5営業目「お化け」は大歓迎!?
お化けは大歓迎なんて言うと、ギョッとする人も居るだろう。しかし、我々タクシー運転手の言うお化けは世間で言うお化けは違う。タクシー運転手の言うお化けは、超長距離のお客様の事を言う。
筆者は経験は無いのだが仲間に聞くと、稀にお化けを乗せたなんて話を聞く。「福島まで~」「大阪まで~」なんて夢のある話で、1度の営業で1日の営収を余裕でクリアしてしまう。夢に見るけどなかなか現れない。だから「お化け」なのだ。
お客様をお乗せ出来ない状況が続くと、
「あ~…お化け出ないかなぁ」なんてボソッと口にしてしまう。
魅力のある仕事ではあるが、注意も必要である。
まず第一に、料金の支払いだ。そんな超長距離を乗せる訳だから余裕で5万を超えてくることが殆ど。乗車時に支払い方法を確認し、支払い出来るのかどうかが重要なのだ。たまに、運賃を踏み倒して逃げて逮捕なんてニュースもある。なので、キチンと支払いをして貰えるか、取りっぱぐれると天国から一転、自腹か会社負担という地獄に叩き落とされる。金額が金額なだけに、運転手にとっては死活問題なのだ。
第二は時間だ。タクシー運転手は1度の乗務の上限時間というものがある。拘束時間最大22時間、月間262時間と定められている。なので超長距離を乗せた場合には、行きは時間に余裕があっても帰りには余裕が無いなんて事態が発生する。拘束時間を超過すると会社によって対応は様々だが、時間超過事由書なるものを書かされる事が殆どではなかろうか。
明るい内に回送で目の前を通り過ぎていってしまったなんて事は、皆さんも経験はあるだろうが時間超過の可能性がある為、帰庫回送という物にしている場合がある。勤務体系やシフトによってその時間はまばらであるが、帰庫回送中にお客様を乗せてはどこに行かされるか分からないため、運転手も涙をのんでお客様をスルーしなければいけない状況もある。
第三に距離である。こちらも1日365kmまで(高速含まず)と言った規定がある。高速含まないなら大丈夫なのでは?と言う意見もあるが、お化けのお客様は得てして、高速を降りてからが長いパターンが多い。ここも気をつけて行きたいところである。
第四にガスの問題がある。今、タクシー市場で出回っているジャパンタクシーはLPガスで走っている。
クラウンや日産のセドリックも同様。街中を見回しても、LPガススタンドというものは多くはなく、営業途中入れる事もあるがガスが半分位の時にお化けに遭遇するとガスの問題は付き纏ってくる。ましてや、お化けともなれば当然営業エリア外に出る訳なので、最寄りのスタンドなど知る訳もない。途中、高速を降りてガスを入れるなんて事も発生するのだ。
先程挙げたクラウンでも、個人タクシーのクラウンであればガソリン車なので、高速上でも給油する事が出来る。
ざっくりと四点挙げたが、実際に「お化け」を乗せた事のある人であればもっと出てくるだろう。面倒くさいからやりたくないと言う運転手もたまにいるが、基本的には話のネタにもなるので「お化け」は大歓迎なのだ。