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冥王星の少女 -the phantom girl of absolute zero-  作者: 草原猫
第二章 クッキーとイチゴパフェ
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第三十五話 五月七日(月)黄昏 4

「さあ、幸さんのとなりにいくの! こういうときこそ、さりげなくアピールしなきゃ!」

「わ、ちょ、おすなって」

 カフェ・ジョルノへの道中でのことだった。

 幸を先頭に、徹子ちゃんがまんなか、僕はあすかとともに最後尾を歩いていたのだが、この情緒不安定な幽霊はそれが気に食わなかったらしい。まえに出ようと、強引に背中をおしてきたのである。

「ん?」

 動きが不自然だったためか、幸はいぶかしむように、こちらを一瞥してきた。といっても、それはほんのわずかのあいだのことで、すぐに視線をまえに戻した。

 しかし、幸とならんで歩くぐらい、いつもやっているんだけどなあ。こんなことで、アピールになるのかねえ。

 心のなかで、疑問に感じていると、なぜか、あすかは僕と幸とのあいだに割りこんできた。

 僕とあすかと幸、三人ならんで歩くの図になった。

 なんだこりゃ。まったくわけがわからないぞ。

 アピールというからには、もうすこし僕と幸との距離がちぢまったほうがいいはずである。それなのに、あいだにあすかがはいったら、むしろ距離がひらいてしまうではないか。

 ほんとうに、この子はなにがやりたいのだろうかと思った。もしかして、アピールというのはただの建前で、たんに、あすか自身が幸のとなりを歩きたかっただけなのかな。

 笑顔で、僕と幸と、同時に腕を組んで歩くあすかを見ていると、なんとなく、そのような気もしてくるのだ。

 もっとも、だとしても、僕までいっしょによこに連れていこうとする理由にはならないのだが。

 だいたい、制約が多いと聞いてはいるが、つねに僕のそばにいないと消えてしまうとか、そういう窮屈な話ではなかったはずだ。どうせおなじグループで歩くのだし、幸と並びたいのなら、好きにすればいい。

 正直なところ、腑におちなかった。とはいえ、あえて問いただそうとまでは思わなかった。

 あすかが、とても嬉しそうにしているのである。さきほどの、幸にすがりついて泣いていた姿とはまるで別人のように、満面の笑みをうかべているのだ。

 死後の世界で、自殺と見なされてしまうほどに、不幸な亡くなりかたをした少女。そう思うと胸が痛む。彼女が悲しんでいるなら、僕はなぐさめてあげたいし、喜ぶこともなんでもしてあげたい。

 いずれにしても、この子には、幸にたいする特別な思い入れがあると考えて、まずまちがいなさそうである。ならば、こんご、あすかと会う時間に、彼女ともいっしょにいられるよう、立ちまわってみるのもいいかもしれない。

 もちろん、休日や週末と違い、毎週月曜の夕方から夜にかけてというのは、時間が中途半端すぎて、誘う口実をつくるのがむずかしい。それでも、努力だけはしてみよう。僕はそう心に決めた。

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