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9営業目 「運転の上手いドライバー」

「俺、運転上手いよ!」

運転する人と話をすると、たまに耳にする言葉である。

だいたいがスピードを出した時にハンドル操作が正確に出来るとか、バック駐車が1回で決められるといった事を意図するものである。


しかし、我々タクシー運転手の言う「運転が上手い」は少し違う。

スピードを出した時のハンドル操作が正確だとか、バックが1回で決められると言うのは大前提として、如何に先を読んで事故を回避出来るかということに尽きる。

例えば左折するとき。バイクや自転車のすり抜けを回避する為、左に寄せてから横断歩行者をやり過ごし、曲がる前に再度左後方から二輪車が来ないことを確認してから曲がるのだ。

教習所で習った事ではあるが、意外とみんなやらなくなる。潜在意識で「こちらは左に曲がるし、ウインカーも出してるから突っ込んでこないだろう。」と思ってしまっている事が多々ある。また、右折車線を気にせず、左折後いきなり第2車線に入る事もある。

我々タクシー運転手の「運転が上手い人」は、「左から二輪車が抜けてくるかもしれない」と危険を先読みし、確認に確認を重ねてから曲がる。

確認すると言っても、ほんの1~2秒の話。この時間をとれるかとれないかで、その後に要する時間が変わってくる。

この1~2秒を惜しんだが為に事故を引き起こし、事故処理のために1時間か2時間を無駄にする。この1時間、2時間の間にもしかすると万収のお客様をお乗せ出来たかもしれない。そうなると1日の営収も変わってくる。

こんな些細な確認作業の積み重ねが当たり前に出来る人が、所謂「運転の上手い人」なのだ。


他にも、「運転の上手い人」は高級車にあまり近づかない。もし高級車を相手に事故してしまった場合にかかるお金が大変な事になるなんて考えがよぎるが、高級車に乗る人はその車の性能や耐性を信頼している部分が多くあり、見ていて怖い挙動をする場面によく出くわす。

サンデードライバーともなれば普段運転していないだけあって、より挙動に危険が増す。ウインカー無しで曲がってみたり、突然止まって停止後にハザードを焚いたりする。何を思ったか、曲がるわけでも止まる訳でも無いのにいきなりブレーキを踏むこともある。

高級車だけに限った話でも無いが、傾向としては多い。こちらも「運転の上手い人」は道路が流れている時から挙動を観察し、近くを運転していて大丈夫かを判断する。これも立派な危険予知である。


筆者の自戒も含めて、「運転の上手い人」は当たり前の確認や危険予知を積み重ねられるという事を念頭に、ハンドルを握って行きたいものだ。

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