表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/23

CALL

 零時きっかり。

 携帯のアドレス帳に登録されている番号に電話する。

 コール二回で相手が出た。

「お誕生日おめでとう」

『……ども、毎年毎年。言葉だけは』

「今年は、リクエストの品、あるんだけど、要る?」

『……え?』

「と・く・べ・つ・に頼んで用意してもらったの。要るの? 要らないの? 要らないんだったら」

『要る要る!』

「んじゃ、今から配達するから。待ってて」

『……は? こんな時間に?』

「だって午後からまたバイトだし」

『じゃなくて。この辺、人気のない道もあるから。一応、女の子なんだから、一人で出歩かない!』

 人気があれば安心とも限らないんだけどなー。そもそも、帰り道だし。

「帰るとこだから。ちょっと遠回りになるけど。早番の社員さんは三時入りだって言うし」

『社員の事はこの際いいから』

「それに、原付だからもう着くよ」

『運転しながら電話すな!』

 そう怒鳴ると通話が切れる。

 点滅している赤信号を見上げて、原付をスタートさせる。まっすぐ行けばあたしのアパート。右折すれば、配達先のあいつのアパート。どっちもここからは同じくらいの距離。


 原付を駐輪場の端の方に停めると、階段の陰から黒い人影がぬっと現れ、腕を掴まれた。

「ちょ…っ…待った!」

 反射的に打ち込もうとした肘を寸前で止める。

 腕を掴んでいたのは、黒いジャケットを羽織った長身の男。『黙って立っていればクール系イケメン』といわれるシャープな顔に焦った表情を浮かべている。

「お前が強いのはわかってるけど…っ。……そんな暗いとこに停めると、原付、いたずらされても知らんぞ?」

「んじゃ、すぐ帰る。これ配達品ね」

 原付の荷台にくくりつけた籠に入った華奢な、でも大きい箱を手渡す。

「心して、よーく味わって食べるように」

「ちょっと。これ、一人で食えって?」

「食べきれそうになかったら、誰か呼べば? 知り合いに片っ端から声かければ、五人や十人は捕まるんじゃない? 暇なのが」

 こう見えても知り合いだけは多いのだ、この男は。

「十人は無理だろ。それに夜になるまで判らないし」

「んじゃね。今日のバイトはハードだから、帰って休むわ。ばいばい」

 二十一センチのデコレーションケーキの入った箱を抱えた男を置き去りにして、原付をスタートさせる。開けた時の顔がちょっと見たかったなあ、と思うけど、明日の――もう、今日か――バイトはホントにハードだから早く寝ないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ