文化祭
「ーーーという訳で、(不本意ながら)クラス委員長になりました、日高です」
2組の生徒の前で、軽く一礼。長い髪が、前に垂れる。「同じく、真梨奈です」と真梨奈がにこやかにほほえむ。2組のメンツは、唯でさえ、噂ずきなのに、なんで、こんなに目立つことになるんだ。
平穏に過ごしたいのに。
クラスは盛り上がりは、4時限を終えても、なくなっていなかった。私の周りと、真梨奈の周りには人が多数で質問攻めさせられていた。頑なにクラス委員長を拒んでいたのに、なぜ、転校生といきなり、委員長になるようになった経緯や、真梨奈とはどんな関係かなど、マシンガントークに当たり障りの無い返事をしていた。そろそろお腹が限界に近かったので、女子にはクラス委員長の仕事といい、真梨奈を連れて、生徒会室に逃げ込んだ。
「会長、匿ってください」
「どうしたんだ?」
私はどうして、ここに逃げ込んだのか、かくかくじかじか説明した。
「なるほど、大変だったな」
「人事じゃないんですよ!」
会長は、どうしてこうなったのか、理由を聞くと、愉快そうに高笑いする。なんで、生徒会員が会長含め、二人しかいないのかわかったような気がする。
「まぁ、その原因が私にあるのだから、ここに入るのを許可しよう。だが、日高くんには、もう一つ問題があるのではないだろうか?」
私はなんのことか考えたが、考える必要はなかった。その問題が、生徒会室に入ってきた方だ。
「失礼しま・・・」
その人物は、私がいることに気がつくと、血相を変え始める。
「まさか、先輩が、いや、なんで。まさか、私に会いにきた・・・」
きゃー先輩!!と興奮した良子が抱きついてきた。私は反応できずに良子の突撃ヘッドを腹に受け、地面へ叩きつけられる。急所は免れたが、背中を強打し、とても痛い
「痛い、痛いから!」
「だって、先輩が私に会いに…」
「違うからね、ただ、逃げてきただけだからね」
良子にもかくかくじかしが説明すると、血相を変えて、離れた。
まぁ、悪い子じゃないんだけどねと考えつつ、良子を見ているとまた先輩と抱きついてきそうなので、置いておこう。
放課後になれば、人だかりはかなり減ってきたので、気持ちの整理ができた。
初日からこれとかクラス委員長は思いやられるよ…
そして、初の評議委員会があり、夏休み前の7月に早めの文化祭が行われる。この学校は特殊で年に2回文化祭が、7月と12月にあるので、1回目は一年生はなにもしなくていいようになっているが、その分、なにかと二三年生の負担が多い。文化祭直前になにかと問題が起きやすいので、そのミスを少なくするのが、評議の仕事らしい。その具体的な仕事として、パトロールと大きなことから、各祭りの出し物の会計調査や小さなことまでやっている。私の担当はパトロールとなり、当然ながら、文化祭の経験のない真梨奈と共に行動となった。当日までは仕事がないので真梨奈と一緒に2組の祭りの準備に没頭した。文化祭の準備は順当過ぎるほど進んだ。なにも起こらないのが逆に不安に思うほどだった。




