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第百九十三話 深まる不安

「都市を制圧って……」


 また、凄いことを言い出した……と弘は思う。

 カレンはシルビアと並んで、この世界に来てから最初期に遭遇した女性の1人だ。今では6人居る恋人の内の1人でもあり、他の5人からは恋人筆頭のように認識されている。

 騎士家のジュディスよりも高位の貴族子女で、いわゆるお嬢様育ち。事情あって執事に任せきりの実家に帰れば、田舎村規模だが領地だってある。

 件の試練のおかげで濃いめの冒険者生活を送っており、世間慣れしてきてはいるものの……何処かズレた発言をすることがあった。


(そこが付き合ってて面白いんだが。……まあ、可愛いってのも当然あるんだけどな)


 金髪碧眼、明るく可憐な美少女。先日、18歳になったとのことで、出会った頃よりも成長が著しい。まず、身長が伸びているようだし、身体各部も大きすぎず小さすぎず、太すぎず細すぎず。このまま行くと、バランスの取れた美体になること疑いようもなかった。

 子犬のように慕ってくれることも、弘としては気に入っている点で……。


(これが将来、グレースみたいな雰囲気になったりしてな……おっと)


 弘は軽く頭を振ると、カレンを見直した。見れば他の者達も、弘の言葉の続きを待っている。


「ごほん。買い被ってくれてるみて~だが、そんな何でもできるわけじゃない。てゆうか、俺1人だけの力で都市制圧とか……できるかもしれんけど。すげぇ効率悪いぞ?」


「そうなの? ヒロシなら、簡単にできると思うんだけど」


 キョトンとしているカレンの隣りで、赤毛の女戦士……ジュディスが問いかけてくる。他の女性陣も興味深げに聞いており、その後方脇で立つ西園寺は……事情を察しているのか苦笑しているようだった。

 弘は、「ああ、この人も召喚術士だもんな」と小さく呟いてから溜息をつく。そして、余所の冒険者パーティーに聞こえないよう、皆を手招きしながら話しだした。


「いいか? 確かに俺の召喚武具は強力だ。軍隊の2つや2つ簡単に蹴散らせるかもしんねぇ。召喚武具によっちゃ、ある程度なら言うことだって聞いてくれるし。制圧ぐらいまでならできるかもよ? ただな、人型の奴とか……口がきける奴がいねーんだわ」


 つまり、抵抗勢力を排除したとして、統治する事ができないのである。

 都市の各所に配置して、『悪事を働く者を死なない程度に攻撃しろ』ぐらいはできるかも知れないが、言ってみればそこが限界。


「んん、治安維持とかぐらいなら召喚武具に言いつけて……。……やっぱ無理だな。大味すぎて住民に被害出そう。そもそも、住んでる連中とか逃げ散っちゃうよな。つーか、カレン。何でそんなこと俺に聞くのよ?」


 弘はカレンに向き直って言う。これにはジュディスや他の恋人達もカレンに視線を向けた。西園寺もカレンを興味深そうに見ている。

 当のカレンは、少し浮かれ気味だったのがハッと我に返ったような素振りを見せ、次いで自分の頬を両手で撫で回した。


「え? あれ? そ、そうですよね。私、何でこんなこと聞いたのかしら?」


「は?」


 随分と考え無しの発言だった……ように聞こえ、弘は呆気に取られる。

 その場の勢いや、テンションが上がってのことだったのだろうか。それはそれでカレンらしくないと弘は思った。冒険者パーティーを組んで、それなりに幾つかの冒険をこなし、寝食を共にした仲。しかも今では恋人同士の間柄である。

 興味本位で先程のようなことを聞く少女ではない。それぐらいは理解できていた。


(ひょっとして……)


 チラリとシルビアを見ると、光神尼僧は思い詰めた表情で1つ頷いて見せる。


(やっぱ、今着てる倍力鎧に何か問題があるんじゃねーか?)


 マクドガル家に伝わるという魔法の倍力鎧については、節々ながらカレンから聞かされていた。

 見た目は意匠を凝らした軽甲冑。だが、装着して一度能力を解放すると、着用者の筋力を数倍化する。よって呼び名は倍力鎧としていた。

 このタルシア王国は、近隣諸国の中にあっては魔法武具の作成が盛んで、騎士以上の者だと、その装備を魔法武具で揃えていることが多い。

 それは蓄財して購入した場合や、懇意にしている職人に作成させた物がほとんどだ。更に言えば、王家直轄工房で生み出された品は特に高性能であり、功績を挙げた者に王家から下賜されることがある。将軍職者などは頭の天辺から爪先まで、魔法武具で固めていたりするのだ。

 では、マクドガル家の倍力鎧がどういう物かと言うと、実は魔物討伐による拾得品だった。カレンの祖父か、その先代か、ともかく過去の当主が入手したらしい。ただ、彼女の父が語った内容が時々で矛盾しており、実際の入手経緯については不明だ。

 もっとも、当時のマクドガル家には貧乏貴族ゆえか魔法武具が無く、この鎧の入手は大層歓迎されたのは間違いないらしい。

 とはいえ、それも着用して使ってみるまでの話で、入手当時の当主は使用後の筋肉痛により三日三晩うなされたそうだ。

 そう、この倍力鎧……筋力は増強させるくせに、他は元のままなのである。耐久力を超えて躰を動かすため、一戦闘を終える頃には激しい筋肉痛が。それ以上に動いた場合だと、腕が千切れかけるなどとデメリットが大きい。

 結果として危険物扱いされ、もったいないからと捨てることもできず、マクドガル家の宝物庫へ放り込まれることとなる。

 その残念な倍力鎧を、無茶苦茶な試練を背負わされたカレンが引っ張り出してきた。

 当初は激しい筋肉痛に悩まされながらも、シルビアの治療法術の助けを得て、新人冒険者ながら超人的な活躍をしていたらしい。弘と出会った頃だと、拠点にしていた都市では有名だったとのこと。

 しかし、弘と別れて、上位貴族らからふっかけられた家督相続に関わる試練……その最後の1つである『オーガー退治』に取りかかっていた頃から、カレンに異変が生じる。

倍力鎧の使用後に生じる筋肉痛。これが徐々に軽減され、最終的には発生しなくなった。これだけなら良い話であるが、倍力鎧の使用中、カレンの意識が妙に高揚するようになったのだ。

 そして徐々に、その興奮や愉悦によるものか妙な言動が見られるようになる。

 勿論、弘を始め、シルビア達もカレンの異常には気づいたが、すぐに原因らしき物に思い当たってもいた。

 すなわち、倍力鎧である。

 それまで着用者を悩ませていた筋肉痛等のデメリットが消え失せ、それと入れ替わるように精神的に不安定になる症状が生じたのだ。これを関連づけない方がおかしい。

弘達はカレンに対し、倍力鎧を使用しないよう説得したが、カレンは頑として承諾しなかった。

 まだ試練が未達成の頃であったし、残してきた領地が気にかかる。その上、冒険者生活が気に入っていたカレンにとって、倍力鎧は手放すことなど有り得ない重要アイテムだったのである。


(ああ、くそ。何て言いやぁいいんだ? その鎧、使うのやめちまえ? でも、そんなキツい言い方で大丈夫か? 余所の家の家宝とかだろ? ……いや、カレンの体調の方が重大事に決まってらぁ!)


 暫し黙考した後、弘は不安げに見上げてくるカレンに対して言う。


「なあ? 暫くの間だけでいいからさ。その倍力鎧、俺に預けてみねーか?」


「え?」


 聞き返すカレンの表情が強張った。

 言った弘自身、「ぐは、やっぱりヤベーか?」と思ったものの、口に出した以上は最後まで言いきるしかない。


「前から言ってることだけどよ? やっぱ、その鎧に何か問題あるんじゃないかと思うんだわ。一度、メルに調べて貰おうぜ?」


「う~……。で、でも……今は冒険依頼の途中ですし……」


「そこは王都に戻ってから鎧を調べるってことでいいから。長くは借りたりしないと思うけど……なんなら、予備の鎧とか買っちゃうし。そうだ、俺の召喚武具で女物の鎧とかあったから、それを出してもいい」


 なおも説得を試みる。

 弘は喧嘩における「おらぁ」だの「ごるぁ」などと言った、煽り合いや罵り合いは得意なのだが、こういった傷つけたくない相手を言葉で説得するのは不得意だ。しかし、事はカレンの健康ないし精神的な安定に関わることだから、ここは一歩も退くことはできない。

 ところが、今の説得ゼリフを言い終わったところで、やおらカレンの表情が明るくなった。


「え? 鎧を買って貰えたりするんですか? それってプレゼントってことですよね!」


「お、おお。そうなる……のか? 嵩張るようなら予備の武器とかでもいいんだけど」


 恋人に対するプレゼントが武具。それってどうなんだろう。

 だが、カレンが食いついたことで、弘は今の話題に飛びついた。


「ああ、今のところ金には大分余裕があるし。俺もまあ、恋人に贈り物の1つや2つしたいからな!」


「ふわぁ! 恋人に贈り物! すっごく嬉しいです!」


 胸前で手の平を組み、カレンが舞い上がることおびただしい。

 可愛いし、喜んでくれるのは嬉しいが、ほんのチョッピリの罪悪感が弘の胸を痛める。


(カレンのため、カレンのためなんだ。プレゼントしたいってのも嘘じゃねぇし!)


 ふと見ると、周囲に居るグレースやジュディス達が、生暖かい目で視線を向けてきていることに弘は気づいた。

 この時のグレース達の思いを列挙すると、次のようになる。


「ふむ。主からの恋人向け贈答品か。悪くないな」


「殿方からの贈り物……。はふぅ。何だかドキドキします」


「堅気の人から何か貰うって経験。そう言えば無かったかしらねぇ」


「ヒロシ~。値段について特別に何も言わないから~。一緒に買いに行くの~」


「あ、あたし! あたしも欲しい!」


「いや~、モテモテですねぇ。沢渡さん」 


「……みんな声に出してんじゃねぇか」


 最後に西園寺が何やら言っていたが、そこは敢えて無視し、ついでにグレース達も無視して弘はカレンに向き直った。


「てゆうか、俺がカレンに何かやるって別に初めてじゃなくね?」


「サワタリさん。こういうのは何度目でも嬉しいものなんですよ?」


 カレンの返答を聞き、弘はフムと想像する。確かに『彼女』から貰う贈り物は嬉しいものだ。それが頻繁なことであったり、やたらと高価な物を贈られるのはどうかと思うが、嬉しいことに違いはない。


「そうか。そうだな。……てことはだ、王都に戻ったら鎧は一端預からせて貰うってことでいいよな?」


「うっ……」


 呻き声と共にカレンの表情が強張った。

 今まで、周囲の冒険者の視線が痛くなるほど良い雰囲気だったのに、やはり倍力鎧を貸し出すのが嫌な気持ちが強いのだろうか。

 だが、カレンは少し間を置いてから弘に対して頷いて見せる。


「わかりました。王都へ戻ったら、取りあえずは鎧を着る必要も薄いですし。何より、サワタリさんからプレゼントを頂けるとあっては、これはもう断るわけにはいかないです!」


「そう言ってくれるか……。ありがとよ~。鎧についちゃ、メルにミッチリ調べて貰うから。何も無けりゃ、それに越したことはないしな」


 カレンの精神面の不安定が鎧に起因するものでないなら、他の要因を探らなければならないが、まずは倍力鎧だ。問題の原因が掴めるまでは、一つ一つ試していくしかないだろう。


(あと、僧職者が2人も居るんだから、シルビア達にも動いて貰うか……)


 出向いた神殿ないし教会から貴族院あたりに情報が流れると、あまり良いことにつながらなさそうだが……。


(カレンも協力的だし、できることはやっておこう。神殿周りはシルビア達に相談しながらだけどな)


 こうしてカレンの精神的不安定に掛かる議論は終わる。

 ただ、グレース達からは「自分達にも、そのうち何か」的に言われたので、弘は対応に迫られることとなった。

 もっとも、カレンの事情が事情なので、それらのほとんどは場を和ませるための冗談交じりであったのだけれど。


(でも、これって後で何か買って贈らないとマズいアレだよな……)


 弘だけは、冗談部分を差し引いて大真面目に考え込んでいたのである。



◇◇◇◇



 弘と彼のパーティー、そしてロジャー・バトレットの商隊は、その森で一泊することとなった。

 当初は休憩目的で森へ入ったのだが、商隊の護衛冒険者らの消耗が激しかったためである。

 弘のパーティーはと言うと、弘を筆頭に直接戦闘を行っておらず、疲労は少なかった。

 街道外で滞在すること自体、精神的な疲労を生じさせるが、それとて商隊メンバーほどではない。

 だから、見張りは弘のパーティーで請け負うこととなった。とはいえ、それは夜の大分部だけのこと。明け方前の頃には商隊護衛の冒険者と交代し、少しの睡眠を取っている。


「ふが……」


 野営地の片隅で、パーティーメンバーが肩を寄せ合いマント等に包まる弘達。

 弘の両脇は相も変わらずカレンとグレースが陣取っているが、この配置は近頃、恋人達の間で議論の的となっていた。

 つまり……こういう時にヒロシと寄り添って寝るのは交代制にしようではないか、というものだ。

 弘が女性パーティーメンバーを、全員恋人として受け入れてから暫く立つ。

 当初はカレンやグレースに遠慮していた他の者らも、自分だってヒロシの隣りで寝てみたいと主張しだしたのである。

 この日の就寝時とて女性陣で話し合っていたようだが、どう折り合いが付いたものか、カレンとグレースがいつも通りに、弘の両脇配置となった。


「ふぐ……むに……」


 ふと目を覚ました弘は、左隣のカレンに目を向ける。

 野営地の中央では焚き火が用意されており、まったくの暗闇では無いが森の中は暗い。

 ここで高レベルによって強化された視力が物を言う。

 陽光の下のように……とまではいかないが、カレンの寝顔はかなりハッキリと視認できていた。

 肩で切りそろえたサラサラの金髪。

 そこからは花のような香りが漂う。もっとも、弘が召喚した宿泊設備に重きを置いたトーチカでシャワーを浴びたり、備え付けのシャンプーリンスの使用による効果が大なのも事実だ。

 それまでは質の悪い石鹸と、お湯ないし水で洗髪していたらしいのだから。


(それでも、出会った頃のカレンやシルビアだって良い匂いしてたけどなぁ)


 女性の体臭というのは、適度な量であれば多少洗髪などが不行き届きでも良い匂いに感じるのだろうか。と、カレン達が聞いたら、その場で身体を清めだしそうなことを弘は考えている。

 同時に次のようなことも考えていた。

 この先、恋人達を綺麗に保つためには、自分が入浴施設等を毎晩召喚しなくてはならないのだろうか……と。


(風呂やシャワーは実際に造ってみる手もあるけど、冒険依頼の最中は召喚具の方が手軽だもんな。それに……)


 シャワーや浴室系の機能が備わった召喚具だと、ボディソープやシャンプーにリンスが付属する。どういう理屈や原理なのかは不明だが、実に便利なのだ。


(アラジンと魔法のランプじゃねぇんだ。便利使いされるランプの魔神ポジとか、なんか気分悪いし。シャンプーとかは真面目に実物を用意した方がいいかもな。てか、よく考えたら入浴剤関連も単体で召喚できるんだっけか)


 この世界に来て暫くの頃は、例えば自転車などを召喚しても、弘の身体から離れると消えてしまうものだった。が、今では弘からのMP供給がある限りは存在し続けるし、戦車や戦闘機に到っては、遠く離れていても弾薬の補充が可能となっている。

 要するに、召喚具を他人の手に渡して使用させることが可能なのだ。

 当面は、屋外でも最低限入浴剤だけ召喚するのもありかも知れない。


(でも入浴剤は作るぞ。俺が面倒くさいのが軽減できるし、それを売る手もあるしな)


 問題は製法について、とんと心当たりが無いことだ。この辺は製造系スキルや広く浅い知識で石鹸等を作ってしまうラノベ主人公らが羨ましく思える。同時に数値ほど役立たないステータス値、知力と賢明度には毎度の事ながらイラッとくる弘であった。


(石鹸なんかは西園寺さんや、毅の奴に相談してみてもいいか。……はあ)


 考え込んでいた弘は、再びカレンの寝顔に目を戻し「か~いいよな~。鼻筋とか唇とか、アニメの美少女かっての。あれだ、アニメコスプレは白人さんが似合いすぎるって話、どっかで聞いたっけな」等と考え、1人ニヤニヤしている。


(……そういや最近、レベルが上がんねぇな。あれだけドラゴンをやっつけたのに……)


 レベル498。それは同じ召喚術士の西園寺公太郎や犬飼毅の二桁台を大きく引き離す、遙かな高みだ。しかし、RPGでよくある『高レベル帯になると、レベル1つあげるのに必要な経験値量が増える』理論が生じているのか、ここ暫くは中々レベルが上がらない。


(レベル500まで到達したら、切りのいいレベルだから何かしらありそうな気はするんだが……)


 軽く寝返りを打つと、今度はグレースの顔が正面に来た。

 ウェーブの掛かった緑の髪を、ポーニーテール状に束ねている。そのハリウッド女優も顔負けな美貌は、弘の鼻下を伸ばすには十分すぎる威力を備えていた。

 ちなみにエルフのグレースは、今のところ弘と身体を重ねた唯一の恋人でもある。


(う~ん。ノーマを抱けとか言われたんだったか。恋人に気を遣わせて、マジ情けねぇ話だ。けどよ、俺だってカレン達の全員とアレしたりコレしたりはしたいんだ。やらせてくれって言って、すぐにオーケーしてくれそうなメンバーも居るってのに)


 カレン達は気にしないと言っているが、取っ替え引っ替え、寝床に連れ込むのもどうかと弘は思うのだ。いや、それは男が夢見るハーレム……その理想の1つではあるだろうが……。

 実際にハーレムを構築すると、どうにも手が伸びない。

 口では皆、大丈夫そうなことを言ってるが……恋人同士で揉めだしたらどうしよう。

 そんなことを考えてしまうのである。

 そして、ノーマを抱くということは複数居る恋人の2人目を抱くということであり、それをしてしまったら、歯止めが効かなくなる気がするのだ。


(気にしないで全員ヤっちゃえよ……って、心の悪魔の声が聞こえる気がする~。でも、急いては仕損じるとか何とか……)


 弘自身、以前にも考えたことだが、今自分の周りに居る女性らは、元の世界で見知っていたレディースの女子なんかとは大きく違う。弘から見れば、元盗賊のノーマですら上品なお嬢さんに見えてしまうのだ。


(いや、レディースの子らが悪いってんじゃなくて。なんつーか、ヒロイン力ってーの? 元の世界の女と比べると、どうも……軽々しく手を着けちゃ駄目だな~……的な)


 この内心の独白を西園寺が聞いたとしたら、「色々言ってますが、惚れた欲目ってことですかねぇ」と評していただろう。また、次々に手を出さないことについては、「ヘタレなんですよ。構わずヤっちゃえばいいのに」と言ったに違いない。そして最後に「まあ、所詮は他人事ですから。沢渡さんの好きにすればいいんじゃないですか?」と締めるはずだ。

 それら西園寺が言いそうな言葉が、脳内で幻聴となって聞こえた弘は下唇を持ち上げて唇をM字にする。


(俺にはぁ~俺のぉ~、ペースってもんがあるんですぅ~)


 ヘタレの言い訳そのものだが、パーティーメンバーの恋人らと仲を深めるについては、自分なりに積極的な行動を取るつもりだ。そう、自分のペースに従っての積極的行動である。


(今の一連の仕事を片付けるだろ? ノーマとイイ感じになるだろうし、つかノーマ側からはゴーサインが出てるわけで、ムフフなアレに向かって準備完了だ。ノーマの次ってなると……ウルスラかなぁ)


 やはり、節操が無いように思える。だが、対象人物はすべて交際相手であり、それら女性同士で容認されていることだから問題ないのだ。と、弘は改めて理論武装した。


(で……カレンは王都デートを約束してるけど、その先はさすがに領地に戻ってからがいいかもな。ジュディスは……親父さんが怖いから、婚前交渉は……いや、構わねーのか?)


 シルビアは……と考えたところで、弘はカレンの向こう側で寝ている光神尼僧を見てみる。

 見た目、ゆるふわ系。中身はガッチガチの起立正しい尼さん。

 シルビア・フラウスは、カレンと並んで付き合いが長い。

本人が言うには、カレンとは幼馴染みの間柄であるらしく、カレンは貴族家だがシルビアは孤児院から神学生になったとのこと。


(孤児院は光神宗の神殿が運営してるとか何とか。身分差とかあったろうに、上手く付き合えたもんだぜ。つ~か、貴族側がカレンだと、身分差のギスギスした感じにはならんか)


 シルビア自身も真っ直ぐな性格であるし……と彼女の事を評してから、弘は考え込んだ。

 シルビアも、そしてカレンやグレースや、他の女性らもそうだが、自分を好いてくれている。実に有り難いことだ。元の世界では就職もままならなかったチンピラに、こんな美女に美少女らが好意を寄せてくれるとは……。

 彼女らの期待を裏切りたくはないし、ましてや嫌われるなど真っ平御免。


(気ぃ引き締めて『良い彼氏』をやるか。後は気合い入れて稼がねぇとな)


 彼女ら全員を恋人にすると決めた日の、あの決意を思い出す。

 みんなを幸せにするのだ。


「ん?」


 何か聞こえたような気がする。

 それは森の奥……街道とは反対側からの音だ。 


「音だけじゃないな。気配もあって……。……複数……30くらい?」


 こちらの護衛の数……冒険者パーティー6~8個相当……よりも少ない。距離的には大分余裕があるように思える。何故なら見張り冒険者には偵察士も混じっているのに、まるで感知されていないのである。


(偵察士の耳が聞き取る前に聞こえるとか、俺スゲェ。……俺の耳が凄いのもあるけど、それだけ近づく奴らが離れてるってことだよな。おっと、デカいのも幾つか混じってるか……。向こうさんは……こっちを見つけてなさそう? 徒党を組んで夜の森を移動中……ねぇ)


 夜目が利くモンスターなら、夜の森移動も問題ではないだろう。そもそも、今は夜明け近くだ。森の外縁部に潜んで夜明けを待ち、街道の通行者を襲撃する腹づもりかもしれない。ドラゴンが出没することで敬遠される街道だって、極まれに通行しようとする者が居るのだ。例えば今の弘達のように……。


(それとも就寝中の森の獣とかを狩りに来たか? そこまでは解らんけど、そろそろ皆に知らせた方がいいな)


 今から声をかけても十分に対応できる。

 迎え撃つも街道側に逃げるも、好きなように選べるだろう。


(俺のお勧めは、森を出て街道側に行くことだけどな)


 森から飛び出てくるモンスターを狙い撃ち。それほど危険もなく撃退が可能なはずだ。


「カレン、グレース。静かに起きてくれ」


 囁くように両脇の2人に呼びかけると、金髪の貴族子女と緑髪のエルフはすぐに目を覚ました。弘が要望したまま、静かに目を開き視線を向けてくる。


「森の南の方から足音が聞こえる。数は30ぐらい。大柄な奴も居るみてーだ」


 言われてカレンの表情が緊張で硬くなり、グレースは「聞き取れなかったとは……」と長い耳を倒して落ち込んでいるようだ。


「ま、そういう時もあるさ。それより……」


 弘は、軽装ゆえに装備がガチャつかないグレースに頼み、手近な見張りを呼びに行かせた。ちなみに偵察士職の見張りが良いと注文を付けている。

 自分とカレンについては、自パーティーメンバーを起こしつつ、護衛冒険者のリーダーであるウィリスの元へと移動するものとする。

 と、ここで目の前に人影が立った。

 赤毛の女戦士ジュディス。

 カレンと同じ貴族学院の学生であり、女学生服の上から質の良い板金鎧を身につけている。腰には細身の長剣を下げていて、盾も装備するカレンとは違い軽戦士タイプだ。


「なんだ、起きてた……いやあ、気づいてたのか?」


「ふふ~ん。こう見えても夜の戦乙女だものね。夜は、あたし達の時間よ」


 ジュディスは前述した装備の他に『夜の戦乙女の指輪』も所有している。

 これは弘が、かつての冒険行で入手した魔法アイテムで、指輪自体に夜の戦乙女ブリジットを宿していた。主として夜間に力を発揮し、ブリジット自身が戦うこともできるが、装備者が女性の場合は憑依変身を行う事が可能。より強力な……実体を持った戦乙女として戦える。その場合、主人格が装備者主体となるが、訓練次第では戦乙女の技や奇跡、そして魔法を装備者の意思で行使できた。

 早い話、夜間に発生した揉め事では活躍の場が多い。


「モンスターが近づいてるのもわかってるわ。実はヒロシよりも先に気づいてたんだけど……」


 声を掛けようとしたところで弘が目を覚まし、森の奥の様子を窺っているのが見えたとジュディスは言う。


「そりゃ凄い。大したもんだ」


「こっちはブリジットのサポート付きで知った口だから。耳と……気配かしら? それで見張りより先に知ったヒロシの方が凄いわよ」


 苦笑気味に言うジュディスに対し肩をすくめて見せた弘は、離れた場所で手招きしているウィリスに気づくと、皆を連れて駆け寄った。

 護衛隊のリーダー、ウィリスの近くには戻って来た見張りの冒険者らも集まっている。当然だが、先に向かわせたグレースも居た。


「サワタリ。報告は聞いた。見張りの中の偵察士らも、言われて気づいたそうだ。そこで……」


 ウィリスの立てた方針は、森から街道に出て様子を見るというもの。

 夜の街道は危険だが、もうすぐ夜が明ける。


「街道外のモンスターに出会すのは覚悟の上だ。それより、こんな周囲に茂みのある場所で多数のモンスターと戦うわけにはいかん」


 見晴らしの良さと、戦いやすい場所の確保。

 それにタイミングが良ければ、そのまま街道を移動して戦わずに済むかもしれない。

 これには弘も、そして商隊リーダーのロジャー・バトレットも頷いた。

 商隊リーダーと護衛隊リーダー。二人の意見が合致したことで、商隊は森を出ることとなる。

 この頃になると、他パーティーの偵察士らもモンスター集団の接近を感知しており、迫り来るモンスターらに注意しつつ、皆で野営地を引き払い出した。


「ウィリス! 気づかれたみたいだ。奴らの接近が早まってる!」


 さあ、出発だ……というところで、偵察士の1人がウィリスに報告するのが聞こえた。

 荷物を纏め終えていた弘はチラリと、ウィリスの方に目をやったが……。


(できるだけ静かに荷造りしてたが。まあ、気づかれるか……)


「どうする、ヒロシ? 憑依変身する?」


 囁きかけてくるジュディスによると、夜の戦乙女の魔法で足止めすることは可能だとのこと。しかし、弘は首を横に振った。

「俺の召喚武具は闘技場なんかで見せてるから、まだいいが……。ジュディスの憑依変身は出来れば隠しておきたいな」


「それもそっか。このままでも、少しは力を使えるし。役立ってみせるわよ?」


 そう言ってジュディスはウインクする。

 ジュディスの精神力や体力を消費してのことだが、ある程度の魔法や身体強化は憑依変身せずとも行使できた。闇の刃を剣の刃先に出現させて、切れ味を増すなど、そういった事もできるらしい。


「頼りにさせて貰おう。じゃ、行くぞ」


「ええ!」


 ジュディスが元気な、それでいて小さく絞った声で言いながら頷いた。それに対し弘も頷き返すが、ふとカレンが伏し目がちなことに気づく。


「カレン、どうした? 調子でも悪いか?」


「え? ……あ、いえ……。何でも……ないです」


 気怠げに顔を上げたカレンは、見ていて何でもないという風ではない。弘は重ねて問いかけようとしたが、ウィリスが移動を始めたのを見て歩き出した。


「グレース」


 カレンが少し後ろを歩いているため、唯一隣を歩いていたグレースに話しかけると、グレースは小声で話しやすいように身を寄せてくる。


「どうした主よ? ……カレンのことが気に掛かるか?」


「気になるさ。何で、あんなに元気が無いんだ?」


 肩越しに振り返ると、カレンにシルビアが寄り添って歩いているのが見えた。ウルスラも反対側に居て、カレンの様子に気を配っているようだ。更に後方ではノーマと西園寺が居てパーティーの殿を務めているが、この2人もカレンの様子が気になっている模様。


「さて……彼女の体調の周期から見て、アレではないようだが……」


 女の『月のもの』の話をしているのだが、弘とて解ってはいるので、深く追求しない。少し後方を歩くジュディスも、カレンとは付き合いが長いため、グレースの言に頷いていた。


「ヒロシ。やっぱり、あの倍力鎧のせいだと思う?」


「思う。と言うか、他に心当たりねーしな。そこら辺を確かめるのは、カレンにも言ったが、メルに鎧を調べて貰うぐらいしかわからん」


 それでハズレなら、もっと他のことを調べるしかないだろう。

 誰か高名な魔法使いを頼るか、シルビアかウルスラの伝手で光神神殿ないし商神教会を頼ってみる手もある。


「それも、とにかく王都に戻ってからの話だ。……ハア」


 このゲームのような異世界に迷い込んで、今日まで生きてきた。まだ1年にも満たないが色々なことがあり、ひどい目にも遭ったし、良いことも多かったように思う。良いことと言えば、カレンら多くの恋人と円満交際中であること。悪いことと言えば……。


(異世界転移の直後にゴブリンに追い回されたこと。所属してた山賊団の仲間を皆殺しにされたこと。修行目的で入ったダンジョンで、更に別の異世界へ飛ばされかけたこと)


 いずれも当時は怖かったし、精神的に追い詰められもした。だが、今回のカレンの件は格別だ。

 病気なのか何なのか、はたまた魔法か呪いか。

 カレンの症状について対処法がサッパリ思いつかない。今周囲にいる人達にも妙手は無いようだし。


(まさか、死ぬような病気とかじゃないよな?)


 弘は森の外を目指して歩きながら、唾を飲み込んだ。

 山賊団の仲間が死んだ時は、喪失感や悔しさ、憎悪……そういった負の感情が強かった。カレンを憎まずにいられたのは、山賊団の頭目ゴメスの遺言と、直後に身元と引受人となってくれたカレンの対応に寄るところが大きい。

その後、彼女と行動を共にし、別れ、また合流して、そうやって交流を深めていくうちに好感を持つようになった。

 自分のようなチンピラに、カレンのような美少女が好意を抱いてくれる。ましてや恋人になってくれるなど、元の世界ではありえない話だ。

 そんな彼女が、もし死ぬようなことになったら。


(……つっ)


 弘は胸が締めつけられるような感覚により、手の平を握り込む。

 ふと想像しただけで大きな痛手だ。二度と考えたくもないと頭を振り、弘は一瞬目を閉じた。

 脳裏をよぎるのは、山賊アジトで初めて見た敵としてのカレンの顔。最初に旅をした時の、敵意がない笑顔。修行(レベルアップ目的の経験値稼ぎ)後に合流した際の、嬉しそうな顔。様々だ。

 正直言って、今の落ち込んだ様子よりも、明るく笑っている方がカレンに似合うと弘は思っている。


(カレンを助けるためなら。俺は何だってやるぜ……おっと)


 気がつくと、弘は森の外に出ていた。

 先行した商隊馬車らは、先に街道に向けて移動しており、弘達の周囲には護衛パーティーから抽出された偵察士が2人居る。

 弘のパーティーにはエルフのグレースと偵察士ノーマが居るのだから、いささか過剰ではあった。だが、感知能力の高い者が4人も居ることで、モンスターらの接近は高い精度で把握され続けていた。

 何より、高レベル化によって感覚が向上している弘自身、こちらに向けて移動し続けるモンスター集団の動向はハッキリと感知できている。


「向こうさん、急ぎだしたな。けど、もお遅ぇ」


 馬車は勿論、徒歩冒険者達も街道まで行けるだろう。あとは馬車に分乗するなり、馬に乗るなりして逃げ出すだけだ。

 しかし、商隊馬車について徒歩移動していた冒険者らが街道に到達した時。思いがけないことが発生した。ガサガサバキバキという木々や木の葉を揺らす音が聞こえたかと思うと、遠目に見える森の上部から黒い影が幾つも飛び立ったのだ。


「蝙蝠か!?」


「ジャイアントバットだ!」


 偵察士らが声高に叫ぶと同時に、森の外上部から新たなジャイアントバットが飛びだしてくる。

 少し白んできているが、空はまだ暗い。夜目が利く弘や偵察士、それにエルフのグレースや指輪の加護があるジュディスなどは相手が見えるが、そうでない者達には迫り来る黒い影にしか見えないだろう。


「落ち着け! 魔法使い! 空に向かって明かりの魔法を使え! 応戦するぞ!」


 商隊馬車の方からウィリスの号令が聞こえた。

 飛び立ったジャイアントバットが馬車に向かってきたのを見て、逃げ出すのが難しいと判断したらしい。


「夜に飛べるモンスターを連れてやがるとはな!」


 すぐさま召喚術でAK-47を召喚した弘は、頭上を通過するジャイアントバットに一連射を加える。


 ドタタタタタタ! 


 2体が撃ち落とされたが、この射撃により問題が生じた。

 他パーティーより派遣されていた2名の偵察士が、今の射撃で生じたマズルフラッシュで目を眩ませたのである。


「うわっ!」


「ちょ、まぶしっ!」


 グレースやジュディスなど、慣れがある者達は光った瞬間に視線を逸らすなどしていたが、彼らには咄嗟の対処ができなかった。  

 もっとも、夜間戦闘で魔法使いのファイアーボールが飛ぶこともある。そもそも、直後にウィリスの指示どおり、明かりの魔法が空のそこかしこで発光しているのだ。

 こういった現象に冒険者達が不知でなかったため、パニックに陥るほどではない。ただ、彼らの驚きの声は、弘に続けての攻撃を躊躇わせた。

 その結果、何体かのジャイアントバットが商隊馬車にまで到達したのである。


「あ、くそっ!」


 暗闇の向こうで冒険者らが巨大な蝙蝠にたかられているのが、強化された視力によって視認できた。弘は銃口を商隊馬車の方へ向けようとしたが、ここでもまた躊躇ってしまう。


(ここでブッ放したら、味方の冒険者に当たるんじゃ……) 


 夜の闇関係なく見えているし、高レベルによって強化された『器用さ』を兼ねる『敏捷度』もあって、射撃精度は高い。冒険者だけ避けての狙撃は可能なはずだった。

 しかし、映画や漫画などでは、こういう時に同士討ちの発生を恐れて射撃を控えることが多い。そのイメージが脳裏をよぎり、弘は発砲を一瞬控えたのだ。

 それはほんの1~2秒のことだったが、その間に後続のモンスターが森から飛び出してきた。


「ギャギャギャギャギャ!」


「ゴアアアアアウ!」


「シャアアアアア!」


 まず最初に飛び出してきたのは数体のゴブリン。次いで2体の巨大なゴリラ……対象物解析の結果では、ギガントエイプという大型の猿。そして1匹の巨大な蛇。こちらはリンガルス。元居た世界ではドクハキコブラとして知られるが、こちらは胴回り数十センチ、体長は十数メートルにも及ぶ。


「オオアナコンダなんか目じゃないデカさだ!」


 言いつつ弘は、一番危険度が高そうなリンガルスに射撃を加えた。

 放たれたAK-47の銃弾は、バスバスと命中し、巨大な蛇が苦悶の絶叫を発する。しかし、何発か当たっただけでは致命傷に到らない。弘の持つ自動小銃AK-47は、実銃よりも強化されているのにだ。 


(糞が。思ったより頑丈だな……軽機関銃、いや対物ライフルを出すか? ……って)


「はあっ!?」


 更に強力な銃器を召喚しようとしたところ、弘は信じられないモノを見て声をあげる。

 それは背後で控えていたカレン・マクドガル。彼女が盾を構えて剣を振りかざし、モンスターの湧き出る森に向けて突撃する姿だった

一仕事終えて気が抜ける

休息地でカレンが変なことを言い出す

寝ながら、ムフフな妄想をして気を紛らわせる

モンスター出現

一連の出来事で(主に精神的に)弘が疲れており、

調子が狂ってモンスターの出方や強さを見誤る

更には他パーティーとの連携にも失敗しがち

カレンが突撃開始 ←今ココ


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