14話 洞窟で二人きり
というわけで、俺たちはギルドで、フェアリーラビット討伐クエストを請け負った。
フェアリーラビットというのは小型のうさぎの魔物で、大変可愛らしい見た目をしている。
しかし近隣の農作物を荒らす害獣だ。加えて、その肉は美味である。
だから討伐対象なのだ。
その巣は町の郊外の洞窟のなかにある。
「じめじめ……していますね」
「たしかに」
クレハの言葉に、俺はうなずいた。
洞窟は湿気っぽかった。
俺たちはランタンを掲げ、洞窟のなかを一歩ずつ歩いていた。
今回の俺たちの装備は、俺は安物の冒険者服、クレハは相変わらず制服だ。
「本当にその服装で大丈夫?」
「はい。この服、女神の加護がかかっていて、防御力が高いんです。天上にいたときからの持ち物ですから……。それに意外と動きやすいですし」
「ふうん」
「それに……」
「それに?」
「こういう格好のほうがロッカクさんが喜ぶかなあ、と思いまして」
「俺が? なんで?」
「だって、男の人はみんな女子高生の制服姿が好きだって聞きました」
そんなことは……ない、とは言えないか。
女子高生、という言葉にはたしかに不思議な魅力がある。
その制服姿といえば、なおさらだ。
俺も高校時代には制服デートとかしてみたかったが……残念ながらそんな機会はなかった。
とはいえ、そんなことをクレハに対して正直に言うわけにはいかない。
俺は大人なのだ。
俺が言葉に迷っていると、クレハは悲しそうな顔をした。
「わたしなんかの制服姿なんて……見たくないかもしれませんけど」
俺は慌てた。沈黙の意味を誤解されたらしい。
「いや、そんなことないよ。クレハは美人だし、制服姿も似合ってるし……」
「本当ですか?」
「本当、本当」
「なら、ロッカクさんも……わたしの制服姿が好きですか?」
俺はうっと言葉につまった。
話の流れ的に、ノーとは言えない。
「好きだよ。可愛いと思う。まあ、俺なんかに可愛いと言われても嫌かもしれないけど」
「そんなことありません! 髪や目の色と同じで……ロッカクさんに褒めてもらえて……すごく嬉しいです」
クレハは幸せそうに微笑んだ。
俺は体温が上がるのを感じた。
実際、クレハみたいな美少女が、おしゃれな女子高の制服を着ているのを見れば、可愛いなと思ってしまう。
白いブラウスは、大きな胸によって二つの柔らかな膨らみが作られている。さらに赤いネクタイがその上にかかり、クレハの体のラインを強調していた。
Fカップ、という昨日の鑑定結果を思い出す。
やや丈が短めの青いスカートも、歩くたびにふわりと揺れる。ニーハイとのあいだの白い太ももを目立たせていた。
スタイル抜群の美少女の制服姿。
そんな娘と二人きり。しかも、ランタン一つの明かりしかない薄暗い場所で、だ。
俺はうろたえた。なんとか表情を変えないようにしようと思ったが、上手くできているかはわからない。
「ともかく、うさぎを倒して帰ろう」
「はい!」




