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異世界から来た不良召喚術士  作者: 平位太郎
第2章 再出発、冒険者にジョブチェンジ!
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第二十話 女戦士ジュディス

「終わりました?」


 カレンが聞いてくる。

 弘が「ああ」と返事をしたところ、カレンは不思議そうに弘を見た。


「お金以外は置いてきたんですか?」


 弘が身軽ななりで居るのが気になったらしい。

 考えてみれば物品を奪ったなら、その分だけ手荷物が増えてるはずなのだ。なのに、弘は相も変わらず身一つのままである。


「あ~……貰ったものはアイテム欄に収納したんだ」


 アイテム欄と言っても見えないカレン達にはわからない。だが、魔法か何かで大荷物を収納していることは理解できたのか、カレンは瞳をキラキラさせて弘を見た。


「やっぱり凄いですよ、それ! そんな魔法見たことがないです!」


「そ、そうか?」


 確かに凄いし、便利だと弘も思う。

 しかし、以前にも思ったことだが、RPGで言うアイテム所有……収納行動に過ぎないのだから、便利は便利でも微妙な気分になるのだ。


「サワタリさんって、どういう方……なんでしょうね?」


「どうって?」


 シルビアに急かされたカレンが歩きつつ言うと、弘もついて歩き出す。


「例えば、子供の頃に本で読んだ……おとぎ話の登場人物みたいです!」


「それって、いい役どころか?」


 気になった弘が聞くと、何でもできる勇者が、ありとあらゆる奇想天外な手段で事件を解決していくのだとカレンは言う。


「買いかぶってくれて光栄だ。けど俺は、そんなに何でもできるわけじゃないぜ?」


 それは弘自身が一番よく解っていることだった。

 魔法もモンスターも存在するこの世界で、手持ち武器を召喚できる程度の能力が、どれほどの役に立つことか……。


(いっそ、無茶苦茶な超人になるとか、超強力な魔法使いになるとかだったら良かったのになぁ)


 まだレベル一桁なのだから、この先どうなるか不明だが、現時点の弘は自分の能力について高望みをしていない。とはいえ何の能力も持たない一般人にしてみれば、カレンが言うとおり『凄い能力』なのだろう。それを、もっとこうであれば的に思うのは……。


(俺の欲の皮が、突っ張ってるってことなのかねぇ……)




 クロニウスには予定どおり4日後に到着した。到着時刻は夕刻ぐらい。

 野盗の襲撃後、弘達は狼風のモンスターとも遭遇し、これを返り討ちにしていた。

 サイズは大型犬というところであったが、数が十数頭もいたので倒すのに難儀した。頭数が曖昧なのは、戦闘中は数える暇がなかったのと、何頭かは逃げ出したことによる。


(思えば野盗の襲撃にあったりモンスターに遭遇したり、物騒な道中だったなぁ)


 そこを1人で移動しようとした弘が言えたことではないが、カレン達も女2人で都市間移動するのは、危険なのではないだろうか?

 試しにシルビアに聞いてみたところ、「いつもは他の冒険者について移動してました」とのこと。また、この周辺に出てくるモンスター等は危険ではあるものの、ある程度の強者なら対処は可能だという。


(狼十数頭や、武装した野盗が対処可能……ねえ?)


 この世界の『危険』や『安全の』基準が、いまいちわからなくなってくる弘であった。

 ちなみに狼との戦闘後、弘はレベルアップしていない。そろそろ必要経験値の量が増加してきているのだろう。


(クロニウスでの冒険者稼業で、金と一緒にどれほど経験値が稼げるかだな)


 ただ、この戦闘により理解できたことがある。

 野盗との戦闘でも感じたことだが、元の世界に居た頃と比べると、弘の身体能力が飛躍的に上昇しているのだ。これは、ここまでの戦闘経験によるものだけではないだろう。

 やはりレベルアップによるステータスの上昇が、弘の躰に影響を及ぼしているのだ。


(そこそこ上手く弓を扱えたのも『素早さ』の数値が上がってるから……かな?)


 弘のゲーム知識によると、『素早さ』と『器用度』の数値が兼用になってるゲームもあるにはあった。おそらく、今の弘の躰には同じようなルールが適用されている。


(レベルアップが続くと、もっと弓矢の扱いが上手になるかもしれねーな)


 ひょっとしたら隠しパラメータとかで、弓矢等の武具単体に対する『熟練度』なんかが設定されているかもしれない。ステータス画面では表示されていないので確たることは言えないが、野盗から押収した短弓は暫く使い続けてみようと思う弘であった。

 さて、クロニウスであるが、テュレと比べると少しばかり立派そうな印象を受ける。どの辺が立派かと言うと、石畳の状態がマシだったり、各所公共物……外壁等にヒビが少ない等の点だ。

 あとは道行く人間の衣服に凝ったデザインが多いほか、露天商の数も多かった。


(王都に近づくにつれて、都会になっていってる感じだな。探しゃ地方農村とかもあるんだろうな)


 クロニウス周辺は、なだらかな丘陵地帯であり、森林も多いし遠くには山々も見える。ここがたまたま都会っぽい都市なだけで、周辺には農業主体の村などがあるはずだ。


「サワタリさん? あそこの建物が冒険者ギルドのクロニウス支部です」


「んお? ああ、あれね」


 カレンが指差す方は、大通りの向かって右手側にあった。見た感じ、2階建ての酒場のようだが……。 


「1階は冒険者のたまり場兼酒場なんです」


 ああ、なるほどと弘は納得する。

 そう言えば、ゲームでもそういう仕様の冒険依頼斡旋所は存在した。


(中に入ると、木製のテーブルが何台かあって、戦士やら僧侶やら盗賊なんかが胡散臭そうな目を向けてくるんだぜ? 壁には掲示板があって、依頼内容を書き込んだメモがピン止めしてあるとか、そんな感じだな)


 入る前に予想をしてみる。

 カレン達の後について入ってみると、内部は概ね予想どおりであった。

 壁の掲示板には、依頼書きしたメモが大量にピン止めしてあったし、木製テーブルは円形のもので、数台あるうちの幾つかに冒険者が何組かずつ居て、こちらを胡散臭そうに見てた。

 予想と違ったのは、その冒険者らのほとんどが女性で構成されていた点だ。

 と言うより、ひいふうみいと数えたところ、4組の冒険者グループが居るのに男性は1人だけだったのである。その男性は、身なりからして戦士のようだったが、同グループの女性メンバー(僧侶、盗賊風、魔法使いっぽい)らが、女性同士で固まってるのに、彼だけが離れて酒を飲んでいるのだ。


(まわりのテーブルも女だらけだし、居心地悪いんだろうなぁ……)


 かく思う弘も、間違って女性専用車両に踏み込んだような気分になっている。


「ここって女性専用の冒険者ギルド?」


「ち、違いますよぅ。たまたま女の人が多いだけなんです!」


 カレンが否定するものの、「ホントかよ?」と思わずにはいられない弘であった。


「あっ! カレンちゃんじゃない! その様子だと、依頼達成したのね!」


 とあるテーブルから女性戦士が立ち上がり、カレンに話しかけてくる。

 赤く短い髪が印象的で、美人と言っていい顔立ちだ。表情は勝ち気なイメージがあり、赤い頭髪がそのイメージを助長している。


(体育会系って感じだな。族のレディースに入ったら、頭ぐらい張れたかもな~)


 この世界で戦士をしているのだから人を斬ったことはあるだろうし、殺人経験があるときては、元の世界のヤンキー姉ちゃんなど相手になるはずもない。

 装備は、カレンとは違って軽装の各部鎧と、剣に盾だ。ちなみに剣は腰に差したままで、盾は椅子に立てかけていた。

 一番気になるのは、鎧下の衣服がカレンと同じデザインであること。


「えへへ、そうなの。ジュディスちゃんも依頼はこなしてるんだ?」


 カレンが友人相手のように話している。実際、友人同士の間柄なのだろう。

 その会話模様は女の子女の子していて、ここまでのカレンからは見られなかったものであった。


(それだけに居心地が悪い……)


 俺、何でここに居るのかな~などと考えてしまうが、そのジュディスちゃんがメキョッと弘に視線を向けてきたことで、弘は会話に巻き込まれることとなった。


「で? そっちの一般人は何なの?」


「一般人!?」


 目を剥く弘。

 確かに(その能力や異世界人であることは別にして)一般人なのだが、もっと他に言い方があるのではないか?

 しかし、今の弘は着の身着のまま、何の武具も身につけていない状態である。冒険者と言うには無理があるし、着ている服が汚れているので、下手をすれば一般人以下に見られてもしかたがない。

 が、ここで舐められては男が廃るというものだ。


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