unit2
私たちは同じ保育園で育った。
家は近くなくて。一緒に過ごすのは保育園の中だけだった。
校区が違うから、小学校が同じだなんて思わなかったんだ。
私の校区内の小学校は、入学前から廃校が決まっていた。
それならばと、両親は校区の関係ない私立の小学校に私を入れた。
そこは、なぜか大学附属にもかかわらず小中一貫校で高校は無かった。
そんなことはつい先日まで園児だった私には知る由もなく、校区なんてことも大して知らなかった。
ただ、同じ保育園からの友達がいないことだけは両親に聞かされていて、とても不安だった。
だから、彼が現れた時はとても嬉しかった。
「ハル!」
「ゆうちゃん!!」
心細くて、周りに声もかけられなかった私に声をかけてくれたのは、ゆうちゃんこと梶原夕陽だった。
夕陽は保育園からの友達だった。
そこで唯一の知り合いだった。
それから、私たちは卒業までずっとクラスが一緒だった。
それが普通だと思っていた。
入学当初、ゆうちゃんが私のことが好きだと噂が流れたことがあった。
私もゆうちゃんが好きだった。
それが、恋愛かどうかなんてその頃の私が考えているわけもないし今もわからない。
ただ、一緒に笑い合うことが何よりたのしかった。