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焔の檻  作者: iro.
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4



奥からもう一人の部下が進み出る。


やや年上の男で、黎炎の側近として長く仕えている冷徹な目の持ち主だった。


黎炎は椅子の背に凭れながら、空中を見つめるようにしてつぶやく。


「さっきの子。手え出したらアカンで、しばらくは」


周は一瞬瞼を動かした。

「.....”しばらくは"、ですか」

「せや。価値が尽きるまでは、触ったらあかん。

どこまで使えるか、ちょっと楽しみやからな」

言葉に熱はない。ただの"処理”を告げるロ調だった。

けれどそのあと、黎炎の目がほんのわずかに鋭さを帯びる。


「.....あの顔、ええな。色気はないけど、輪郭

が綺麗や。目も強い。

ああいう顔、壊れる時が楽しみや」


軽く笑いながら言う黎炎に、周は何も言わなかった。

「まあ、使えるだけ使って、用済みになったらその時は、どうでもええ」

言葉とは裏腹に、黎炎の視線はさっき春が立っていた空間から逸れない。

周は静かに頭を下げた。

「心得ました」

「よろしい。皆にも伝えといて」

その一言で、再び室内には沈黙が満ちた。

だが黎炎の脳裏には、さっきの"取引”を持ちかけた少女の目が、未だ焼き付いて離れなかった。




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