プロローグ 【自語り配信】
『もし過去に行けるとしたら?そう考えたことがある人も多いと思います。RINKAさんはもし過去にいけたら、いつの時代に行きたいですか?』
ある日の配信で来た、リスナーからの質問に私は配信画面から目を離し頭をひねる。過去に行けるとしたら、過去に戻れるとしたら、私は…
過去のいつの時代に行きたいか、そんなの決まっている。それは高校を辞めた日、その日に行って私の頬を殴り言いたい
「せめて高校を卒業してから夢を追え」と
考えがだいたい纏まり、答えようと配信画面に向き直ると、大勢のリスナー達(7人)がそれぞれ好きな時代を言いあっていた、江戸時代や平安時代、安土桃山時代などなど。
『過去に行く』に対しての私とリスナーとの解釈に相違があった事に気づき、私は少し恥ずかしくなってしまった。
「私は過去に行くなら中世のイギリスに行きたいな!アニメとかの異世界転生みたいに現代知識で無双するんだ〜」
もっと他の答えがあっただろう。だが許して欲しい、私にとっての日本史の授業は昼寝の時間…いや、昼寝の時間に先生が来て勝手に喋っているという認識なのだ。
実際、安土桃山時代が一体いつ頃なのかよく分からないままコメントを拾っていた。
その後もうだうだと近況報告や雑談が続きその日の配信も終わりが近づく、
「今日も配信に来てくれてありがと〜!明日は久しぶりに動画を投稿するからそっちも見てね!」
リスナーへのお礼と動画の告知をすると画面では7人ものリスナー達がそれぞれ、お疲れ様や、ありがとう等と返事をくれる。
私にとってこの瞬間が生きていて1番幸せな瞬間である
そうして今日も2時間程のRINKAの配信は幕を閉じた。