだった。
ひたすら悲鳴を上げていたが首からはダクダクと血が流れていて、意識も朦朧となってきた。
「✖✖✖✖✖✖✖✖!」何やら呪文の様な叫びが聞こえたと思ったら、俺は地面に倒れていた。目の先には先程のバケモノがスプラッタ物のようにバラバラになっていた。
「✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖、、、(巻き込んで、、、しまってごめんなさい、、、急いで治癒魔法を、、、)」
少女が何かつぶやきながら、自分の方に這いより、手をかざしていた。
何を言っているのか分からないが、俺の首に向けている彼女の手の平から光が照らしていた。
”ああ、なんて暖かいんだ。”
見るとその光を浴びている傷口はどんどん小さくなっていった。だが失った血液が戻ってくる訳でもなく、段々目を開けているのがつらくなってきた。
”俺はもう死んじゃうのかな、、、クソみたいな人生だったけど、こんな美少女に看取ってもらえるなら悪くないかもな。”
正直俺は今の生を諦めかけていた。
”せめて来世ではもっと人並みの幸せが欲しいな。”
「✖✖✖✖✖✖✖✖!(だめだわ!血を失い過ぎているっ。こうなったら!)」
すると彼女は意を決したようにナイフで自分の手の平を切り裂き、血が流れたまま俺の首に添えた。
まるで何かが自分の体に入って来るような脈動を感じた。だが、そこで俺の意識は途切れた。
その後眩しい光が顔に刺し思わず目を開けた。目の前には今まで見たことない天井が広がっていた。どうやら俺は助かったみたいだ。体は思った様に動かせないので何日間か眠り続けていたのかもしれない。そう安堵し起き上がろうとするが、うまく出来ない。そしてよくよく見ると右手が赤ちゃんの様な小さい手になっていた。
”はぁーーっ!?”
後に、俺は異世界に転生したのだと知る。




