表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日突然神様になっちゃいました!  作者: 仲新屋ひとし
第1話 「俺が神様ってどういうこと?? -職業”神”ってどんなプレイ?-」
9/23

08 初戦闘、振り返り

ゴウの数回にわたる攻撃が当たり、ゴブリンが倒れた。

すると、ステータス画面の下の枠に「ゴブリンを倒しました。経験値を得ました。・・・」などという文字が流れてきた。

そういえば、戦闘に集中していたので気にならなかったけど、戦闘中ずっとこの枠の中を文字が動いていたような気がする。


「はぁ、疲れた。これが戦闘かぁ。」

剣を鞘に収めたゴウが疲れた顔をしてこちらに歩いてきた。

「お疲れさん。こんな感じでやっつけていくんだな。んで、なんか画面の下の方にいろいろ表示が出ていたけど、これが経験値が入ったということなんだな。」

「ああ、そうだ。コインも手に入ったはずだ。宿に泊まるためには10コイン必要だから、最低でもゴブリン6匹は倒さないとダメだな。」

「それで経験値が貯まっていくと、レベルも上がって力も強くなり、戦闘も楽になると。」

「それから、技も覚えるらしい。戦士ならレベル3で、「アタック」という威力のある一撃が撃てる技が使えるって書いてあったぜ。」


ゴウは俺の背後を見ているかのような、でも焦点は別の所にあっている感じの視線を向けながら、疲れた声で話した。ゴウも俺と一緒で画面下の文字を見ているんだろう。

「それにしてもやけに疲れた感じだな。攻撃は貰わなかったんだろ?」

疲れ方が気になってゴウに話しかけると、


「ああいや、攻撃はもらっていないからHPは減っていないんだが、剣を振って実際に目の前にある奴を攻撃するなんてやったことないから緊張したんだよ。

こんな近い距離で、日本で見たことのない奴が棍棒を振り上げて向かってくるんだぞ。実際に死ぬことないと分かっていても、緊張しないわけがないし。それに、感触もリアルなんだよな。棍棒に当たったときは堅いものを棒で殴った感覚で、ゴブリンの体に当たったときは肉のかたまりを包丁で叩いたときのような感触がした。」

その時の感触を思い出しゴウはしかめ面をしながら言った。


「俺は結局参加できなかったからここで見ていただけだけど、確かにあんなのと近くでぶつかるってきつそうだなぁ。それにしても感触がリアルっぽいのは分かったけど、ゴブリンには切られたあととか変化なにも無かったぞ?」

「それは俺も気になっていた。血がふき出るとか無かったし。でも、実際に切り口が見えたり、内蔵が飛び出たりしても嫌だしな、俺はこれでよかったと思うよ。」


普通の家庭に育って、サラリーマンしている俺らにとって、動物の解体とかやったことがないし、ゲームや映画なんかでスプラッタ表現を見ることはあっても、画面とこうして本物そっくりに体験できるこの世界では大きく違う。もし、傷口なんかの再現をリアルにしてしまうと、ゲームそのものが楽しめなくなる恐れがあるから配慮しているのだろうと思った。


「確かに。いろいろまずいものが見えない方がいいな。でも、そうなるとどれぐらい相手にダメージを与えたかどうかはどうやって判断するんだ?あの頭の上の数字か?」

「そう。あれが体力値、HPを表しているんだ。あの数字を0にしたらゴブリンをやっつけられるということだ。俺の頭の上にもあるだろ?俺もこの数字が0になったら死んでしまうということだ。」

「なるほど。で、死んだらどうなるんだ?」

「死んだら、最後にログインした街のはじまりの泉からリスタートだな。ただしペナルティが付く。ログイン中に得た経験値は無かったことになるし、ステータスもしばらくマイナスで表示される。いわゆるデスペナって奴だ。」

「そうか、やっぱり罰はあるんだな。例えば得たアイテムとかはどうなるんだ?」

「その辺の情報は無かったな。なんならトウヤ、試してみるか?」

「嫌だ。攻撃喰らわなきゃダメだろ? いくら血とかが出ないとはいえ試す気にはならん。」

「まあわざわざ死にたいとは思わないしな。そういやパーティーメンバーにも攻撃することはできるらしいが、自分に対してはどうだろうな?」


そういうと、ゴウは剣を取り出し、反対側の腕に剣を当てて少し引いた。

「っつう。」

切った瞬間は痛そうな顔をしてたが、剣を引いたところに特に変化は無い。ゴウの頭の数字を見ると少し減っていた。

「お前の数字減ってるぞ。」

「ああ、ステータス画面でも確認できてる。傷口は確認できないけど、その部分に包丁当てて切ったかのような痛みはあるな。HPも減るということは自殺もできるということか。」

「痛みもあって、自殺もできるなんて現実世界と変わらないな。血とか見えないだけで。そういや、これ街の中でもできるのか?」

「そういえばそうだな。説明書には特に無かったが、街の中でも相手を傷つけることができるとなるとうかつなことできないな。」

「ああ、ケンカとかで剣を振り回したり、こっそり誰かを傷つけることができるとなると物騒で仕方ない。痛みもあるならゲームじゃなくなるな。」

「俺がやったことあるゲームだと、街の中は攻撃が一切できなかったり、武器の装備が制限されたりしていたのがあったけど、この辺は街に帰ってから試すしかないな。」


フルダイブ型VR機ノワイエールと、それを使ったMMORPGゲームCreate World Online。画期的なゲームだが、こうして実際にプレイしてみると色々問題になりそうなことがあるように感じた…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ