3営業目 お客様は神様?
ある程度の年代の皆様や、接客業をされている方は必ず1度は耳にしたであろうこの言葉。
「お客様は神様です。」
この言葉は故三波春夫氏の有名な言葉である。
以前からではあるが、この言葉がとても迷惑な形で1人歩きしてしまっている状況なのだ。
この言葉について同氏の生前のインタビューでは、
「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです」と語っている。
同氏の 波乱万丈な人生、舞台経験から産まれた一言であるが、それをここで語るには筆者の言語力では伝わりきらないので、割愛しておこう。
ここで重要なのは、この同氏の言葉が曲解されてしまっているということだ。
世に言う”クレーマー”と位置付けられるタイプの方程この言葉を使いたがる傾向にあり、日頃の鬱積を晴らさんが如く責め立ててくる。接客しなければならないこちらとしては勘弁して頂きたいものである。
これはタクシー云々と言うより接客業全般に言えることでは無かろうか。
”自分は金を払っている。だからこれぐらいの事はするのは当然”と言った具合に無理難題を押し付けてくる。
この他にも、耳を疑いたくなる様な言葉を投げかけてくる人も居る。
そんなことを言う人からすればタクシー運転手は職業カースト最下層の様で、「えた・ひにん」だの「タクシー運転手ごときが」等、未だにそんな考えを持っている事にびっくりしたが、こちらは聞き流すのみである。
そんな”神様”は自身が”悪い神様”になっている自覚はない。神話等を見ても”悪い神様”は排除されている。北欧神話では遊びの神、ロキが戦争と知識の神であるオーディンからヴァルハラから追放されたとかと言う話もある。
”神様”として崇められるのは、それ相応の対応が出来る人なのだ。