夢の中 恋愛編②
担任と私は、阿部先生が並んでいるはずのアトラクションの前まできた。
「やっぱり、もういないかなー。」
担任はどうしよう。と辺りを見回してる。
もういいじゃん。阿部先生のことなんて!
なんて私はちょっと思ったりした。
…ん?もしかして私は担任に恋とかしちゃってるんだろうか??
阿部先生に嫉妬したり(担任はナイって言ってたけど)、無理に一緒にいようとしたり。
私は担任の横顔を覗き見た。
「なあ、どうしようか?」
そう私に訊いた担任と目があって、私は慌てて
「えーっと、どうしましょう?」
と阿部先生を探すフリをした。
三年間、一度もときめいたりしたことなかったのに。
普通に担任の数学の授業とか、寝てたのに。
全然、なんとも思わなかったのに。
むしろ三者面談の時とかウザイって思ってたのに。
なんでだろう。
いつものスーツではなく、ジーパン姿だからか、
それともここが夢の国だから??
なんでか一緒にいるとあったかい。
「しょうがない。阿部先生には帰ってから謝ろう。」
私が担任を見ると
「遊ぶぞー!」
と楽しそうに担任が言った。
それから私達はいくつかのアトラクションにのり、しゃがれ声のアヒルと写真を撮ったりした。
学校の生徒とは何回かすれ違い、その度に
「こいつ、校則違反だから、罰なの。」
と担任は言った。
なんだか言い訳してるみたいで、ちょっと悲しくなったり、した。
シノちゃんやあーちゃんや、他の仲良しの子と会わなかったのは、
もしかしてアミちゃんのおかげなのかもしれないな、と思った。
途中で阿部先生も見かけた。
ダンディーな(年配)先生方に囲まれていたので、私と担任はそっとしておいた。
「阿部先生は人気者だからなぁ。」
って担任は言ってたけど、阿部先生あんまり楽しそうじゃなかったよ。
たぶん担任はダンディーな(担任より地位の高い)先生と、夢の国で出会いたくなかったんだろうな。
もうすぐ解散時間になる。
担任と私はお土産を見に行った。
解散時間になっても、ほとんどの生徒は再入場するので、お土産屋さんはすいていた。
「じゃ、30分後にここで」
担任はいそいそと買い物かごを持って、どこかへ行ってしまった。
また私は一人になったわけだ。
最初の一人とは違う一人。
最初はアミちゃんにおいていかれて、
今は担任からおいていかれた一人。
私は家族のと、部活の後輩へのお土産、友達へのお土産を買った。
ふと思った。
担任は彼女のぶんを選んでいるのだろうか。
30分後に戻ってきた担任は両手いっぱいにお土産を買っていた。
クッキー、おせんべ、バームクーヘン、アメ…
「何買ったんですかー?」
って聞いたら、およそ考えつく全てのお土産お菓子の種類を言った。
「大野は少ないなー。」
「家族と後輩と他校の友達の分です。」
私は片手に持っている袋を見せた。
「自分のは?」
「ないです。」
担任はそうかーと言って袋の一つに手をがさがさと入れた。
「はい。これ。」
と渡されたのは、小さいしゃがれ声のアヒルのストラップだった。
「え。何で?」
小さいアヒルは私の手の中で笑っている。
なんか、一瞬で、ふわって、心があったかくなった。
「だって、俺の所為で、友達とまわれなかったんだろ。お詫びにな。」
でも、担任の言葉で一気に心臓が冷たくなった。
担任は申しわけないと思って、私にストラップを買った?
「そんなことないです。」
私は小さく反論した。
俺の所為だって思って、嫌々私と一緒にいた?
「まあ、網本と鈴木のことは俺、関係ないけど…」
私はストラップを先生に返した。
「私は今日、すごく楽しかったです。お詫びとか、いらないです。」
すっごく悲しくなった。
今日一日、楽しくて、担任の横があったかくて、幸せだと思った時間が
消えてしまった。
「彼女さんにあげてください。」
私はゲートに向かった。
もうすぐ解散時間だ。
夢から覚める時間だ。
「大野!待て。」
担任が私の手を掴んだ。
「お詫びって言うのはなんか違った!」
担任は私の手に無理やりアヒルを握らせた。
「お礼だ!お礼!!今日一日ありがとう。」
私はアヒルの顔を見た。幸せそうに笑ってた。
「それと、俺は今、彼女いないぞ。」
「そうなんですか?!」
「いそうに見えたか。」
担任は笑っていた。
「見えます。かっこいいもん!!」
私も笑ってた。
「おだてても何もないぞー!」
担任と私は一番乗りしたゲートで、夢の名残を感じていた。
「やっぱりさ、最後はみんなでまわろうって事になったんだ。」
アミちゃんとあーちゃんとシノちゃんが私に言った。
彼氏はいいの?友達は?
私は聞いたけど、アミちゃんは
「いいのいいの!最後だもん!!いたい人と一緒にいるの!!」
と言った。
「去年と一緒だね。」
とシノちゃんが言った。
これから閉園時間になるまで、また夢の国に帰ります。
現実に戻ったら、進路のこともちゃんと考えるから、それまでは…。
「なんでノッチ、お土産買ってんのー?」
「もう終わりなのかと思ってたんだもん。」
「アホ!再入場出来るの知らなかったの~?」
「ねえねえ!おそろいのストラップ買おうよ!」
私は今がとても幸せだと思った。
みんな、ありがとう。
ハッピーエンドにできて良かった!
ちなみにノッチは大野(主人公)のあだ名です。
先生との恋は完結してませんが、いつか書きたいと思います。
恋をする瞬間を書いてみたかったのですが、上手く書けているでしょうか。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
本当にありがとうございました!!