♯5 【異能力】私の能力試してみた!
昨日は一睡もせずに砂だるまの友達作りをした挙句、その友達は海の波にさらわれ絶望したり、業者の対応の悪さに悪態をついたりと、一日中忙しなく動いていたせいで疲労が溜まっていた。そのせいか私が起きた時、時間は既に11時だった。
だが昨日の私と今日の私は大きく違う。今日の私は予定がある、昨日のように行き当たりばったりではないのだ。
「では早速!私の能力を片っ端から試してみようのコ〜ナ〜!」
まず私はフリマアプリを立ち上げてみる。この二日間全く水を飲んでいないから、何としても飲み水を手に入れなければならない。私の読みが正しければ私のパソコン、【月華創造(ルナ)】内のアプリはこちらの世界でスキルとして使える、フリマアプリ『ネルカリ』で飲み水を買ってしまおうという訳だ。
早速私はフリマアプリ『ネルカリ』を立ち上げる。が、『ネルカリ』には何も出品されていない。
「あ、あれ、日本で最大のフリマアプリでしょ、何で何も出品されてないの!」
一応試しに異世界の砂を出品したところ出品する事は出来たが…
しばらく理由を考え、私はある結論に至る。
『ネルカリ』を起動し、出品をする事は出来たことからアプリをスキルとして使えるのはほぼ確定とする。ただフリマアプリがこの世界には存在しない為に誰も商品を出品していなかったのではないか…と。
ふと閃いた、私は天才かもしれない。
私は急いで島の写真をとり、画像編集アプリを立ち上げる。そして画像の砂浜に清涼飲料水の画像を合成する。すると、
「やった予想通り!水が出た!しかも飲める!美味しいよぉ!」
二日ぶりの水で喉を潤す。異世界で飲む水は凄く美味しかった。間違いなく人生で一番の味だった。
「あ、じゃあ次は美味しそうなカルボナーラの画像を合成して、ついでに家の写真も合成っと。」
写真に合成した場所にカルボナーラと家が出現する。
出現した家に入りカルボナーラを食べる。意外な事に家は外観だけでなくちゃんと家具も設置されていた。
正直画像を合成しても絵とか写真しか出ないと思っていたし、良くても外見だけで料理は味なし、家は家具なしだと思っていた。だがちゃんと美味しい料理や家具つきの家を出してくれるあたり良心を感じる。もうこの無人島で余生を謳歌しようかな。
カルボナーラを食べ終わり窓から外を眺めると空が暗くなっており、今にも雨が降りそうな天気になっていた。昨日までなら大慌てしただろう、だが今の私は衣食住を手に入れている。雨が降ろうと無敵である。
ただ、雨が降るなら外で能力の確認をする訳にはいかない。お気に入りのもこもこパーカーは夜に布団替わりにしたせいで既に砂まみれなのだ。ここでさらに雨に降られると、もはやもこもこでは無く、ごわごわ&びちゃびちゃで着れなくなってしまう。それはできる限り避けなければならない。午後は家に引き篭るとしよう。
電気のつかない部屋の中にパソコンのタイピング音と雨の音だけが響く。どうやらこの家は水道や電気、ガスが通ってないらしい。インフラが止まると現代人が快適に過ごす事は難しいのだ、と痛感した。
「画像編集がこれだけ便利なら他のアプリはどうかな、検索アプリとか…動画編集アプリとか!」
まずは気になった検索アプリを試してみる。
この無人島から最も近い国が分かれば今後の予定や目標を立てることができるからだ。さっそく検索アプリに「近くの国の港」と入れたところ、この無人島から東に70km程離れたところに小さな漁村がある事が分かった。
「漁村、この距離なら船があれば辿り着けそう?画像編集アプリでモーターボートとか出せれば…」
明日の予定はモーターボートを出して近くの漁村に行くに決定した。今日は晩御飯を食べたあと早く寝よう。他のアプリは船の上で試してみればいい。万全の状態で船旅をしよう。私の異世界生活はいい方向に進み始めている。…はずだ。そうであって欲しい。
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