8営業目 五十歩百歩のドライバー達
運転中はとかく、独りよがりになりがちだ。それはタクシードライバーだろうが、一般車だろうが、トラックやバスの運転手も同じである。何せ人間が運転しているのだから。
対抗意識とは言わずとも、他者の運転に自身の常識を当て嵌めて文句の1つも言ってしまう。これがハンドルを握る者の性とも言うべきものだろうか。
まずはバスを相手に。彼らは決まった時間に決まったルートで運行する。もちろん、商業運転でありあの大きさだ。そこまでスピードは出さない。片側2車線の道路であれば避けようのあるものだが、1車線道路ともなれば、進行の足枷となる。ましてや交通量の多い都内ともなれば、その後ろには車列が出来るのも珍しくはない。対向車の隙を見て追い越しをかけるなんて事もまぁまぁある。とかくバスの後ろでは舌打ちでもしたくなるものだ。
次にトラック。種別様々あるが、彼らもバス同様に走り出しが重い。宅配便ともなればどこで止まるかも分からない。大型車であれば、コンビニの駐車場が狭いからと言って、堂々路上に止めて1車線を潰して駐車する。朝のラッシュ時にも見られる光景で、そんな時間にそんな事をされるもんだから後ろを走る車はたまったものでは無い。
そして一般車。ドライバー数が最も多いだけあって、運転慣れしている人から「わナンバー」でたまに運転する人も。走って運転を見てみないとどんな運転手か分からない。予期せぬ場所でのブレーキや、右左折時にわざわざ車の頭を振って曲がっていく等枚挙に暇が無い。高速道路を40km/hで走られた日にはこちらもヒヤヒヤするものだ。何を急いでいるのか、我々タクシーがお客様の乗降をしていても平気でクラクションを鳴らして急かしてくる。稀に追い越しザマに罵声の1つも浴びせてくる人までいる始末だ。
そして我々タクシー。こちらもどこで止まるか分からない。お客様がいればどこでも止まる。無線仕事であれば、住宅街の中だろうが、一方通行であろうが止まらざるを得ない。他の車輌からすればこの上なく邪魔な存在に他ならないだろう。
こうして列挙するとどのドライバーもろくなものでも無いとも思えるが、道路は公共のもの。皆が使うものなのだ。譲り合いの精神で寛大な心で運転すれば、そもそもトラブルなんてものは生まれない。
自分の立場を優先してハンドルを握っていれば、どっちもどっち、五十歩百歩なのだ。