夢の中 友達編
走って、走って。
本当はこの場所から逃げたかった。
進路とか友達とか担任とか…自分とかから。
本当に自分が嫌い。
色んな言い訳して、人に責任転嫁して。
自分が一番わがままで。
楽しみにしてた。
去年、アミちゃんとあーちゃんとシノちゃんで遊んだときは、本当にここは夢の国だった。
夢の国の中で、笑って、笑って、スキップして、
中身がない会話してたかもしれないけど、みんなといれるだけで私達は本物だった。
ずーっと、ずっと、みんなで一緒にいれるんだと思ってた。
あーちゃんとシノちゃんとクラスが分かれて、あんまり遊ばなくなって、受験とかあるし、全然遊ばなくなって、
「しょうがないよ。勉強忙しいじゃん。お互い。」
なんてアミちゃんに言われて。
「ほら、今年の卒業遠足は一緒にまわろう!!」
ってアミちゃんに言われて。
結局それもなくなってしまった。
私がアミちゃんが真剣に鈴木くんのことで悩んでいるとき、一緒に悩んであげなかったから。
私が今一人なのは、誰かを一人にしてしまったからだ。
きっとそうだ。
人気もののネズミが、夢の国の住人に囲まれている。
私はそれをボケッと見ていた。
通り過ぎる人はみんな笑顔。
人気者のネズミが手を振った。
もちろん私にではなく、幸せそうな夢の国の住人へ。
と思ったら、その住人はアミちゃんと鈴木君だった。
「え。なんで?!一人なの??」
アミちゃんは私を見つけると、鈴木君と繋いでいた手を離して、走ってきてくれた。
ネズミからどんどん離れて、アミちゃんの顔は何でか泣きそうだ。
アミちゃんは私の手をとると言った。
「あーちゃんとシノっちに、メールしたのに。」
「メール……」
私は携帯を出して、メールの問い合わせボタンを押した。
「きてた。」
どこいるのー??一緒にまわろうよー!!とシノちゃんからメールが来てた。
あーちゃんからも。
「なんで?
だってあーちゃんもシノちゃんも、クラスの子とまわってるんじゃないの?」
私はアミちゃんにきいた。
「そうだけど、シノっちもあーちゃんもいいって言ってんだからいいんじゃん。」
「でも…」
私はあんまり、シノちゃんの友達ともあーちゃんの友達とも仲良くない。
と言うより話す機会がなかった。
「…てか、アタシが悪いんだよね。ごめんね。おいてっちゃって。」
ごめん~。そう言ってアミちゃんは手を合わせた。
本気で謝ってるアミちゃん。
私は私がやっぱり間違ってたんだ。と思った。
「そうだよ。さびしかったんだから!!
…でも、こっちこそごめん。アミちゃんと鈴木君をジャマするようなことしちゃって。」
早く言えば良かったんだ。
私の気持ちを、アミちゃんに。みんなに。
そうしたら、シノちゃんもあーちゃんも今ここにいて、前みたいに仲良しだったかもしれない。
遠慮とかして、自分の気持ちを言わずにいると、相手に伝わらなくなっちゃう。
でも。
私はケータイをギュッと握った。
まだ繋がってるよね。
二人で繋いだ手をブンブン振った。
アミちゃんの後ろで見ていた鈴木君が
「仲直り出来てよかったね。」
と笑った。
読んでくれてありがとうございます。
仲直りできてよかった!
友達って自然にできて、自然に消滅しちゃったりするんです。(私の場合)
でも本当に大切な友達は、ずっと一緒にいたいから。
腹を割って話したりすることが、大事なんじゃないかと思うのです。