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焔の檻  作者: iro.
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モールの出口、夕方のちょっとジメっとした風に吹かれながら龍焔の車に乗り込む。

買い物袋は3つ。制服や日用品以外にも、服やアクセサリーが詰まっていた。


「いや〜!ミサキちゃん案外ノリええやん!あのワンピ、似合ってたっしょ?

あ、てかこっちのジャケット姿も俺的に……」


「……うん、ごめん。ちょっと買いすぎた、かも……」


春は助手席で袋を抱きしめながら、少し俯く。

晃牙に乗せられて、いつの間にか予定以上の買い物。嬉しさと気後れが混ざった、複雑な顔。


「心配いらんよ、予算は周さんに通してあるし、

“うちの姫様”が新生活に必要なもんやって、誰も文句言わへんて!」


「……姫様ってやめて。なんか落ち着かない」


「ええ〜〜、じゃあ“龍焔の春ちゃん”って呼び方は?」


「……もっとダメ」


助手席の東雲と、後部座席の春が揃ってため息をつく。


──屋敷に戻ったのは、すっかり日が暮れたころ。


車を降り、正門をくぐった瞬間、

屋敷の奥──正面廊下の方から、ゆっくりと人影が現れた。


「なんや騒がしい思ったらお前らやったんか」


寝起き特有のけだるさを滲ませつつ、部屋着姿の黎炎が歩いてきた。


「……あ、黎さんっ。お疲れ様っす!」


晃牙が軽快に右手を上げ、にっと笑う。


「春ちゃんの買い物、任務完了ってことで!」


「……ただいま戻りました、黎さん」


東雲はきっちり背筋を伸ばして頭を下げる。


黎炎は二人を見て、軽く目を細めたあと、

「ん」とだけ返して欠伸を噛み殺す。


「まあまあ、お疲れさん。春も……ええ感じに溶け込んどるみたいやな」


「……うん、いろいろありがと」


春が小さく返すと、黎炎は思い出したように言った。


「──ちょうどええとこ戻ってきよった。お前、ちょっと付き合って?」


「え、どこに?」


「うちの屋敷戻ってきたら、まず報告や。

部屋でええわ。……まだ寝起きで頭働いてへんし」


「え、ええと……」


報告って...

春が戸惑って振り返ると、晃牙が笑って手をひらひら振る。

「いってらー。あ、袋は預かっとくわ〜」

東雲も「必要な物はあとで部屋に運びます」と小さく頷いた。


春はため息まじりに「うん」と頷いてから、

寝起きの黒龍に引かれるように、

廊下の奥──黎炎の私室へとついていった。




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