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女子高生な女神さまと一緒に暮らす異世界スローライフ!  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!


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15/17

15話 優しいですね。ロッカクさんは

 俺はランタンを床に置くと、とっておきの道具を取り出した。

 いつもクレハの女神の剣を使うわけにもいかないから、安物の剣も持ってきてはいる。


 だが、より重要なのは別の道具だ。


 鍋の蓋のような、大きな金属の板2枚。

 あるいはシンバルのようなもの、というべきか。


 俺はそれを両手で持ち、勢いよく重ね合わせた。

 まさにシンバルのように、金属音が洞窟に響き渡る。


「きゅー」


 すると、音に驚いたのか、フェアリーラビットがぴょこぴょこ飛び出してくる。

 本当に小さな愛らしいうさぎで、背中に小さな羽が生えている。

 だが、これも魔物。倒さなければ報酬がもらえない。


 フェアリーラビットを俺は追いかける。

 すばしこくて、なかなか捕まらないが、一匹、剣で刺した。

 

 そして、倒したフェアリーラビットを革袋のなかに入れる。

 革袋は魔法がかかっていて、袋の物理的な大きさよりも多くのものが入れられるし、かなり軽量化できる。


 一匹倒せば、報酬は一千スーツ。

 二人で二十匹倒せば、ぎりぎり一日の生活費が稼げる。


 クレハは見かけよりも俊敏で、うまいことフェアリーラビットを捕まえていた。

 ただ、フェアリーラビットを剣で刺すときになって、悲しそうに首を横に振った。


「こんなに可愛いのに、殺しちゃうなんて……」


「可愛くても魔物だし、害獣だよ。害獣は人間の的だし、魔物は女神様の敵じゃないかな」


「そうですけど……」


「貸してみて」


 クレハはきょとんとして、俺にフェアリーラビットを渡した。

 俺は微笑む。


「クレハは捕まえるのに専念してよ。倒すのは俺がやるから」

 

「いいんですか?」


「このうさぎを殺したくないんだよね? 倒さないと報酬はもらえないけど、俺がクレハの代わりに倒すことはできる」


「……優しいですね。ロッカクさんは」


「そうかな」


「はい」


 クレハはうなずくと、フェアリーラビットの捕獲作業を始めた。

 俺も手近なフェアリーラビットを探す。


 結局、殺すことには変わりないが、少しでもクレハの嫌がることを減らせるなら、そうしない理由がない。

 俺もこのうさぎを殺すことに抵抗がないわけじゃないが、クレハほど生き物を可愛がる精神もない。


「そういえば、クレハは魔法でフェアリーラビットを捕まえたりできない?」


「はい。女神ですから、魔力は高いですし、魔法の素質はあるみたいですけど……ちゃんと勉強しないと使えないみたいです」


「なるほど……」


 つまり、俺もクレハも素質に差こそあれ、駆け出し冒険者には変わらないということだ。


 そういいながら、俺はうさぎの捕獲作業を続けた。

 そのとき、奇妙な音が洞窟に響いた。

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