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ある日突然神様になっちゃいました!  作者: 仲新屋ひとし
第1話 「俺が神様ってどういうこと?? -職業”神”ってどんなプレイ?-」
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07 初戦闘

ようやく装備も調ったのたところで、

「そろそろ街の外に出て戦闘してみようぜ。」

とゴウが言うのでさっそく街の外に出てみることにした。

周りの人の流れも広場と逆方向にある大きな門に向かっていたので、自分たちも同じ方向へ歩くことにした。


しばらく大通りを歩くと観音開きの扉があいている門に着いた。高さは10m以上もあり、横幅も20人が並んで通れるほど大きな門があった。扉の前には立派な槍と盾を持った人が立っていたので声をかけてみた。


「ご苦労様です。ここで警備をしているんですか?」

「ようこそ、はじまりの街へ。」


いかつい顔をした男は、無表情のまま質問の答えになっていない言葉で返してきた。

気になったので今度は天気について聞いてみたのだが、やはり同じ言葉が返ってきた。


「こりゃ、まるで昔のTVゲームのNPCみたいだな。」

とあきれ顔でゴウは呟いた。


「NPCって?」

「ああ、NPCというのはノンプレイヤーキャラクターの略で、普通はゲーム内で動いているキャラのことを指すんだよ。人間が動かしているのがPC、プレイヤーキャラでその反対ってとこだな。」

「なるほど。確かに、この反応は懐かしのゲームキャラとの会話っぽいな。これが画面の表示とかならまんまだけど、普通の人間のようににみえるのが同じ言葉を繰り返し話すというのは不気味なものがあるなぁ。表情も変わらないし。」


ここら辺も不満としてネットにあった情報と同じだなと思った。

そんな兵士?の横を通り過ぎ、門を通過すると目の前には平原が広がっていた。かなり遠くの方には川が流れていて、道はその川にかかっている橋を越えた先の方まで続いていた。

左手側には木々が生えていて、そちらに向かう人も見えた。


後ろを振り返ってみると、城壁の奥には山が見えている。こういった、現実世界ではTVでしか見たことのない風景を見て、しばし足を止め見入ってしまった。


「ん?」

歩きながら前方を見ていたゴウが誰何する声を上げた。ゴウの見ている先を見てみると、鳥らしきものが飛んでいるのが見えたが様子がおかしい。鳥がまったく動いていないのだ。


「なんだあれ? 鳥が止まったまま浮いているように見えるけど。」

「それだけじゃない。その周りを見てみろ。ノイズっぽいのが走っているぞ。」


言われて鳥の周辺に目を凝らしてみると、その瞬間に雲みたいのが見え、泊まっているように見えた鳥が普通に羽ばたいて、向こうの方に飛んでいく様子が見えた。


「あれ、ノイズが消えたな。」

どうやら静止していた鳥とノイズが、雲みたいなものがかかった瞬間に消えたらしい。


「ネットで見たけど、ああいうのって結構あるらしいよ。やっぱり、別世界を完全再現するのって相当難しいんだろうな~」

「ああ、街の中は感じなかったけど、フィールドではバグっぽいのが結構あるみたいだ。それに、街の外は表現もかなり粗くなっているらしいぜ。」

「そういえばネットでも、敵や植物なんかが昔のポリゴンっぽい、かくかくした表現のもあるって情報があったっけ。」

そういった、再現が甘い部分があるのは(別世界に来た驚きが大きかったこともあるけど)期待が大きかった分、残念な気分になってしまうのかもしれない。


「それにしても、多くの人がこの辺をうろついているはずなんだけど、見える範囲はそれほど多くないな。」

「ああ、それは距離感調整プログラムのせいだな。モンスターやキャラクターは一定の距離から離れると見えなくなるように設定しているらしい。」

「確かに、全国からこの街にログインしているから、全員が認識できるようになっていたらうざくてしょうがないな。戦闘で他の人に当たってしまうこともあるだろうし。」

「そういう他の人に当たることをフレンドリーファイヤーといって、嫌がられる行為の一つだな。ゲームによってはPCには攻撃できないようになっていたり、戦闘フィールド内でしか影響を及ぼさないようになっているのもあったりするけど、このCreate World Onlineではそういった制限はないな。その代わり、魔法攻撃でもそんなに遠くまでは飛ばせないみたいだけどな。」


そっか、昔のTVゲームなら敵と当たった瞬間にバトル画面に移ったりしたけど、ほぼ現実っぽいこの世界ではそういった周りにも気を配らないといけないんだな。

もし、弓とか使えるようになったら戦闘距離も変わってくるだろうし、より強力な魔法が使えたら味方も巻き込んでしまう恐れもあるだろうしな。





そんな、この新しい世界についてあれこれ考えながら道を歩いていると、遠くから緑色の肌をした異形が現れた。背の高さは1mぐらいで、体は腰に粗末な布を巻いている程度。手には先端が太い棍棒を持っていた。髪はなく、額には小さい角が2本生えているのが見えた。


「お、さっそくお出ましか。ありゃゴブリンだな。」

「どのぐらいの強さなんだ?」

「この世界で最弱らしいぜ。○○クエストのスライムぐらいじゃないかな?」


二人とも好きなゲームに登場するその最弱モンスターは初期装備でも数回攻撃するだけでたおせる敵で、戦闘システムに慣れるため最初の頃よく戦った相手である。でも弱いし経験値も少ないので、慣れたら見向きもされなくなる奴らだったのだが。。


「あいつは周りの人も狙っていないみたいだし、さっそく戦ってみるか。」

俺はそう言うと、手に杖を装備した。

ゴウも鞘から剣を抜いて、ゴブリンへと近づいていった。


「まずは俺が最初に攻撃をする。魔法は連続して撃てないはずだから、俺がある程度削ったあと下がるんで、そしたら魔法を放ってくれ。」

そう、ゴウは言うとゴブリンへと視線を向けた。


「ってか魔法ってどうやって放つんだ?」

という俺の問いに、ゴブリンに向かいかけたゴウはちょっとつんのめってあきれた顔をして俺の方を睨んだ。


「トウヤ、お前ほとんど説明書みていないだろ! は~しょうがない。まだ距離があるから急いで説明するぞ。」

「すまん。」


「ったく。魔法使いが杖を装備すると、右側に使える魔法一覧が出てくるだろ。」

「ああ、ファイアーっていうのが白い字で表示されている。」

「それを選んだら杖から火の玉が出てくるはずだ。どんな感じになるかは箱の写真を見たろ。」

「なるほど、あんな感じになるのか。 せっかくだから俺から攻撃してみてもいいか?」

「うーん、最初の一撃は俺がやってみたかったけど。でもまあ距離もまだあるし、どの程度のものかもみてみたいからいいか。ほれ、やってみろよ。」


ゴウが最初の一撃を譲ってくれたので遠慮無くやることにする。ゴブリンとの距離はもう20mほどに迫っていた。向かってくるゴブリンに杖の先端を向けるように構えて、もう片方の手で画面を操作し、ファイアーを選択した。

「さあいけ、ファイアー!!」


・・・・・・・・・・


何も起きない。

ゴブリンはやや速度を上げてこちらに近づいてきた!


「おい、言ったとおりにしたけど何も起きないぞ!」

慌ててゴウに告げた。

「はぁ?そんなはずはないはずだけど。しょうがない、コイツは俺が仕留めるさ。お前は見ててくれ。」

そういうとゴウはゴブリンに向かって走り出し、剣を振り上げた。


ゴブリンの方も棍棒を振りかざして剣を迎え撃つ。ガキッという音とともに棍棒と剣は激突し剣が跳ね返された。ゴウは数歩たたらを踏んで後ろに下がり、ゴブリンも同様に数歩下がった。


「ってえ。しっかり握ってなかったら剣を離したとこだな。」

そう呟きながらゴウは、体勢を崩したままのゴブリンに向かってダッシュした。剣は下げたまま向かっていき、今度は右下から斜めに切り上げた。

その一撃は棍棒で跳ね返されることなくゴブリンの体に当たった。

ただ、「ザシュ」という音はしたのだが、ゴブリンに切られたあとは無かった。それでも攻撃が当たっていたのだろう、ゴブリンの頭上にあった数字が少し減っていた。


「うなろう!」

ゴウは気合いの入った声を出しながら、続けざまにゴブリンへと切り込んでいった。数回はゴブリンも棍棒で防げたようだが、防げなかったゴウの攻撃が数回ゴブリンの体に当たった後、ゴブリンは切られた後の格好のまま止まり、そのまま光の粒子となって消えていった。


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