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冥王星の少女 -the phantom girl of absolute zero-  作者: 草原猫
第三章 アルバムのなかの君
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第四十四話 六月十一日(月)昼休み 耀子のアルバム 2

 やがて、写真の委員長は中学生になった。

 緊張した面持ちで、真新しい制服に身をつつんでいる。髪型は、三つ編みだった。ここにきて、ついにといった感じである。小学六年生のころには、いまとほとんどおなじぐらいの髪の長さになっていたようだが、ストレートに流していただけで、まとめてはいなかったのだ。

 ただし、前髪はおろしたままだった。おかげで、すこし地味というか、垢抜けない印象だった。

 それから、見開きのとなりのページには、体育祭とおぼしき写真もあった。体操着姿で、弁当を食べている場面のものである。

 服の胸部分が、中学生にしてはやけにはっきりと盛りあがっていた。

 へえ、委員長は、このころからもうすでに胸がおおきかったのか。

 僕は思わず顔をあげて、現在の彼女の様子を確認してしまった。

 委員長は、さきの写真――中学校入学の日の朝だそうである――の補足説明をしているところだった。胸を腕にのせ、机についた肘で上半身をささえるような姿勢をとっていた。

 両腕にはさまれて、おっぱいがすばらしく強調されていた。薄手の夏服は、彼女の乳房の豊満さを、すこしも隠してはいなかった。

 否、もはや夏服がどうというようなレベルではなかった。たとえ冬服であろうと、これほどのものを隠蔽などできようはずがないのである。

 まさしく、それは母なる双丘だった。神々に祝福されし愛のアムリタをもたらすものだった。

 ああ、じつに素敵だなあ。いちどでいいから、抱きついて顔を埋めてみたいなあ。そうしたらきっと、気分がいいんだろうなあ。

 ……ええと。

 うわ、しまった。僕はアホか。なにを変なことを考えているのだ。失礼きわまりないだろ。

 あわてて、僕は彼女の胸から目をそらした。

「うひゃあ、耀子ちゃんって、このころから胸がおっきかったんだぁ」

 いきなり、幸が感心したような声をあげた。どうやらおっぱいの、もとい、体育祭の写真に話題がうつったようだ。

 まずい、なにか嫌な予感がする。

「おんや? 公平、どうしたぁ? なに赤くなってるのん?」

 案の定、幸がニヤニヤ笑いをうかべながら、僕に話題をふってきた。よしてくれ、こういうのは苦手なんだってば。

 しばらくのあいだ、僕が適当にもごもごいってごまかし、幸がからかいの言葉を口にするといった展開がつづいた。委員長は、とくに気にしたふうでもなく、おだやかに笑っているだけだった。

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