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冥王星の少女 -the phantom girl of absolute zero-  作者: 草原猫
第二章 クッキーとイチゴパフェ
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第二十八話 五月七日(月)ホームルーム 2

 クラスメイトへのプリントの配布をおえ、僕は席にもどった。

 ホームルームである。直後にあらわれた嵐山が、進路アンケートについて、ひととおりの説明をおこなった。

 つづいて、実際に記入する段になった。

 回答用紙をながめながら、僕は自分の将来のことを、あらためて考えてみた。

 幼少時からの夢といえるものがあった。といっても、なにがやりたいというようなことではない。自宅と職場がおなじ仕事。自営業。それだけが望みだった。とにかく、家にいられる職業に就きたかった。

 じつに子供っぽい話ではあるが、ちいさなころ、僕はおとなになったら幸と結婚すると信じて疑っていなかったのだ。そして、むこうが体調を崩していっしょに遊べないとき、入院していて会えないとき、家で働く業種なら、ずっと彼女のそばにいられると思うようになった。

 だから、小学生ぐらいのときは、だれかに将来の夢をたずねられたら、八百屋とか魚屋とか、そんな返事ばかりしていたような気がする。

 いつしか、成長するうちに、かならずしも幸と結婚できるとはかぎらないことを悟り、さらに先月には、告白してふられたりもしたが、それでも、僕の夢はかわらず、自営業のままだった。

 目的と手段がまざってしまったのかもしれない。あるいは、三つ子のたましい百までということか。

 現在、興味があるのは、喫茶店の店主である。具体的には、店舗併用住宅の形態がいい。二階屋なら、一階が店、二階が家族の部屋というような感じだ。

 もっとも、いまのところ、僕はそのために必要な努力をしているわけではないし、なんらかの人脈があるわけでもない。とりあえずは大学にかよって勉強し、それから社会に出て資金を貯めたりする必要があるだろう。

 アンケートには、進学希望と書いた。

 さいわいなことに、僕の両親は、進学には賛成してくれている。また、成績にかんしても、あるていどの大学は狙える位置だ。

 このさき、どうなるかはわからない。それでも、よくなることを願って、努力だけは怠らないようにしようと思った。

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