夢の中 恋愛編①
アミちゃんと鈴木くんとパレードを見ていると、
「良かったなー大野。友達と会えて!」
と後ろから担任に声を掛けられた。
「あっ!高田センセー。」
アミちゃんが驚いて私と担任を交互に見ている。
「ってか、高田センセーと一緒にいたの?!」
「って、網本と鈴木は付き合ってたんだ!」
へー、うんうん。担任はアミちゃんと鈴木君の手が繋がれているのを発見し、一人で頷いてる。
私はアミちゃんに詰問され
「あーうん。」
と小さく頷いた。
担任と離れてあまり時間は経ってない。
担任は私の事を探してくれたんだろうか。
そこまで考えて私は阿部先生の姿がないことに気づいた。
「センセイ、阿部先生はどうしたんですか?」
「まだ並んでる。待っててもらってる。」
と担任は複雑そうな顔で、アミちゃんの顔を見ながら言った。
アミちゃんの化粧に気がついたけど、それを注意しようか迷ってるらしい。
「え!高田先生は阿部ちゃんと一緒にいたんですか?」
アミちゃんは顔を手で隠しつつ、言った。
「やっぱり付き合ってるんですか?」
あ・ヤだな。
なんとなく私はふと思った。
けれど、担任は慌てて
「いやいやいや!付き合ってないよ。
だって阿部先生は僕より6歳年上だよ?」
と笑った。
うそ。担任より6歳年上なんだ。
へー、そっか。そっか。
鈴木君は「マジかー。見えねえ」と呟いた。
「おじゃまして悪かったな。」
パレードが終わり、前の人がレジャーシートを片付け始めたころ、担任が言った。
そして
「頑張れよ」
と鈴木君の肩をたたいた。
「痛っ。何をですかー!」
鈴木君は苦そうに笑ってる。
パレードは終わった。
私はアミちゃんの顔を見た。
アミちゃんは楽しくて仕方がない、って感じで鈴木君を見て笑ってる。
私は担任を見た。
担任はこれから阿部先生のところに帰るんだろうな。
それできっと遅くなったことを謝って、
きっとそれを阿部ちゃんは笑って許して、
二人でアトラクションに乗る。
パレードは終わった。
でも、夢の時間はまだ終わりじゃないよね。
終わらせたくない。
私は思い切って、言ってみた。
「えーっと、私も二人のお邪魔かな。」
アミちゃんは「えっ?」って顔したけど、私の顔を見て何かを納得したらしい。
アミちゃんが担任をチラッと見たから、私が小さく頷くと
「そうだねー!」
と言ってくれた。
「うわっ網本!ツメタイ奴だなー!」
「今、ラブラブなんですー。」
私は担任に、
「別の友達に会うまで、一緒にまわってください」
と頼んでみた。
「いいけど。大野、大丈夫か?」
「何がです?」
言いにくそうに担任は声を落として言った。
「友達が彼氏を選んだんだぞ。」
私はちょっと考えて、
「アミちゃんはとってもいい子ですから」
とにっこりと言った。
頑張って!と小声で言ったアミちゃんに手を振って
腑に落ちなさそうな顔の担任の横を私は歩いた。
「いいのか、大野さん。」
鈴木くんがニコニコしてるアミちゃんに訊いた。
「うん!あーいい事した!!」
満足顔のあみちゃんの顔を見て、鈴木くんは女子ってワカンネーと思った。
アミちゃんは苗字からきたあだ名でした。
と言うより名前考えつかなかったからそうしたのですが…
読んでくれてありがとうございました。
恋愛編は②まで続きます。
長くなりましたが、よろしくお願いします。