夢の国の入り口
まだ進路が決まってない私としては、手放しで楽しめない卒業遠足。
でも、本当はとっても楽しみ。
だって、某ランドへ行くんだよ!!
ネズミの彼にも会えるかもだよ!!
嗚呼早く行きたいなァ…
そんな私の思いは班決めのときに、半減してしまった。
一番の仲良しだったアミちゃんに彼氏ができて、何故か彼とアミちゃんと私でまわることになってしまったのだ。
完璧にお邪魔じゃん!!
アミちゃんの彼氏の木村君は話やすいとってもいい人。
嫌じゃない。嫌じゃないけど…
アミちゃんも二人きりより、会話ができていいっていうけど…
「どこまわる~??」
「まずは僕がファストパスを取ってくるから、アミはスペースマウンテンに並んでて。」
「分かった、ありがと~!!」
なんて言いながらパンフ見ながら顔を寄せ合っている二人を見ていると、やっぱりお邪魔でしょって私は小さくタメ息を吐いた。
私は当日は盛大なタメ息をつくことになる。
入り口で先生の点呼を取った後、三人で入ろうとしたら、私は担任に呼び止められた。
「おい、大野。化粧してるだろ」
「えっ!!」
とばっちりを受けないよう、アミちゃんは
「頑張って」
と小声で言って、木村君と園内に入って行った。
「うそ。え、待ってぇ!」
私の叫びは二人で並ぶ幸せそうな背中には届かなかった。
私の化粧は濃くない。むしろみんなより全然薄い。
アイライン引いて、睫毛上げて、グロス塗って、終わり。
いつも学校でしてないから、目だっただけ。
それなのに、教師歴三年の若い担任は変な指導情熱で私をとっ捕まえやがった。
「本来なら、入り口で解散時間まで、先生と待機となるところだが…」
一呼吸入れてためるところが、ウザイ。こっち見んな。
私は担任を思いっきり睨んだけど、全然効果なかった。
「先生も遠足、楽しみにしてたからな。
化粧落としたら、班の子と行って良いぞ。」
センセー。友人は私をおいて逃げましたー。
担任はキョロキョロ辺りを見回して、
「あれ、大野、まさか一人でまわるのか?」
と一人であせっている。
誰の所為だ。誰の!!
「大丈夫です。スイマセンでした!」
私はそう言って先生を残し、入り口脇のトイレに入った。
私は化粧を落として、(と言ってもクレンジングオイルないから、顔洗っただけ)盛大なタメ息を吐いた。
空は絶好の遠足日和。秋晴れの高い空。聞こえるリズミカルなBGM。
私はまだ何一つ乗ってないどころか、入ってもない状況で一人ぼっちになってしまった。
「最悪…もぅヤダ…」
涙が出そうになった。
行ってしまったアミちゃんも、担任も最悪。
アミちゃんに、夏休みの私が知らない間に告白した木村君も最悪。
いい人そうじゃんなんて、メールで軽く流しちゃった私も最悪。
ラブラブな二人を見て、うらやましいどころか、イラついた私が最悪。
班決めの時、空気読まずに「アミちゃん一緒にまわろう」なんて言って、アミちゃん困らせた私が最悪。
「三人でまわろう」って言ってくれた木村君に、当然の顔した私が…
夢の国なんて一人で入れないよ。
「大野、一緒にまわるか。」
一人ぼっちだと思っていた夢の国の入り口で、担任が立っていた。
読んでくれてありがとうございます。
少しずつ、進めていきたいと思います。
よろしくお願いします。