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底辺配信者の異世界グルっと1周旅!  作者: カモノハシの左前脚
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♯9 【激戦】底辺配信者VS海蛇

おじさんの後ろについて廊下を進む。おじさんの家は二階建てで私が寝かされていた部屋は二階廊下の一番奥の部屋だったようだ。おじさんは歩くスピードを私に合わせてくれているのか、少しゆっくりと歩きながらリビングに向かう。

リビングに入ると美味しそうな焼き魚の匂いが私の食欲をかきたたせる。リビングの大きな机には焼き魚の他にも、具だくさんな野菜のスープやジャムがたっぷりと塗られたパン、籠に盛られた沢山の果物が並んでいる。


「あら、来たわね!まだ色々聞きたいことがあるけどまずはご飯にしましょう」


そこからはおばさんによる質問攻めパート2が開幕。それに耐えきれず私がおじさんに助けを求めようと見つると、おじさんは俯いて小さく首を横に振った。「顔は怖いのに子犬みたいで可愛いな」等と、おばさんのマシンガントークに若干現実逃避な事を考えながら私はスープを啜った。


「そういえば、おじさんはレオさん?って名前ですけどおばさんのお名前は…」


「あらあら、私ったら自己紹介がまだだったわね!私の名前は『バルバラ』、それと私まだ39歳なのよおばさんじゃなくて、お姉さん。ね」


「嬢ちゃんも知ってるみたいだが、俺の名前は『レオ』だ。レオって呼んでくれて構わない。」


二人の自己紹介を聞き、おばs…お姉さんにおばさんと言ってしまった事を謝罪しつつ私も自己紹介をする。…配信者としてではなくあくまで普通の自己紹介だが。


「私は如月(きさらぎ) 凛花(りんか)17歳。凛花って呼んでください。」


「えっと、私としては苗字じゃなくて名前で呼びたいところだけど…苗字の方がいいのかしら?」


「あ!すみません凛花が名前です。如月が苗字で…」


そういえば海外では苗字が名前の後ろにつくのだった。授業は基本ズル休み、英語の課題は二歳下の弟にやらせていた私は完成に忘れていた。バルバラさんとレオさんは一瞬不思議がる様子をみせたが「私の国ではこれが普通で〜」と説明したらすんなりと納得してくれたようだった。




朝ごはんを食べたあと私はレオさんと一緒に海に出ていた。レオさんが「嬢ちゃんの船を探しに行くぞ。」と精一杯のスマイルで(笑顔のはずなのに少し不気味に感じたが)提案してくれたので断れなかった。一応「もう見つからないかも〜」とやんわり断りを入れようとしたが、レオさんがとてもしょんぼりした顔をしたので「ぜひお願いします」と言ってしまった。


「昨日俺たちが夜に漁をしてて海に浮かんでいた嬢ちゃんを見つけたんだ。」


「そうだったんですね、本当にありがとうございます!」


「いや、いいんだ。嬢ちゃんが無事でよかったよ。」


そんな会話をしながら私達は海を進む、だが私の船は私が『画像編集』で出したものだ。一度パソコンの充電が切れて消滅したので絶対見つかるはずがない。「もう少ししたらお礼を言って村に帰ろう」と考えていると突然レオさんの船が大きく揺れ、鋭い牙の生えた巨大な蛇が姿を現した。


「こいつは…!嬢ちゃん姿勢を低くするんだ。こいつは最近この辺で目撃されてる海蛇(シーサーペント)だ、恐らくだが嬢ちゃんの船を襲ったのもこいつだな!」


すいません違うんです。船が消えたのは動画が炎上したペナルティのせいなんです。その謎が解けた名探偵みたいな顔やめてください。申し訳なくなります。

私は船の底でパソコンを抱えながら必死にレオさんに呼びかける。


「レオさん!そのシー何とか!どうするんですか!?」


海蛇(シーサーペント)な、心配すんな、俺の雷魔法で消し炭にするぜ、」


「頼もしいです!」


実に頼もしい返事を聞き私がレオさんを見あげるとレオさんは、顔中に冷や汗をかきながら、ブルブル震えていた。

「ああ、今度こそ終わったな」とどこか冷静に考えているとある事を思い出した。


「『画像編集』でシー何とかに剣を合成すれば倒せるかも…?」


「嬢ちゃん、何とか出来るのか!?もし嬢ちゃんが生き延びれたら、女房に愛していたって伝えてくれ!」


その瞬間、シー何とかが船のすぐ側に水の塊をはき、船が大きく左右に揺れた。

そしてレオさんはもうダメかもしれない。船の底に頭を埋めてガクガクしている。そんなレオさんに向かい、シー何とかは容赦なくその鋭い牙で体を噛みちぎろうと迫る。

私はパソコンの『画像編集』を立ち上げ剣をシー何とかに重なるように合成する。

しかしその瞬間、シー何とかは素早く剣の出現に気づきその身を(ひるがえ)した。


「え、ちょ避けられたんだけど!!」


「嬢ちゃん!なんでもいい早くなんとかしてくれぇ!」


レオさんの為にも早くあのシー何とかを討伐しなくてはならない。


「『画像編集』だと間に合わなくてシー何とかに攻撃を避けられちゃう!」


「嬢ちゃん!海蛇(シーサーペント)だ!ひょわぁ」


シー何とかは私を脅威とみなさなかったのか、それとも早く仕留めようとしたのか水の塊による攻撃を再開した。そしてレオさんは更に怯え始めてしまった。なんとも残念な光景である。


私は足りない頭で必死に考える。『画像編集』だと相手が動いていると合成してからの攻撃が間に合わない、相手の動きを止められば…


「レオさん!シー何とかの動きを少しでいいんで止めてくだs…」


「バルバラーー!俺はお前を愛していたぞ!」


レオさん…。もういい、私一人で何とかしないと。『画像編集』じゃない攻撃手段…あ!


「『動画編集!』」


そう、相手が動いてるものなら動画として編集すればいいのではないか、あいにく今の私は『編集』以外の攻撃方法が分からない。ここは賭けに出るしかないのだ。

私はパソコンから『動画編集』を起動する。正規の使い方以外では初めて使うが果たして…


「『再生停止』!」


私は『動画編集』から再生開始ボタンをダブルタップする。すると今も尚水の塊を吐き続けるシー何とかと船でガクブルしているレオさん、更には波の動きや風の流れまで、私以外の全ての動きがとまる。


「あ、よかったぁ、ちゃんと動きが止まった」


まずは賭けに一勝。ちゃんと予想通りの能力が発動した事に安堵する。そして相手の動きが止まっているなら簡単に攻撃を当てれるという事で…


「私の勝ち!だよ!」


勝利宣言と共に私は炎や雷のエフェクトをシー何とかの周りに配置、剣を頭や首に挿入する。そして、


「『再生再開!』」


その声と同時に世界が動きだし、海面には炎と雷が降り注ぎシー何とかに一斉に襲いかかる。更に剣が脳天を貫きシー何とかがついに海底へと沈んでいく。


「レオさん、レオさん!起きてください!シー何とかは倒しましたよ!」


「ん…な、なんだと!嬢ちゃんが倒したのか?あの海蛇(シーサーペント)を…ま、まじかよ…」


その後二人で村まで帰ったが会話は弾むことなく気まづい雰囲気になってしまった。ただ、しっかりとシー何とかの死体を回収し戦利品として持って帰っているあたり、レオさんはしっかり漁師しているなと感じた。


読んでくれてありがとうございます。

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