FILL/FEEL
今朝と同じファミレスで夕食を摂った。
コンビニで電池も買った。
……なのに、なんで?
「ねえ! なんで駅に向かってるの?」
先を行く彼の袖を引っ張ると、歩く速度が遅くなった。
「んー? あったかいところに行こうかと」
あったかいとこってどこ?
「電池買ったよね? いっぺん戻るんじゃなかったの?」
「……エアコンが利きだすまで待てる気がしない」
「は?」
不意に、包み込むように抱きしめられた。
たった一晩で覚えこまされてしまった体の感触に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「…っ! ここ、路上だから! 人通りあるから!」
近付いてくる顔をがんばって押し返す。腰も引き寄せられているから、何かが当たっているのは判る。……まったく、もう。
「…………こんなとこでキスしたら、もっと抑えが利かなくなるでしょう?」
できる限り小さい声で諫める。
「……あたしが」
恥ずかしいことを口走ってしまった自覚はある。
だからすぐ俯いたのに。
どうして抱え込まれてキスしてるんだろう?
キスなんかされたら、流されてしまう、って解ってるのに。
「このままここでスルのと、あったかいとこへ行ってスルのと、どっちがいい?」
半分融けかけた頭にそんな言葉が届く。
そんなの、どっちでもいい、と口走りそうになるのを、理性をかき集めて『あったかい方』と答えた。えらいぞ、あたし。
前言撤回。
何で『しない』っていう選択肢を提示しなかったんだ。
おかげで見知らぬあったかい部屋で十分堪能されてしまった。
……いい思いをしなかった、とは言わないけど。




