日巫女~学園生活編~
長月
1
愛香の部屋でけたたましく目覚まし時計が鳴る中で先に日巫女が眠りから覚めた。
「…何の音ですか?」
ベッドから起き上がり目覚まし時計に手を伸ばしてどうすればいいか考えている模様。
「あっ…」
目覚まし時計の出っ張りを押してベルの音を止めた。
「愛香さん…朝ですよ!」
「…うん…」
「愛香さん」
「日巫女さん」
普段は父から起こされるが、日巫女の声を聞き一発目で目が覚めた。
「日巫女さん…良く眠れましたか?」
「長く寝てましたから、うとうと気味に横になってました」
「そうでしたか…そうだ! 今日は始業式だった」
「し…しぎょう?」
「とにかく着替えてキッチンに行きましょう」
「はい…」
その頃キッチンでは既に座って待っていた。
「おはようございます」
「おはようございます日巫女様」
「お父さんおはようー」
「おはよう、間に合うのか愛香?」
「日巫女さんから起こされていつもより早かったから大丈夫」
いつもと変わらない食卓に一膳増えた席は、今は亡き愛香の母親の席でもあった。
その席に日巫女が座って食事してる姿に自然と笑顔になる愛香。
「ところでじっちゃんは?」
「裏の畑で作業している」
「おはようございます」
「おはよう、八坂さん」
「八坂さんですか? 私は日巫女と言います、よろしくお願いします」
「私はここに奉公している八坂梨乃と言います」
「すまなんだが、日巫女さんに合う洋服を宛がってくれないか?」
「分かりました、日巫女さん食事が終わりましたら私と一緒に作法を教えますので」
「お願いします」
食べ終えた愛香は急いで玄関に、靴を履きながら外へ走って行く。
「愛香さんはどこに行ったのですか?」
「ん~学校という場所に向かいました」
「学校ですか?」
「何て言ったらいいか…」
「生活する為の基本的な事を覚える場所に向かいました」
「さすが八坂さん、一流大学を首席で卒業したとは思えない」
「妬みですか?」
「すまん…そういう訳でその学校に向かいました」
「そうですか…」
「…日巫女さん、洋服の着せ替えをしますのでこちらに来て下さい」
「はい」
愛香が外へ走って行き長い階段を下る。
「愛香姉ちゃん! 早く!」
「バスを停めといて」
階段下に大和が待っている、いつもの事で待つことも慣れてしまった。
「早く! 早く!」
学校の送迎バスに乗る時はドアの横にあるタッチパネルに触り、認証したらドアが開くのだが結構面倒な作業だ。
「ハアハア…間にあった」
「よ! 愛香 おはようさん」
「おはようー」
声をかけてきたのは愛香の幼なじみの高野恭一、住職の息子で高校を卒業すると同時に副住職になる予定である。
「夏休みはどうだったよ?」
「友達と海に行ったけど、台風に巻き込まれて散々よ!」
「日頃の行動が良くなかったか?」
「もう!」
「ところで始業式終わったらカラオケどうだ?」
「ごめん…急用が出来てさ、またにするわ」
「そうか…」
愛香達が向かう学校は中高一貫校の私立鳳凰学園である、表向きは普通校だが愛香や高野の通う場所はさらに学園の奥にある。
「愛香姉ちゃん! またね!」
「ハイハイ」
中高生の普通科は学園の門で下ろされ、さらにバスは奥に進む事になる。
バスを降りてすぐに体育館に移動すると始業式会場である。
「愛香! 久しぶり」
駆け寄って来たのは同じクラスのほのか・ブラバッキーである。
「相変わらず陽気だね…」
「実家に帰っていたって?」
「うん! だけど1週間で帰って来たけどね」
「でも…これから練習が厳しくなるから、覚悟しておかないとね!」
高校生がひしめく体育館に夏休み明けの生徒たちは一回り大きくなったようで。
2
その頃日巫女は八坂から洋服を着させてもらっていた。
「どうですか? 日巫女さん」
「これが私…ですか?」
等身大の鏡に写った自分を不思議そうな顔して見ている。
「これの呼び名は、何と言うのですか?」
「全般的には洋服と言い、この服装はワンピースで日巫女さんにはお似合いと思います」
「膝から下が…」
「すぐに慣れますよ」
「ところで愛香さんが通う学校とは…」
「学校に興味がありますか?」
「私がいたあの時代は神からの言葉を皆に伝える仕事をしていましたから、この時代が私には新鮮に映るんです」
「ですが…いきなり愛香さんと同じ学校に行くには大変かと」
「それは?」
「現代に合わせた全体的な勉強が必要になります…生活環境やその他色々と」
「解りました!」
「…………?」
「その勉強をして愛香さんの学校に行くように努力します、教えて下さい」
「え…構いませんが…長くなりますが、それでも構いませんか?」
「構いません! よろしくお願いします」
少々困惑した八坂であったが明るい笑顔で語っている日巫女に推しきられた形になった。
その頃畑から歩いて日巫女が出てきた洞窟の入り口にいた源治。
「ウーン」
一本縦に線がある扉を見上げながら考え事をしていた。
「父さんここにいましたか…」
「倅よ…あの女性は本物の日巫女様だ…この足跡を見てみろ」
扉の中から外に向かった足跡が三人分付いていた。
「と、なりますと…」
「いや…事は重大だ…いずれあの連中が家を訪ねて来る事にもなろう」
「それは私かの? 源治よ」
「お主は…誰かな?」
「呆けたか? 喪乃延だ!」
「分かってるわ、からかっただけよ!」
「相変わらず口が悪い奴め」
「父さんこの人は?」
「ヤマタノオロチ一族の末裔で喪乃延と言う男で、わしと同い年の奴じゃ」
「息子か? 大きくなったようで」
「すいません…私は…」
「分からんのも無理はない、こんな小さい頃だったからの」
「それでここに来たのは、あの方の検分か?」
「私は隠居した身じゃ、検分は他の連中がするだろう」
「それで今回はどうしたのじゃ?」
「一度だけ拝見して帰ろうと思っての」
「そうか…ならば茶でも飲んでいけ!」
「そのつもりで来たのだがな…」
三人揃って元来た道を帰って行く。
3
始業式が終わり各々教室を戻る生徒達、愛香は昨日からの緊張が緩んだのか歩く姿がふらついている。
「どうしたの?」
「夏バテかな? 心配かけてごめん」
「別にいいけど、無理しないでね…」
前日に日巫女が目覚めて愛香の家にいる現実と、どう接していいか苦しんでいる。
生徒達は教室に入り雑談している者がいるので、愛香達も同じようで。
「それより来月は恒例の奉納祭りで、愛香が巫女舞いするんだよな?」
「文化祭と奉納祭りが一緒なのよね、いつも出られないし辛いわ」
「今年は別々に行事するって聞いてなかった?」
「え? そうだった?」
「バカだな! 親父さんから聞いてなかったか?」
「聞いてたような…」
「しっかりしてよ!」
「ごめん…」
「コラッ! そこ…私語は慎みなさい」
「ハイ」
いつの間にか担任の先生が教室に入って来たのを知らなかったので、愛香達は注意をされた。
源治達は住みかに戻り玄関を開け八坂を呼びつけた。
「八坂よ! 居るかの?」
「ここにいます、何かご用でしょうか?」
「日巫女様を呼んでくれないかな?」
「分かりました、日巫女さんこちらにお願いします」
「はい、分かりました」
奥の廊下からワンピースを着たロングヘアーの日巫女が歩いてきた。
「ひ…日巫女さん、その服はどうなされた?」
「私が八坂さんに頼んで洋服なる物をあつらえてくれました」
「すいません宮司様、勝手な事をしてしまいました」
「謝らなくていい、日巫女さんが気にいれば咎める事はしない」
「貴女が日巫女さんかの?」
「そうですが、貴方は?」
喪乃延は懐から三本足のカラスの印章を日巫女に見せる。
「これをご存知かの?」
「貴方はもしやヤマタノオロチの?」
「そうです…第58代喪乃延でございます」
正座をしようとする日巫女に喪乃延は止めた。
「やめて下さい、私は隠居した身でございます…貴女が日巫女さんと確認が出来ればそれでいいのです」
「先代日巫女から伝え聞かされていた喪乃延様に現代に会えるとは、奇跡のようでございます」
「私も貴女に会えたとは冥土の土産になりました、またこれから別のヤマタノオロチがここを訪ねて来ると思います」
「分かりました、その方達に宜しくお願いしますと伝えて下さい」
「喪乃延よ…飯はどうだ?」
「帰るよ、お前の顔を見ると飯が不味くなる」
「言っておれ!」
「それでは、またお会いしましょう」
深く頭を下げる喪乃延と同じく日巫女も頭を下げた。
「父さん緊張しますね」
「あいつは緊張せんでいい、嫌でもそのうちヤマタノオロチの幹部が訪ねて来るだろう…緊張するのはその時だ!」
居間に移動した日巫女と源治達は八坂から学校の事で話しをしていた。
「日巫女様…本当に学校へ行きたいと」
「はい、私と愛香さんで学校とやらで学んでみたいです」
熱い眼差しで語りかけている日巫女に驚く源治。
「そうなると日巫女様専用の部屋を用意しなければ…」
「父さん、愛香の向かいの部屋を用意すれば宜しいかと」
「そうだの…八坂さん用意してくれないか?」
「分かりました」
始業式が終わりバスから降りた愛香は1人階段を上ると向こうから黒服の老人が降りて来た。
「こんにちは…」
「こ…こんにちは」
見たことのない老人が会釈したものだがら愛香が首を傾げた。
「ただいまー」
何故か誰も応答がなく仕方なく居間へ行くが誰もいない、普段なら誰か一人はいるものだが奥の方から話し声が聞こえるので足を運ぶ。
「あっ! 愛香さん、お帰りなさいませ」
「ひ…日巫女さん! その姿は?」
「八坂さんに誂えてもらいました」
「それとな…日巫女様は学校へ行きたいそうだ」
「父さん それホント?」
「私が教える事になりました」
「八坂さんが?」
「全て終わったら、即手続きをして愛香の学校に行かせるようにする」
「ちょっと待って! 日巫女さんが仮に学校に行くとしたら…素性がバレないかな?」
「名前を変えて愛香の遠い親戚の娘としておこう、それなら素性がバレる事はないだろう」
「でも…あたし、展開が早くて混乱してるわ」
「すいません…私が先走り過ぎて周りに迷惑をかけて」
「あっ! べ…別に責めてるわけじゃなくて、日巫女さんが学校へ行きたいなら応援したいし…」
「愛香よ…肩に力が入り過ぎだ、もっと楽にして周りを頼れ」
「じいちゃん」
「さて、明日から八坂さんが家庭教師だから日巫女さん頑張って下さいよ!」
「はい!」
それからの日巫女の勉強は日に日に上達して愛香の登校を見送り、その後勉学に勤しみしばしの休憩を取りながら夜遅く迄机に向かっていた。
「日巫女様の勉強の姿を見てると愛香の小学生の頃を思い出すな…」
日巫女の部屋を廊下から伺う父と愛香。
「母さんが隣で宿題を見ながら教えてもらった記憶があるわ」
廊下で声がしたのを気付いた八坂、愛香のそばに歩いてきた。
「愛香さん!静かにお願いします」
「ごめんなさい」
そっと引戸を閉めリビングに戻る二人。
お茶を飲みながら愛香がふと思う。
「父さんさ~日巫女さんの素性を隠して学校に行くわけよね? バレないかな?」
「愛香の通っている鳳凰学園は国の管理下に置かれていてな、学園内は全ての通信情報や危機管理情報網を監視されている機関でもあるんだ」
「そうだったの? そこまで知らなかった」
「だから愛香は普段と変わらず、今まで通り生活すればいい」
「父さん…」
肩の荷が落ちた愛香であった。
4
いつもと変わらない朝方に笑顔で玄関を出て行く愛香、玄関先で手を振る日巫女は今日が登校日である。
「日巫女さんは私と学校に行きましょう」
「分かりました」
制服姿に着替えた日巫女は八坂の車で宮司と一緒に学園に向かう。
神社の階段をゆっくり歩いて降りて行く愛香はいつになく穏やかだ、普段なら駆け下りて行くのだが隣にいる大和が声をかけても返事がない。
「愛香姉ちゃん、聞いてる?」
「あ! 大和 そこにいたの?」
「そこにいたのじゃないよ! どうしたの?」
「今日日巫女さんが学校へ行く日でね、それで何か不思議な感覚で」
「…?」
「とにかく気分がいいわけ、さぁ行こう!」
「日巫女…いや 椿さん、そろそろ学校へ着きますよ」
「ここが愛香さんが通っている学校ですか?」
「そうですよ、くどいようですが今日から日巫女の名を隠して椿さんで通して下さいね」
「分かっています、愛香さんに迷惑がかかりますもの」
車は学園の裏手に回り学園長の部屋に宮司と日巫女改め椿が車を降りた。
ホームルームが始まる十分前に愛香が席に着く前に、教室では編入生の話題で盛り上がっていた。
「ねぇーねぇー! 愛香~今日編入生が来るんだって、知ってた?」
「ほのかは朝から元気ね…し…初めて聞いたわ、誰だろうね?」
(知らないふりは、わざとらしかったかな?)
学園長室では既に学園長と宮司と椿が会話していた。
「宮司からの用件は聞いています、こちらも細心の注意をはらい椿さんをお守り致します」
「学園長…そうかしこまらんでも、椿さんに対しては学園の生徒として扱って欲しいので普通に接して下さい」
「学園長…土御門 椿です、よろしくお願いします」
「参りましたな、未だに信じられません…この方が日巫女さんとは」
「学園長! ここでは禁句です」
「おっと…そうでしたな、では椿さん教室に行く前に先生と一緒に行って下さい」
「分かりました」
「椿さん、学校を楽しんできて下さい」
「ハイ!」
担任に連れそわれて愛香の教室に歩いて行く。
「土御門さん、私が呼んだら入って下さい」
「分かりました」
「ホームルームを始めるぞ!」
「先生~早く編入生を紹介してよ!」
「俺より編入生が見たいか? どうするかな」
「お願いします」
「分かった、入りなさい」
黒髪をなびかせながら皆の前に立つ土御門、あまりの美しい姿と品性が教室中に漂う。
「土御門さん、名前を…」
「ハイ! 土御門 椿と申します、よろしくお願いします」
一瞬間を置いた後に教室中は男女問わずどよめいた。
「え~土御門さんは神凪さんの隣りに座ってね」
しゃなりしゃなりと歩く椿、あたかも初対面な顔して愛香の横に座る。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
1時限目を終えた休憩時間に椿の周りに人だかりが出来た。
「ねぇーねぇー どこの高校から来たの?」
「私は幼い頃から身体が弱く学校に行けなかったので、今まで家庭教師に教えてもらったりしていました」
「みんな! 聞きたいなら放課後でさ」
「でもさ~愛香、早く友だちになりたいから」
「ほのか…土御門さんも嫌なら言った方がいいわよ!」
「大丈夫です、私も貴方達と話したいので」
「どうなっても知らないからね」
愛香は学校ではなるべく椿と普通の女子高生との会話にするようにした。
勉強の時間は長いようで短い、あっというまに昼食時間が来て椿と愛香はレストランホールに行く事にした。
「人がいっぱいですね!」
「二年生の生徒が来る場所だからね…ほら、ほのかたちよ」
「こっちこっちー」
「愛香さ、放課後に校内を案内しないとさ」
「けどさ…広すぎるのよね、何処から回る?」
「あの…出来れば、神凪さんの入部している部活動が見たいのですが」
「あそこね、顧問に連絡しないと通れないから」
「何故ですか?」
「部活動公認コードってのがあって、ほら手首に巻いてあるこれで通る事が出来るのよ」
「セキュリティ一コードになっているのよ」
「セ…セキュリティ一コード?」
「よそ者が入れないということ」
「ぜひお願いします!」
丁寧にお辞儀をする椿、この人があの日巫女かと思うと面をくらう愛香だった。
「何? 土御門に部活動を案内するって?」
「ダメですか?」
「ダメではないけど、急に来ても公認コードは作れんぞ!」
愛香を含めほのかと椿は顧問がいる職員室に来ていた。
「そこを何とか…」
「簡易型認証コードなら作れるが返却は今日限りだから、終わったらすぐ来なさい」
「ありがとうございます」
職員室から出た愛香達は別棟に移動する為セキュリティゲート前に行く。
「お~い」
「マスター!」
「顧問から言われたが、土御門さんを案内するとか?」
「あの…愛香さん、この方は?」
「私達の部活の部長で、マスターって…」
「顧問の泰と言います」
「愛香ー 向こうに行って見てもらうのがいいんじゃない」
「そうね…」
セキュリティゲートを通過すると廊下の突き当たりになっていてマスターが手をかざすと、空間が歪んでそこに廊下が現れた。
「凄い仕掛けですね」
「後で話しますがここから先はスピリチュアルを学ぶ部活になっていて、愛香達は通常の勉学とこの部活をしています」
「…?」
「椿さんどうかしましたか?」
「スピリチュアルとは?」
「それは、言葉より見た方が分かるでしょう」
「ここから呪術界の入口に入ります」
廊下の突き当たりに五芒星のマークがありセキュリティーコードをかざすと扉が開いた。
更に進むとエレベーターがあり地下に向かう。
「地中に部室があるんですか?」
「部室と言うより国家呪術ライセンスを育成する場所になりますね」
地下に着いて扉が開くとメタリックな廊下に左右には扉が奥へと並んでいる。
「ここが神凪さん達が使用しているエリアになり、一番奥が呪術界の中でも初心者が修行に励む場所ですよ」
自動ドアが開き中に入ると機械的なソファー席がズラリと並んでいた。
「このソファー席はオーラメンタリーとなっていて、強制瞑想マシーンと呼んでいます」
「強制瞑想ですか?」
「んー…分かりやすく言うと呪術を使う時は心を落ち着かせるものなんですが、集中力切れは呪術師では命取りに繋がります」
「椿さん、体験してみる?」
愛香が椿に促す。
「宜しいのですか?」
「椿さんのオーラを見てみましょうか」
椿をソファに座らせリング状のヘッドギアを頭に被せる。
大型モニターに映し出された人型ラインに沿ってカラーバリエーションが広がりその人の波長を検査する、従ってオーラ占いとは違いオーラ調整する機械になっている。
やがて椿のオーラがモニターに映し出されたのが画面いっぱいの白色であった。
「凄いですね…土御門さん、今まで色んな人のオーラを検査して来ましたが白色は受信感度が鋭いんですよ」
「スゴいじゃない椿さん」
「大袈裟ですよ、ほのかさん」
「愛香なんてねぇ~」
「うるさいわよ」
「これでどうなるんですか?」
「これにより個人レベルで計測し入部する所が複数出てきます」
一分程経過して結果が出た。
「土御門さんの入部する所は…」
「どうかしましたか?」
「最高Aランクの入部が二つ…召喚士と魔術系統?…に 入力間違えたかな?」
「マスターどうしたの?」
「いや、何度入力しても魔術系統しか出てこない」
「魔術とは何でしょうか?」
「土御門さんそういうのは後回ししてさっさと戻るわよ、帰りが遅くなるから」
「そうですね、帰りましょう」
まだ納得しないマスターは首を傾げながら地上へ戻る事にする。
出入口に戻ったマスターと愛香達と別れて職員室に寄り帰路に着く。
「愛香ちゃん、椿さんの所寄りたいんだけど…」
「今ね秋祭りの準備で忙しいの、だからそれは後でね」
「そうか…じゃ暇ができたら行ってもいいよね?」
「そうね…」
今まで続いていた日常生活が日巫女が目覚めて以来日巫女中心の生活になっていた。
だからバレないようにカバーしている愛香は、周りから悟られないようにしている。