新規薬剤とコーヒー
お題:静寂に包まれた部屋が舞台で『コーヒー』が出てくる明るい話
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とある研究室で、男は新しい薬の開発をしていた。
最近流行の兆しを見せる、とある感染症の特効薬だ。どの会社も、副作用が無くしっかり治癒できる薬の開発を急いでいる。男も、そんなとある会社の社員の一人だ。
感染症に有効な成分はある程度特定されている。しかし、問題はここからだ。
この有効成分、配合量を間違えると大きな副作用が生じる。それを抑えるための成分を配合したり、錠剤形成する媒体をいろいろ試したりしているが、揮発したり効果が弱まりすぎたり、逆に増幅されたりするのだ。このままでは製品にならない。
「さて、どうしたものか……」
考えていてもしょうがない。男は給湯室でコーヒーを淹れ、研究室の机に持ってきた。
研究室内での飲食は本来ご法度だ。しかし、誰もいないし、器具も薬品も扱っていないからいいか、と男はコーヒーを口にした。
研究室内の薬品の臭いとコーヒーの香りが混じり、妙な気分になる。
「あれ、なんかおかしいな。視界が……」
たった一口コーヒーを口にしただけのはずなのに、目の前が歪んで見える。
「あぁ、でもなんだか、体が軽くなってきた……」
ふわふわとした状態で立ち上がると、男はおぼつかない足取りで研究室から飛び出した。給湯室に飛び込むと、少しだけ気分がよくなった。しかし、どうも昂揚した気分が抜けきれない。
「今の感覚は一体何なのだ?」
水を一杯飲むと、ようやく落ち着きを取り戻した。そして、もう一度先ほどの状況を思い出す。
「えっと、コーヒーを持って行って、それから……あっ」
男は慌てて研究室に戻った。コーヒーを置きっぱなしにしていたせいで、薬品とコーヒーの香りが混ざった、妙な臭いが充満している。
「こ、これだ!」
男はすぐさま、研究室内で使っていた薬品を書きとめ、少量ずつかき集めた。
「これでノーベル賞は俺の物だ! 俺の未来は明るい!」
「昨夜、吸引性の麻薬を開発し使用していたとして、A社の社員が逮捕されました。調べによりますと、偶然できた揮発性の薬物を室内で服用していたとのことです」
男は逮捕されたが、成分を揮発させて間接的に接種させるという方法で特効薬が開発され、医療現場の未来に明かりがさした。
明るい話とは一体何だったのか。
実はこれ、昨日のお題だったのですが、一昨日が飲み会だったので、全然頭が回っていなかったのです。
で、昨日も考えたのですがまったく話が思いつかず。やっぱり、だらだら考えた物はあんまりいい話になりませんね。パッと思いついたものがおもしろい話が作れそうなのです。
ところで「明るい話」とは一体(