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焔の檻  作者: iro.
9/12

小話


✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼


ぐったりと項垂れた男の体が、拷問椅子に括りつけられている。

顔の半分は腫れ上がり、もう尋問どころではない。

情報は吐かせた。今は、ただ“後の処理”だけが淡々と進められていた。


床に血を垂らす音を聞きながら、二人の龍焰の部下が、備品整理と掃除のふりをしながら、そっと声を潜める。



「……いつもより早く終わったな。」


「ああ……ボスのおかげでな。

あれ、今日周さんじゃなかった?」


「最近はたまーにボスが来る。

……暇つぶしか知らんけど、“あの人の目”があるだけで、現場が凍るわ」


「さっき電話越しに笑ってた。『はいはい〜』って、まるで退屈そうに……」

「けどあの声で、背筋がピリッとした。……意味分かる?」


「ああ。

“何を話してるか”じゃなく、“誰が話してるか”で空気が変わる。……本当に、“支配者”だな、あの人」


「なんでだろな……“背中見せたらアカン”って、身体が思う。あれ、“恐怖”とはちょっと違うよな」



そのとき、足場の上からカーンと靴の踵をならした音がした。


手すりにもたれかかっていた彼が、ゆるやかに視線を落とす。

真下__音が急に静まった1階へ。




後処理を行う部下を見ながら

「……その口、次に開く時は誰に聞かれてるか考えてな?


ほな、片付け任すで、終わったら飯でも行っといでー

お疲れさん。」



男たちは無言で顔を見合わせ、誰からともなく作業を再開する。

上から落ちてくるその声は、澄んでいて、妙に静かだった。


李 黎炎。

人を支配し、奪い、壊し、そして守ることを生業とする男。


だが彼の(かんばせ)は、不思議なほど整っていた。

肌に一点の(かげ)もなく、唇の形は冷えた硝子細工のように均整で__

見惚れるには美しすぎて、畏れるには美しすぎた。


美が美であるがゆえに、冷たい。


 


“静けさの真実味”を嗜むその男は、

まるで――“この世にとって、余分なほど整った災厄”だった




国の名前を変更致しました。

存在している国の名前をやめて

蒼嶺会がある国を日映(にちえい)

龍焔がある国を華連(かれん)

にさせて頂きます。

変更しましたが、残っている所があれば

教えて頂ければ幸いです。

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