↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生な女神さまと一緒に暮らす異世界スローライフ!  作者: 軽井広@北欧美少女ノベル5巻が8/25から発売!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/17

1話 女神を名乗る女子高生

「ロッカクさん……起きてください。朝、ですよ?」


 優しい声がする。

 俺が目を開けると、すぐそばに銀色の髪の美しい少女がいた。

 青い瞳でじっと俺を見つめ、そして微笑んでいる。


 寝間着の白いシャツは、胸元のボタンが外れていて、柔らかな膨らみの谷間を見せつけていた。

 ここは異世界の宿屋で、そして、俺とこの少女――クレハは同じベッドに寝ていた。

 断じてやましいことがあるわけじゃない。クレハは17歳で、俺は25歳。俺は彼女の保護者みたいなものだ。


 二つベッドのある部屋がとれないから、こうして俺たちは並んで寝ていた。

 くすっとクレハは笑う。


「わたしに見とれていました?」


「女子高生に見とれたりしないよ」


「わたしは、目が覚めたらロッカクさんが隣にいて、幸せですよ」

 

 クレハはそう言って、本当に幸せそうに笑った。

 俺は自分の頬が熱くなるのを感じ、なんと言えばよいかわからなくなった。

 

 どうして異世界で、こんな状況になったのか。

 話は少し前にさかのぼる。


☆


 25歳の冬。

 俺、すなわち六角進には二つの転機が訪れた。


 といっても、大金を手に入れたわけでもないし、結婚したというわけでもない(彼女もいない)。


 一つの転機は、大学卒業以来、三年働いた仕事を辞めたこと。


 もともとブラックな職場で、勤務時間も長く、日付が変わるまで働くことも、土日も働くことも多かった。

 何より体育会気質で、上司に理不尽に怒鳴られることも日常茶飯事だ。


 そして、俺は落ちこぼれだった。

 ある日、上司に罵倒された挙げ句、「君はここに必要ないから」と言われ、俺は逃げ出した。


 無職になった俺に、もう一つの転機が訪れる。


 男の一人暮らしにも関わらず、俺は部屋もきちんと整理しているし、自炊だってちゃんとする。

 それは俺の数少ない長所の一つだった。


 というわけで、冬のある日、夕飯の材料を買おうと思い、近所の商店街に出かけた。

 

 人通りのなか、一人の少女の後ろ姿が目に入った。

 十代後半だろうか。

 冬だというのに、丈の短いスカートを履いていた。

 

「きゃあああああっ!」


 突然、少し離れた場所から悲鳴がした。

 見ると、路上に血まみれの女性が横たわっている。そして、男がナイフを持って、それを見下ろしていた。


「通り魔だっ!」


 周囲が騒然とするなか、男はゆっくりと少女へと近づいていく。

 次の獲物ということだろう。

 少女は恐怖のあまりか、立ちすくんでいた。


 男は刃物を振りかざし……そして俺はとっさに飛び出した。

 俺は命を賭けて誰かを助けるなんて、そんな柄じゃない。

 きっと仕事を辞めて、少しおかしくなっていたのかもしれない。


 俺は男からナイフをとりあげることに成功したが、その直前に揉み合いになり、はずみで胸を深く刺されてしまった。

 地面に崩れ、自分の体から流れる大量の血を見つめる。


「死んじゃ……ダメです」


 助けた少女が黒い瞳から涙をこぼして、なにかをささやいているのは聞こえたが、その顔はぼやけてよく見えなかった。

 やがて意識が暗転する。


 こうして俺は命を落とし……。


 ☆

 

 目が覚めると、空のような、ひたすらに水色の空間にいた。

 どうもふわふわとする、と思って足元を見ると、実際に浮いている。


「あの……気がつきましたか?」


 透明感のある声がする。

 顔を上げると、そこには美しい少女が立っていた。


 銀色に輝く髪をまっすぐに伸ばしていて、顔立ちは少しあどけないが、人形のように整っている。

 すらりとした長身の体は驚くほど美しく、大きな青い瞳は綺麗に澄んでいた。


 ただ、その表情はやけに気弱そうだった。


「え、ええと、わたし、一応女神なんです。六角進さん。残念ながら……貴方の命は失われました。そして、これから日本とは別の世界へ旅立つことになります」


 女神、という言葉は非現実的に響くが、まったく信じられない話でもなかった。

 俺が死んだのは確かだろうし、この謎の青い空間も超常現象だとしか思えない。

 なにより、目の前の少女の背中からは白い翼が生え、神々しいオーラを放っていた。


 しかし。

 その服装が問題だった。


 白いブラウスに赤のネクタイをつけていて、そのうえに淡い灰色のカーディガンを羽織っている。

 スカートは綺麗な水色で、丈は短めだった。黒のニーハイをつけている。


 どう見ても……女子高生の制服だ。

 たしか市内の名門校ではなかったろうか?


「えっと……どうされましたか?」


 自称女神の女子高生が、ちょこんと首をかしげる。


「あの……高校生ですよね?」


「高校生ではなくて……女神です」


「でも……」


「信じてくれないんですか?」


 自称女神は困ったような表情になり、身をかがめて俺に顔を近づけた。

 ふわりと美しい銀髪が揺れ、かすかに甘い匂いがした。

 思わずどきりとする


 それに、動いた弾みに大きな胸がかすかに揺れ、ついそちらを目で追ってしまった。

 少女は恥ずかしそうに、手で胸を覆った。


「あ、あの……あまり見ないでください」


「す、すみません」


「……六角さんだから、許してあげます」


 そういえば、さっきから少女は俺の名前を呼んでいる。

 どこで俺の名前を知ったのだろうか?


 少なくとも、こんな美少女の知り合いはいない。

 まあ女神だというから、何らかの超常的な手段で知っていてもおかしくはないのだが……。


「あと……六角さんが律儀なのは知っていますけど、年下の女子高生相手に敬語なんて使わなくていいですよ」


 女子高生だと自分で認めたじゃないか。


 いや、そんなことはいい。

 やはりこの少女とは……初対面じゃないのかもしれない。


「君は俺のことを知っているんだね」


「それは秘密です」


「言えない?」


 こくっと少女はうなずいた。


「……わたしのことはクレハと呼んでください」


「それはどうも。それで、君は何者なのかな」


「異世界では女神で……日本では高校に通ってます」


「女子高生が女神様というのも妙な気がするね」


「えっと、アニメとかによくあると思うんです。年頃の女子中学生や高校生がある日突然、神様になるって。あれと同じ……ことだと思います」


 自信なさそうにクレハが言う。

 俺もアニメや漫画は嫌いなほうじゃないので、言いたいことはわかるが……。


「なら、君は何の神様?」


「わたしは異世界《アルカナ》の銀月の女神です。いちおう、あちらの世界の宗教では崇拝対象なんですよ?」


「ふうん。ということは、実は千年とか一万年とか生きてる?」


 神様とかそういう存在は大昔から存在すると相場が決まっている。

 神道でも仏教でもキリスト教でもそこは変わらないし、なら、異世界の神様だって同じだろう。


 けれど、クレハは顔を真赤にした。


「わたしは17歳です! 千年も生きてなんかいません……。わたしは五代目の女神で、なりたてなんです」


「へえ」


 ということは一定年数が経つと、神が交代するということか。

 どうして日本の女子高生が、ある日突然、異世界の神に選ばれるのかは気になるが……それより重要なのは自分のことだ。


「それで、その異世界のアルカナってっとこに、俺を転移させるってこと?」


 クレハは小さくうなずいた。


「六角さんがそれを望むのであれば」

☆あとがき☆

女子高生と、異世界でのんびりイチャイチャするだけの話です。本日夜にもう1話投稿します。


ブックマークや評価をいただけると喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。