守りたい人
「どう? 戦い方は覚えてきた?」
「ま、まぁな……。ってかお前、全然疲れてないじゃん」
「相手が多いんだから、体力温存しながら戦わないとでしょ?」
確かにそうかもな。ってかそうじゃん。でも、ちょっと楽しくなってきたかもしれない。俺って結構黒い部分持ってたりするかも?
「あのさ、この戦いが終わったら話があるんだ」
「え、なに? 今のセリフすっごくこれから死にそうなやつっぽいんだけど……」
「うるせぇよ! いいから、時間空けとけよ。まぁ、生きてたらだけど」
「時間空けとくも何も、今の私が帰れる場所なんてあんたの家くらいでしょ?」
そう言って振り返りもせずに後ろから迫るナハトを斬り捨てる。
いやね、すごいのは分かるけどさ、そのセリフ言いながらデストロイすると可愛さ半減じゃすまないと思うぞ。ってか怖い。
「ほら、突っ立ってないで行くわよ!」
「あ、おい! ちょっと待てって!」
なんだか凛とは、ずいぶん一緒にいるような感覚になってきた。話しやすいし、安心するし、とても楽しい。いつまでも一緒にいたい。……あれ? 俺もしかして。
「好き、になってるのか?」
「何やってるのよ! この先結構ナハト居るんだから急ぐわよ!」
そうか、そういうことだったんだ。
俺はあの夢で見ていた時から、名前も顔も知らないあの声に惚れていたのかもしれない。
あの夢をいつから見ていたのかは分からない。でも、もしこの世界に運命というものがあるとしたら、俺はあの夢を見ていた時から、こうして戦って、凛と出会うことって決まっていたんじゃないかと思う。
そしてこの場所で俺はそれに気付くんだ。
凛を守りたいってことに。
「翔也?」
「あ、あぁ! ごめんごめん! 行くよ、行く……」
だからさっきも、無意識に話があるとか言ったのか。もう伝えたいところまで来てしまっているんだ。俺の気持ち的には。
だったら、絶対奴らに勝って伝えなきゃな。
「ヘヘヘヘヘ、ニンゲンドモヨ! イマスグコウサンシテクレタラ、イノチダケハタスケテヤル」
「ちょっとうるさい。リテラスラッシャー」
「グアァァァァァッ!」
「やっぱり、まだ早いかな……」
焦ることはない、か。ほら、別に死に別れするわけでもないし、まだ凛の気持ちも分からないしな。
今焦って告白して降られたりなんかしたら、俺死ねる自信あるわ。
「もう少し様子を見るか」
「さっきから何一人でぶつぶつ言ってるの? 気持ち悪いんだけど……」
「ねぇ人の傷口えぐるようなこと言うのやめてくれない?」
まぁ、それでも俺がすることは変わらない。凛を守る。絶対にだ。




