unit7
自覚してから、結局何事もなく時間だけが過ぎていった。
離れてしまうのに話せないこと、目の前に迫る受験のこと。
考えることが多くて頭がパンクしそうなことを知ってか知らずか。
「俺がいなくなったら寂しいか」
そんなメールをしてくる夕陽。
そんなの、寂しいに決まってる。
その日の私は疲れていたのもあるのかもしれない。
いつもなら「そんなわけない」って強がりを言うのに
「寂しいよ」
そう素直に返信をしていた。
しまった。そう思った。
バカにしてくるに違いない。
しかし、届いたメールの内容は「そっか。」の一言だった。
それはいったいどういうことなのか。
なぜ聞いたのか。新たに浮かぶ疑問に対して答えは出ない。
考えるもなにも浮かばなくて。
ただ長く一緒にいただけで、夕陽のことはなにもわかってないのかな。そう思って悲しくなる。
夕陽とメールをしたのはそれきりで、そこから卒業式まではお互いに入試など進路活動で忙しかった。
一足早く推薦で内定をもらった私は多くの課題に追われていて、夕陽が遠くへ行くことに対して考える余裕も無かった。
いや、考えたくなくて課題に没頭していただけなのかもしれない。