ワンフレーズで堕ちた恋
―ワンフレーズで堕ちた恋―
真っ赤に染まった散り行く紅葉の中、モノクロームの鍵盤とのコントラストが美しい。
何よりも、その鍵盤の上を滑るように叩く華奢で綺麗な指と、その指の持ち主が美しい。
少年は、目を閉じて感じるままに鍵盤を叩き続けていた。
バスの車窓からそれに気付いた少女が、慌ててストップボタンを押してバスから飛び降りる。
相変わらず目を閉じたまま、キーボードの少年は楽しそうに音を奏でていた。
華奢な指に華奢な体つき、どこからこんなに美しくも力強い音楽が生まれてくるのかというくらい不思議な感覚。
蕩けるような瞳でその様子を眺めていた少女の視界に、もう一人の少年が目に入る。
彼がキーボードの少年に近付いて、何やら声をかけると、音楽が変調する。
先程までの美しく力強い音楽から、少し切なく寂しい音楽へ、そしてまた、明るく未来を切り開くような音へと次々と変わっていく―――――。
世界がくるくると目まぐるしく変わるように、音楽が景色を変えていく。
少女はその景色に夢中になっていった。
やがてキーボードの傍に立つ少年が、満足げに微笑んだと思うとおもむろに歌いだした。
それは、真っ赤な紅葉と、モノクロームのキーボードとを調和させるような、伸びのある声色。
世界すべてが彼らに呑み込まれるかのように、他のものが目に入らなくなる。
いつしか少女は涙を流していた。
その美しさに、切なさに、甘くほろ苦い世界に。
真っ赤に染まった景色の中で、モノクロームの少年2人から目が離せなくなる。
そこだけ白と黒に支配されたように。
しかしそこだけは音楽で溢れていた。
歌とキーボード、たったふたつの音だけど、すべての音がそこに吸い込まれるように消え去っていって、他の音など聞こえない。
少女は涙を拭ってバス停に足を向けた。
あの、キラキラ光るガラス細工のようにすら見えるモノクロームの世界を、これ以上見ていられなくて。
壊してしまいそうで怖くなって。
ただただ、胸はドキドキしている。
少女はまだ涙をためた瞳を閉じて微笑む。
それは、そう
たとえるならば―――――
ワンフレーズで堕ちた恋。
END 20151001
チョコレートか何かのCMの設定で、一切名前も出さずのWINGSの2人ですけど…これも二次創作だよね~^^;
超々短編っていうか、15秒CM感覚で書いたので一瞬で読み終わるかと思われ。
少女が誰かはご想像にお任せします^^
ええ、咸月の中ではイメージが思いっきりありますけどねwww
でも一切名前は出してない。
誰一人名前は出ていません。
さくらちゃんの小説を読んでいたらWINGSは簡単に分かりますけどね?
ちょっと…短すぎてごめんなさい。
ご本家はご満悦のようでしたので安心しましたが、全年齢だからムーンライトではなくこちらに置くように言い渡されましたw
有難うございました~。