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ある日突然神様になっちゃいました!  作者: 仲新屋ひとし
第1話 「俺が神様ってどういうこと?? -職業”神”ってどんなプレイ?-」
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05 Create World Online~はじまりの泉~

ぼやけた視界が徐々にクリアになっていき、「ポーン」という音が頭の中に響いた直後、周りの様子がはっきりとしてきた。

目の前には石畳の広場があり、そこに大勢の人の姿が見えた。男の人も女の人もみんな中世ヨーロッパにいたような、いわゆるファンタジーに登場する町人が着ている布の服を着てあるいた。

自分の体を見てみると、横になっていたとき来ていたTシャツにスウェットではなく、周りの人と同じ格好をしていた。

足元にはわずかに水がたまっていて、ここが「はじまりの泉」というところのようだった。


自分の手のひらを見てみると、本当の手とまったく変わらないように見える。手を握ったり、顔を触ったりしてみたけどまったく違和感がない。

泉から出ようと歩いてみても普段と変わらず普通に歩けた。部屋にいる自分は寝ていて、これは機械が睡眠状態の自分に見せているバーチャルリアリティーなんだと分かってはいてもとても不思議な感じがした。


息を吸ってみても臭いはしない。試しに息を止めても特に苦しく感じない。でも無意識に呼吸をしているという感じだ。

歩いていると、くるぶしまで水がある浅瀬をじゃぶじゃぶと歩いているわりに水の抵抗が全く感じることができなかった。それに靴の中も水が入ってきている様子はなかった。

泉から出て周りを見渡すと、自分と同じように体を触ってみたり、きょろきょろ周りを見渡す人が見受けられた。


周りの人を見ても、服装とか髪の色とか気になるところはあっても、普通と変わらない。でも、臭いとか足元の水の感触とかでここは本物の世界では無く作られた世界なんだなと改めて感じた。




一緒にログインしているはずの耕太を探そうと周りを見渡すと、広場の端、大きな建物の横に耕太らしき人物が見えた。

あっちも気がついたようで大きく手を振っている。少し小走りに耕太に近づいたら、爆笑された・・・


「あっははは。お、お前その髪の色はなんだ~」

「やかましい! 髪の色とか選べたから現実じゃ絶対染めない色を選んだだけだ!そんなにおかしいか?」


「はははは、ひー、お前のその顔で、そんな色をしているなんて。嫁さんにもみせてやりたいぜ」

耕太のあまりの笑いっぷりに、顔をしかめながら前髪をつまんで見た。

見えた髪の色は明るい緑色。鏡がないからどんな感じか分からないけど、そんなにおかしいか?緑色の髪をしている奴ぐらいたまにいるだろと思うんだけど。


「そんなにおかしいか? せっかく髪の色を変えられるからと普段絶対しないのを選んでみたんだけどなぁ。そういうお前は髪を少し赤くしたぐらいだな。あまり変えなかったのか?」

「ああ、確かにお前みたいに張り切ってキャラ作成する奴もいるが、たいてい痛く感じて元に戻すのを見てきたからな。俺もお前と同じく日本人顔だから、ちょっと変えるぐらいがちょうどいいのさ。」

「そういう情報は早めに教えておいてくれよ。」


はぁとため息をつき、改めて耕太を見やった。

「んで、これからはどうする?」

「とりあえず、その耕太っていうのをやめてくれないか。ここではゴウと呼べ。」

「ああ、キャラネームね。はいはい、ゴウ様。あ、俺は面倒くさいんでそのままトウヤにしたから。んでこれからどうするのか?」

「まあ、あちこち見て回りたいところだけど、まずはこのバーチャルリアリティーを楽しみたいな!」


確かに。この非現実的で、でもたしかにそこに感じられる不思議な感覚。これぞこれまでなかった、新しい技術でそれを存分に楽しみたいというのは分かるな。




 結局30分ぐらいその場でお互いを見やったり、建物を触ったり広場を歩き回ったりした。

また、ずっと視界の周りに見える表示も確認したりした。この世界に来てからずっと視界の周りに展開されているシステム画面っぽい奴。「ログアウト」とか、「HP」とかいろんなものがずらっと、視界の周囲を取り囲むような感じで配置されていた。

これは「ステータス画面」といって、この表示は自分以外には見えていないそうだ。

表示は半透明だけど、常に視界にあるので視野が狭く感じるし、いかにもゲームの世界って感じなんだけどずっと見えるのでうざく感じられた。ネット情報によると非表示することはできないらしい。


それから、人の上にずっと表示されている名前と数字も気になった。見えないよりは見えていた方がいいんだろうけど、意識していなくても見えてしまうし、せっかくの別世界の景色堪能したいのに邪魔に感じる。これもON/OFFとかできるともっと見やすくなっていいのにと思った。


まあ、そんな不満はいくつかあったけど、それでも別世界に来たという感激を少なく感じるということはなかった。それは多くのゲームで遊んできた耕太、いやゴウも同じみたいで、お互いに感想を言いやりながらヨーロッパのどっかにあるような、煉瓦と石畳の街並みを歩いていった。


プロローグ部分にたどり着くのはあと5話くらいかかるかも。。

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