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プロローグ1

 夜明けの光も差し込まない程の濃い霧だ。

 新聞配達員の少年は、日が昇る前から駆けずり回り僅かな賃金だけを得る仕事。

 配るのは自分よりも働かないくせに、金品に満ちた貴族たち。なんて神様は平等ではないのだろう! と自分の事を嘆いても仕方がない。働かなければ今日食べる分も怪しいのだ。

 そうして石畳を蹴って道路を進んでいく。轍に躓かないように気を付けながら細い身体で走っていたその時――

「いっ!」

 彼の足元に何かが当たり、そのままバランスを倒して倒れ込んだのである。

 ばさりと舞い踊る新聞たちに、しまった! と思うがすでに遅い。石畳の上に落ちたそれらは水分を吸って、インクがにじんでしまっている。

 ああ、怒られる。

 少年が途方に暮れて、自分がひっかかった物体を睨み付ける。全く何てことを。そう考えて物体を見れば、


 それは物体ではなく、女性の死体だった。


「ひっ――!!」


 目を見開いて虚空を見つめる女性は口から黒く乾いた血を吐いていて、舌がだらりと垂れている。ドレスは赤く染まり、心臓から下の身体からは、豚や鳥の死体からしか見た事のない、何か長いものが見えていて……


「う、うわああああああああああっ!!」


 そこから先を想像した――してしまった少年の声は、街頭も灯っていない霧の街に響き渡った。

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